2007年4月分


・本
 『最後のウィネベーゴ』/コニー・ウィリス(河出書房新社)
 『空色ヒッチハイカー』/橋本紡(新潮社)
 『鋼』と『雪嵐』/ダン・シモンズ(早川書房)
 『Fate/Zero Vol.2』/虚淵玄(TYPE-MOON)
 『刀語 第四話』/西尾維新(講談社)
 『未来日記(3)』/えすのサカエ(角川書店)
 『ミハスの落日』/貫井徳郎(新潮社)
 『ふおんコネクト!(1)』/ざら(芳文社)
 『13』/古川日出男(角川書店)
 『物しか書けなかった物書き』/ロバート・トゥーイ(河出書房新社)
 『大尉のいのしし狩り』/デイヴィッド・イーリイ(晶文社)
 『苦悩のオレンジ、狂気のブルー』/デイヴィッド・マレル(柏艪舎)
 『冬の巨人』/古橋秀之(徳間書店)
 『泣き虫弱虫諸葛孔明 第弐部』/酒見賢一(文藝春秋)

・ゲーム
 『夏めろ』体験版(AcaciaSoft)
 『めいくるッ!』体験版(ASa Project)


2007-04-29.

「登場ヒロインは、全員お○んちんが付いた女装っ子アイドル! 体は男の子…だけど心は女の子…な、美少女アイドル(?)とピュアな恋愛が楽しめます!」(『ぷる萌えンジェル アイドル・あいこ』より)

・例の規制で等身が上がっているとはいえ、CAGEは実に相変わらずだなぁ、と呆れるやら感心するやらの焼津です、こんばんは。女装アイドルというのは『ブロッケンブラッド』とか他の作品でも見かけるくらいでさほど珍しいものじゃないけれど、「ヒロイン全員」がそれってのは……さすがにトチ狂ってやがる。ショタ系ブランドのCAGEのみならず美少女系ブランドであるRUNEの新作にさえショタは存在するし、あそこは本当に業深きおちんちん魔境だわ。ただ、当方の理想とする「本人は不本意なくせして破滅的に女装が似合ってしまう」っつータイプはいないみたいだから遠巻きに傍観したいところ。ちなみに「不本意女装」の現在の注目株は『恋する乙女と守護の楯』

propllerの新作『Bullet Butlers』、発売予定日が決定(6/29)

 「予定が決定」というのも変な書き方ですが、もしかすると10キー(TENKEY)からTを抜いたような事態が発生するやもしれぬ、それがこの業界の常なれば……ともあれ、うまく行けば今から2ヶ月後には発売ですか。未だ旗幟鮮明ならざるものの、lightの『Dies Irae』も6月末あたりに来そうな気配が漂っておりますし、こりゃあ被るかもしんない。どちらも大作級の威容を放っていますので、同時発売となれば結構時間の捻出が厳しそう。まあ、なんとかなりそうな気もしますが。負の意味で。

・酒見賢一の『泣き虫弱虫諸葛孔明 第弐部』読了。

 たとえばこのとき孔明が、劉gのせっぱ詰まった身の上相談に対して、
「残酷な天使のように神話になればいいではありませんか」
 と爽やかな表情で答えたと書かれていても、誠実な研究家であればあるほど否定も肯定もすることが出来ないのである。
(中略)
 とにかく『三国志演義』は小説だから仕方がないとしても、『三國志』にはこういう真偽虚実を疑われるような記述がたくさんあり、これをもとにして立派な歴史小説を書こうとする作家のいたいけな瞳を、月あかりが映しているわたしの愛の揺りかごから、ずっと眠っている孔明がその夢に目覚めたとき、思い出を裏切るなら胸のドアを叩いて、意地悪く冷笑するのである。女神なんてなれないままでいいから、もう、さっさと世界中の時を止めて閉じこめてもらいたいものである。

 ただでさえ滅茶苦茶だった『第壱部』(便宜上こう書く)に輪をかけて無茶苦茶な第弐部。中略した部分にも目一杯「残酷な天使のテーゼ」の歌詞が記されていますけど、これちゃんと許可取っているのかしら。それにしてもまさか『三国志』を扱った歴史小説(もどき)を読んでいてド直球なEVAネタに遭遇するとは夢にも思いませんでしたよ……臥竜恐るべし。

 そんなわけで腹が捩れるほど徹底的に『三国志』をおちょくりつつ細かい解説を忘れない、失礼なんだか丁寧なんだかよく分からない本の2冊目です(相変わらずタイトルが羊頭狗肉っぽい)。実像ではなく、あえて虚像に迫る――というのが一応このシリーズの目的らしい。今回は「孔明出蘆」から「長坂坡の戦い」までを綴っており、まだ「赤壁の戦い」には辿り着いていません。ノリとしては「だったらイケるぜ!」(板垣恵介作品を中心としたマンガ感想サイト)あたりに近いものがありますな。原典をネタにしてあれこれ好き勝手書いているけれど、異様に鋭い観察眼および懇切丁寧な解説と薀蓄が映えているおかげで、結果としては二倍三倍に原典を楽しめる。「いまどき『三国志』というのもちょっと……」と及び腰な人さえ、一読すれば「ダーッハハハ!」と劉備笑いに感染すること間違いなし。とにかくネタの選び方が無節操で、「スピードは遅いがトルクのある牛二頭がエンジンをつとめていた」などといった表現はザラ、比喩の中で「ガンプラ」「限定フィギュア」「良心回路」なんていう単語も当たり前のように飛び出してくるし、何食わぬ顔でウィリアム・ブレイクの「虎」(『虎よ、虎よ!』に引用されたアレ)と楚狂接輿歌(「鳳よ、鳳よ!」で始まる……ええと、詳しくはググってください)をパロって魔配合した詩を載せたりする。少々おふざけの度がすぎる場面とてなくもないが、この砕けまくったざっくばらんな文体が功を奏し、率直かつ的確な表現に昇華されている箇所も多々あります。

 曹操がいよいよ呉を攻める段になったとき、劉備を生かしておいたなら、前線基地ににやにや笑いながら近付いてきてピンポンダッシュして逃げる小学生のようなことを繰り返されるおそれがある。

 格調高く描こうとしていたらこんな言い回しは決してできないでしょう。そもそも「ピンポンダッシュ」とか「小学生」という言葉自体が使えない。普通なら課せられて当然の制約を片っ端から引きちぎって粉砕するアンチェインな筆致には呆れるのを通り越して爽やかな笑みさえ浮かんできます。小説パートと解説パートをごちゃ混ぜにしたスタイルは読んでいて気楽で襟を正す必要もなく寛げますが、あるシーンをひと通り描写した後に「〜というようなことがあったと伝えられているが、これは史実ではない」なんてふうにあっさり否定することもあるから、なにげに気を抜けません。「このへんの記述はどう考えても矛盾している、そのへんの出来事は眉唾というか如何にも胡散臭い、あのへんは詳細が不明で空白期になっている」と遠慮なしにズバズバ書いており、舌鋒鋭いツッコミの数々には『三国志』フリークの読者も夢中になって読み耽ってしまうのではなかろうか。

 関羽はじっとしていれば武人の鑑として、床の間に飾っておきたいくらいの惚れ惚れするような男であることは宇宙の定説である。(中略)
 しかし問題が多いこと張飛よりひどいところがある。自尊心が強すぎるというのか、他人を見下すこと甚だしく、倨傲なところが多々あり、しかも豪放磊落な風貌とは裏腹に、内心に後宮の女人のようなじめじめした巨大な嫉妬心まで渦巻かせているというタチの悪さである。
 たんに「器の小さい髯自慢の男」と切り捨てたいのはやまやまなのだが、その強さは天下無敵、一人で一万の兵を殲滅可能という戦術核兵器type-Tじみた虐殺の殺人だから、一目も二目も置かざるを得ないのである。

 こうした歯に衣着せぬ人物評は関羽ファンが読めば怒るかもしれないけれど、あえて清廉潔白なイメージを捨てて書いているおかげもあって下手に美化したキャラクターよりもずっと面白みのある存在になっています。あと、なぜか呉の人々が広島弁なのですが、これはどうも「呉」と「呉市」を掛けているんだそうな。通常の文章がハチャメチャだから作中の人物たちがどんなに常軌を逸した言動を取ろうとも違和感がない、という倒錯した状況を生み出しており、ある意味これはこれで見事な力技なのかもしれません。ただ、なんでもかんでも話を「孔明の陰謀」「孔明の超戦略」「孔明の すごい 罠」に持っていこうとするあたりは牽強付会というか、いささか天丼すぎる印象がありました。

 博覧強記ならぬ博覧狂記の歴史エンターテインメント。該博な知識に裏打ちされたしょーもないネタの洪水に溺れて笑い転げることは必至です。とにかく間の取り方と申しますか、ネタを仕掛けてくるタイミングが絶妙で、読者の反応を完全に読み切った阿吽の呼吸は実に心地良い。『三国志』ファンだけに読ませるのは惜しいシリーズです。というか、みんなこれを読んで『三国志』スキーになればいいじゃないの。常時戦争をしていないと禁断症状で壊れそうになる殺人依存症の凶虎・張飛とか、アクの強い描写がすごく魅力的。どうでもいいですけど張飛って無理に読めば「ハルヒ」と読めなくもないですね。よもや第参部あたりでそういうネタを仕込んできやしないか……いやそれはさすがに杞憂か。ハルヒ翼徳の杞憂。しかしモテモテ王国ネタもあったという噂ですし、完全には防御を解けない心境だ。

・拍手レス。

 ふと思いついて「沃野」をルー大柴変換エンジンに叩き込んでみる。…いかん、傑作が別の意味で傑作に…!
 へー、そんなのもあるんですか。

 虎の城は・・・・ ( ・∀・)<エロイな
 時代小説は年齢層が高いせいか何気にサービスシーン多いですね。


2007-04-27.

・ゴールデンウィークに出勤フラグが立っている焼津です、こんばんは。

 くぅっ……とりあえず「ディアボロの大冒険」でもやって憂さ晴らししよう。

第20回三島由紀夫賞候補作

 山本賞に引き続きここでもサプライズ発生。佐藤友哉の『1000の小説とバックベアード』がノミネートされている……今月頭に島本理生と結婚したことが公表されて話題になりましたけど、このまま追い風に乗れるのかユヤタン。

再来年の大河ドラマは『天地人』

 原作は火坂雅志の小説です。版元がNHKなのでひょっとしたら……とは思っていましたが、実際に来ましたか。主人公は直江兼続で、下巻からは真田幸村も出てくるんですよね、確か。うーん、『天地人』は上巻だけ読んで放りっぱにしているからあれこれ申すのはやめにしたいところですが……火坂の小説なら『虎の城』をやってほしかったなー。

・古橋秀之の『冬の巨人』読んだー。

 刊行に至るまで都合一年以上も延期を重ねた長編ファンタジー。いや、分量的には中編かな? ともあれ、ここ一年ずっとファンの間で幻扱いされていた作品です。新たに刊行予定が発表されるたび「どうせまた延びる」「俺は信じない」「期待したら裏切られる」といった具合に某底なし(ようやく再マスターアップしたそうです……普通「再」なんて付けませんよ)みたいなことを言われ続け、みんな読み終わっても「夢かもしれない」と疑い続けるんじゃないか心配になったほどでした。あとがきに「二○○七年一月」とあるので冬には書き上がったみたいですけれど、当然出版までのラグがあったせいで間に合わなかった。

 ジャンルとしてはボーイ・ミーツ・ガール系のファンタジー。一枚目のカラー絵がキャラクター紹介で、それを見れば分かりますがダブルヒロインになっています。太陽の光が閉ざされ、もはや文献の中でしかそれを知る者がいなくなって久しい未来、世界とはすなわち「冬の巨人」だった――という感じで、果てしない吹雪の荒野を行く「冬の巨人」に寄生し都市を建造している人々の姿を描く。「巨人の格好をした移動都市」という発想が面白く、ノリはやや低年齢向けの冒険ファンタジーめいているが、なかなか丁寧な仕事ぶりが窺える筆致で読んでいて楽しかったです。しかし、200ページちょっとのボリュームで「特異な世界の終末」をテーマにしようと試みたのはやや強引だった気もする。後半がまさに「急展開」と呼ぶに相応しい慌しさで、もうちょっと余裕が欲しかったところ。せっかくダブルヒロインな話になっているのに、それをあまり活かせていませんし。

 思ったより血腥い展開がなくて穏やかに進むこと、「冬の果て」という概念がロマンをそそること、ラストシーンが美しいことに関しては素直に評価したいです。オチとしては「ええー?」って感じとてしなくもないですが、「冬」というイメージからしてどうしても陥りがちになる暗いストーリー展開を避けて力強く前向きに語る姿勢はやはり魅力的。主人公も貧しい育ちで暖にも事欠く生活ながら、たった一人の友人である猫と逞しくサバイブしてて好感が持てる。あと簡素な文体ながら痒いところに手が届く塩梅で説得力があり、しかも微妙にこちらの予想を外す間の取り方をしているあたりは「うまい!」と唸りました。

・拍手レス。

 沃野、読みました …なんという修羅場力!あ、麻耶は俺の嫁な
 このロリコンめ。それはともかくお読みいただきあざーす。

 ピリオドの、弥月さんのキャラ紹介のバニーを見て、ノイヴァンシュタイン桜子ちゃんを思い出した。
 ブロッケン、第2期にそんな桜子が登場するんすよ

 ブロブラII、はやく単行本にまとまらないかなぁ。


2007-04-25.

Littlewitchの新作『ピリオド』のヒロイン「河崎 幸奈(かわさき ゆきな)」

 デコ娘でリボンな先輩(*´Д`)ハァハァ。この『ピリオド』、なんだかんだで結構可愛いヒロインが揃っていてそそられます。ただ現時点ではカラー絵よりも線画の方が魅力的に見えるかな……もうしばらく様子を見ようっと。

第20回山本周五郎賞候補作

 恩田陸や伊坂幸太郎は意外でもないけれど、森見と恒川の名前が上がってくるとはちっとも予想できなかったです。直木賞に比べて「質実剛健」というイメージの強い山本賞ながら、最近は『君たちに明日はない』みたいな受賞作も出しているし、案外とソフトな路線も視野に入れているのかもしれません。それにしても楡周平の『陪審法廷』って、ついこの前に出たばかりの新刊じゃないですか……短期間でよくノミネートできたなぁ。

 うーん、今回は何が来るかまったく読めない。突出して「これだ!」という作品がありませんから、初の「受賞作なし」になってもおかしくない雰囲気を感じます。

・デイヴィッド・マレルの『苦悩のオレンジ、狂気のブルー』読了。

「ヴァン・ドーゼンの分析に打ち込んだ研究者たちなんだが……」
「それがどうした?」
「みんな気が触れてしまったんだ。ヴァン・ドーゼンと同じように」
(中略)
「精神病院に入れられたのか?」
「もっと悪い」
「マイヤーズ、もったいぶるのはよせ」
「驚くべき相似さ。彼らは全員がみずから絵筆をとった。ヴァン・ドーゼンのスタイルを真似て実際に描いてみようとしたんだ。そして、やはりヴァン・ドーゼンと同じように、自分の両目をえぐり出したんだよ」

 映画『ランボー』の原作である『一人だけの軍隊』で一躍有名になった著者の第一短編集。『一人だけの軍隊』が出版される前に掲載されたデビュー作「滴り」から92年の「慰霊所」まで、20年間に渡って書いた中短編の中から16編を選りすぐって収録している。うち2編は随想めいた内容なので、実質14編。マレルと言えば『一人だけの軍隊』を始めとして数々の長編冒険小説を手掛けている作家ですが、15歳の息子を骨肉腫で喪った実体験を元に『蛍』という小説を書いたことでも知られています。表題作含む終わりの3作は息子の死後に執筆されており、そこに篭もった鬼気と哀切の凄まじさは読み比べるまでもなく肌から伝わってきて胸の奥に染み込む。ホラーやサスペンスの多い短編集ですが、通底しているのは「家族に降りかかる危機への恐れ」や「愛する者を喪う恐怖」など、守ろうとして守りきれない歯痒さであり、背筋が凍るというよりも悲しみと憤りの入り混じった痛ましい寒気が次第に高まっていく――そんな構成になっています。

 原題は "Black Evening" 、冒頭から数えて3番目に収録されている比較的初期の短編です。邦題は「ブラックイブニング」なのでそのまんま。「異臭がする」という通報を受けて駆けつけた警察署の署長たちは、さっそく現場である朽ちた風情の住宅に踏み込むが……といった筋。その後の展開は概ねみなさんの予想通り。冒頭一発目の「滴り」が、「家に帰ってみれば妻子の姿が見えず、なぜか地下室に大量のミルクがぶちまけられていた」というシチュエーションの話だから、似ていると言えば少し似ている。どちらも感想としては「アイデアと出だしは面白いけれど、幕切れが呆気ないというか、オチが物足りない」ってところかな。アイデアが面白いだけに、もっとオチの部分をヒネってほしかった。

 雷雨に追いかけ回される男を描いた「嵐」は言わば大自然がストーカーになったみたいな作品で、発想のスケールに唸ったものの、これもオチでがくーっと。丹念で抑制の利いた巧みな筆致が災いして、普通なら「これでオチる」と判断したっていい結末があまり映えず、イマイチになってしまいます。なんとも悩ましい板挟み。が、そうしたジレンマは「マンボー・ジャンボー」や「再来」のあたりで徐々に薄まってきて、「苦悩のオレンジ、狂気のブルー」以降は完全に払拭されます。思うにマレルは短編よりも中編や長編に向いた作風をしているのではないでしょうか。情報量を絞って尺を削るような創作をするより、ただ伸び伸びと余裕のある分量で執筆する方が、彼の場合は活きと勢いが増すと思う。

 上の引用文は「苦悩のオレンジ、狂気のブルー」から来ており、お察しの通りゴッホをモデルにした架空の画家ヴァン・ドーゼンを巡って進行します。ミステリ好きは咄嗟に『思考機械』ヴァン・ドゥーゼン教授を連想するかもしれませんが、当然関係はありません。狂気に落ちて壮絶な最期を遂げた前衛画家ヴァン・ドーゼン……生前は不遇ながら、死後になって爆発的に評価されるようになった彼の絵。そこに篭められた謎を解こうとする者は、彼と同じ破滅を味わうことになる。だというのに、まるで破滅に引き寄せられるかのごとく「真相」に肉薄していくストーリー。異様な緊張感と不気味さに満ち溢れていて、「怖い……けど気になる!」といった具合に読み手を恐怖の底なし沼へと導くわけです。もはやオチの物足りなさは微塵もなく、ラスト1ページの文章には気圧されるばかりだ。

 つづく「墓から伸びる美しい髪」も圧巻。不慮の事故に遭って帰らぬ人々となった両親の遺品を整理していた主人公が、私的な書類の中に不可解な養子縁組同意書が混じっているのを見つけ、「ひょっとして自分は養子だったのではないか?」という考えに取り憑かれる。発端、謎、手掛かり、真相。単にこれらを説明するだけならさほど目立つところのない一作なんですが、このネタをこういうふうに紡いでしまう作者には空恐ろしいものを感じずにはいられません。怪奇とか耽美とかいった次元ではない。延々と針に糸を通し続けるようなセンシティブな描写が連なり、ごくシンプルに打ちのめされて震えた。掉尾を飾る「慰霊所」については内容がストレートすぎて、もはやコメントを付すまでもありません。

 おどろおどろしいタイトル、垢抜けないブックデザイン。これらのせいで敬遠して気になりながらもなかなか手を付けずにいましたが、外見的な印象に囚われて先延ばしにしていたことを今はひたすらに悔やむのみ。前半の方は若干アタリハズレがあって「全部面白い」とまでは請け合えないものの、そうした少々の微妙さは最後まで読み切ればあっさりチャラにできます。アイデアはいいし文章も丁寧、そして「それだけ」に終わらない何かもちゃんとある。シニカルで乾いたタッチを基調としつつも、ふとした瞬間、人情味を封じ込めた温かな光が射すところに彼特有の作風が窺えるのではないでしょうか。

・拍手レス。

 胡桃花の最終形態の描写を読んでいると、脳内でエクスデス戦のテーマがかかります。
 「眼」が 胡桃を のみこみだした! 「な ん で! 『眼』の力を手に入れたのに……『眼』とはいったい……うごごご!」

 ドラクリウスの予約特典吹いた。ときぱくてwwwwww
 諸行無常なり。

 単行本一冊2100円且つあのぶ厚さは頭オカしい。……買うけどな!読むけどな!
 去年『イリアム』を買った当方にはなんともないぜ。

 胡桃ってヤンデレ? また,別の修羅場が読みたいなぁ……
 実はヤンデレの定義がよく分かってない……あと修羅場ならまとめサイトで腹一杯、胃袋破けるほど読めますよー。

 ハードカバー本を楽しく読む秘訣を教えてください。もうね、ハードカバーの読み難さは異常ですよ。
 帯とカバーは外し、ライフルの如く「骨」で支える。疲れたら机に置いて読む。置き読みに慣れると楽になってきます。

 こえぇぇぇぇぇぇ!沃野こええぇぇぇぇえええ!……あんたぁ、やっぱりいいもの書く人だぁ。
 まぁ、さっき読み始めたばかりなんだが。

 自分で書いてるときはさほど怖くないと思ってましたけど、サウンドノベル版やったらチビりかけたなぁ……。

 沃野読了。アンタ最高だよ。あと女に刺されて死ぬのは男の本懐だと思うがどうか?
 刺されて死ぬまでの短い時間に何を思い何を為すか、が男の本領だと思います。

 麻耶の声のイメージが、トーニャの中の人になってきた今日この頃。
 トーニャの中の人というとポチ(@『ひめしょ!』)のイメージが強烈……演技があまりにも神懸っていましたので。

 『化物語』に手を出し、プラスチックの新解釈に西尾氏の恐ろしさ、その片鱗を垣間見ました。続編希望…。
 続編と言いますか、過去編が来年あたりに出る予定ですね、確か。


2007-04-23.

京極夏彦の新刊皆川博子の新刊の分厚さに恍惚としている焼津です、こんばんは。やはり、極太本は見ているだけでウットリする喃。『BLACK BLOOD BROTHERS』の新刊も、「極太」ってほどじゃないけど思ったより厚めで大変よろしゅうございました。斯様にして重厚長大書籍スキーの当方ですが、厚い本は読破するまでやたらと時間が掛かるので、実際読むとなるとつい敬遠してしまいがちです。ジレンマ。なので、逆にすぐ読み通せるような薄めのブックも手頃で好き、なのだけれど……見ていてウットリしないところが難。これもジレンマ。ああ――恐ろしくどうでもいい悩みだ。

「魔法少女忌譚修」飛鳥彼方さんによる第12話更新

 今月中に来るかどうか、という線で傍観していたのにもう投稿されていますよ早ぇー。そして緊張バリ高の急展開。むーざんむーざんの連続だー。ちょっとカッコいい新キャラが出てきたりしてやりたい放題だー。ちなみに「あのキャラ」に出番がなかったことは設定を読むまで気づかなかったー。

 「忌譚修」は全16話構想ですので、次回の第13話から最終局面に差し掛かるだろうことは疑いのない事実。話を進めるとともに終わらせる方向でも頑張らないといけませんので、そろそろ書き手側もきつくなってくるはず。第13話を担当されるウエ紙さんに対し種々様々な期待が湧き上がって已みません。

ロシア……おぬしはやはり、物が違う……

 フィリップ・カーの『屍肉』という小説に放射能汚染されていると薄々気づきながらも闇市の牛肉を買う市民の描写があって、「ああ、そうまでして食いたいのだな……」と衝撃を覚えたものですが、この記事にある質問項目を読むと別の意味で衝撃を受ける。まさか……「焼けばOK」とか思っていたわけじゃないよな、あれ。

『釣☆カノジョ〜あの娘は釣り頃、釣られ頃〜』

 18禁で釣りゲーとは、なんとも大した冒険ですな。どこまで狙ってるのかイマイチよく分からない微妙さが却って心地良い。「つりデレ」というのは明らかに無理がありますけど。まあ、駄洒落というのはくだらなければくだらないほど分かりやすくて良い、という見方もあるそうです。新聞の見出しに使われる駄洒落が滅法サムい親父ギャグなのはそうした考えに基づいてるからなんだとか。広告やCMでもハイブロウなギャグを飛ばすより「くだらなくて分かりやすいネタ」を使用した方が販促効果はあるらしい。又聞きなので真偽は知りません。

・デイヴィッド・イーリイの『大尉のいのしし狩り』読了。

「ぼくたちはスターリングに似ているんだ」とスプラットが言ったことがある。「だからみんなの気にさわるんだ」まわりで抗議の声があがったが、スプラットは臆せずに続けた。
「たしかに画家としてはお話にならない。しかし、あの恐るべき個性は、芸術家の一面を見事に衝いていると思う。芸術家には自己中心的なところがあるものだ。彼は鏡なんだよ。いびつにゆがんでいるけれども、ぼくたちみたいに一人きりで仕事をする者の虚栄心をうつし出す鏡なんだ」

 『ヨットクラブ』で話題を喚んだ異色作家、イーリイの邦訳第二短編集。日本オリジナルの編集で、表題作含む15編を収録している。イーリイは60年代から活躍している作家で長編作品もいくつか出していますが、短編集は原書だと『ヨットクラブ』も入れて2冊しかありません。今回はもう1つの短編集からの7編と未収録の8編を合わせて頭数を揃えた模様。長編小説はあまり評判が良くなかったので、『ヨットクラブ』以降イーリイの作品とはすっかり縁遠くなっていましたが、ここのところ「異色短編」というジャンルに興味が湧いてきているから、本書に手を伸ばしてみました。

 はじめ、彼らは四人組だった――軍の規律を重んじることなく、ひたすらに「俺たちのルール」を貫いてきた四人の兵士たち。しかし、一人が狙撃兵の餌食となって戦死し、敵軍への猛烈な報復を遂げた後、更に一人が自殺して残りはたった二名となってしまった。彼らがするべき弔いは一つ、仲間を自殺に追いやった大尉への復讐だったが……「大尉のいのしし狩り」。

 硬質でいて粘着質。奇妙な熱気を底に孕んでいるくせして冷え冷えとした寒気を感じさせる作風は、やはり今回も健在でした。表題作は「いかにも」といった筋立てで、それほど意外性に満ちているわけでもないんですが、結末に当たる部分が結構長く、「イーリイ節」とでも呼ぶべき独特の風味を持ったスリルが潜んでいる。イーリイは割とサクッと話を終わらせることもできる作家なんだけど、こうやってあえて引き伸ばすことでねちっこく興味を継続させるあたりにも魅力を感じます。

 上に引用した部分は二編目の「スターリングの仲間たち」の一文で、このスターリングという男、絵に関しては不快なぐらい下手糞なのにやたらと自信家で、「この絵はひどい」と文句をつけても「わざとそう描いたんだ、それが俺の芸術なのさ」と断言するし、女性はみんな自分に惚れていると思い込んでいて傲慢に振る舞い、否定しても「ムキになるところが怪しい」と笑って返す。会話が成立しない、現実にも存在しがちな「嫌な奴」で、同じコーヒーショップに集う芸術家志望の若者たちは彼を嫌うあまり「死刑判決ごっこ」まで繰り広げる。単に不快というだけで片付けず、「同属嫌悪」の要素も絡めて人間の醜い心理をサラッと書いてみせます。イーリイ作品に登場する主要人物は、スターリングほどではないにしても自己中心的で「嫌な奴」が多く、どんな目に遭ってもあまり同情しないで済むという美点なのかどうなのか判断に悩む特徴がある。イタリアの小村を舞台にした「忌避すべき場所」はそうした特徴が顕著に現れ出ていて、悲しみすらなく乾いたムードが漂う。

 それと、ホラー系統、特にサイコ・サスペンスに類する描写に関しては出色。「いつもお家に」「歩を数える」「緑色の男」あたりは、仰々しい説明や薀蓄を抜きにして強迫的に追い詰められる人間の心情を容赦なく描いています。とにかく「恐怖の瞬間」を切り取るのがうまい。読者をゾッとさせることにおいて、彼の「硬質でいて粘着質」な文体はこれ以上にない武器となります。幻の名画を巡る「裁きの庭」や違法の領域へ踏み入れる「ぐずぐずしてはいられない」はネタの良さだけじゃあそこまで怖くならない。庖丁捌きを心得ているからこそ、こうも見事な切り口を晒せるのだと思います。

 個人的には「登る男」が好き。エッフェル塔やら自由の女神やら高い物に登ることしか能のない男が巨きな古木を通じて大自然と交感する様を綴った、イーリイにしては珍しく感動的なところのある一品です。それと、イタリアで消息を絶った美食家の公爵を見つけ出すため伯爵やら男爵やら王子やらといった面々が美食の冒険に打って出る「グルメ・ハント」は軽妙なタッチで書かれており、一見すると真面目そうに映るその文調は最近の作家で言えば森見登美彦に通ずるものを感じます。抱腹絶倒とまでは行かないにしてもクスクスと笑えるナンセンスな味わいがあって楽しかったです。他にも、小野田少尉の生還にインスパイヤされて「第二次世界大戦の知られざる生存者」をでっちあげる「最後の生き残り」は、でっちあげの対象として選ばれた男が孤島での生活にあっさりと順応していて面白い。巻末に収められた「昔に帰れ」は消費社会からの脱却を目指した若者たちが消費社会の食い物にされる転倒をドライに描いていて、ちょっとだけ星新一っぽかったかな。

 全体がバラエティに富んでいるし、作品ごとに適切な筆致に変化させているおかげで読みやすく、なかなか退屈しない短編集でした。この調子で第三短編集も……と期待したいところですが、さすがにもう弾がないでしょうか。

・拍手レス。

 沃野はWeb小説系で初めてティッシュ箱に手が伸びたモノです。ご馳走様でした。あと、下品ですいません
 発表したところがエロパロ板なので、そう聞いてむしろホッとしましたw

 『沃野』……今まで黙っていたなんて…!許せない!胡桃は私だけのものよッ!!
 胡桃なんて選んだら『エネミー・オブ・アメリカ』な日々を送ること必定ですよ……マジで。


2007-04-21.

めろめろキュ〜トの新作『ドラクリウス』、エロシーンのサンプルテキストが公開され、まったくエロくない代わり妙に笑えた焼津です、こんばんは。

リアン「‥(‥で、では、せめてお風呂に‥!)‥」
ゼノ「‥(大丈夫です、ちょっとゲロ臭いぐらいの方が、男は興奮します)‥」

 この遣り取りは新しすぎる。

・ロバート・トゥーイの『物しか書けなかった物書き』読了。

「打ち解けた、ね」ウィアーは曖昧な笑みを浮かべた。それは厭味なのか? おそらくそうなんだろう。ウィアーは自分でこう言った――わたしには職業病があってね。模範的な刑事は、出された料理にはなんでも塩を振ってしまうのさ。

 表題作含む14編を収録した短編集。日本オリジナルの編集で、編者は法月綸太郎が務めている。トゥーイという作家はジャック・リッチーと同様に国内ではマイナーだった異色短編の書き手で、日本で出る本もこれが初めてとなります。当方も存在すら知りませんでした。法月綸太郎の名前がなければ気に留めることなくスルーしていたかもしれない。

 表題作は、「適度に酔っ払いながらタイプライターを叩くと、実体のあるものを生み出すことができる」という超能力なのか何なのかよく分からないパワーを獲得した三文作家の話で、冒頭ではいきなり馬を「書いて」みせる。小説の仕事は来ないながらも、このパワーによって「書いた物」を売り捌くことでガッポリ稼ぐ、というあたりが即物的で笑える。「物書き」という職業をありえない方法で皮肉するセンスは正に異色作家の面目躍如といったところ。こんな感じで全体的に奇抜な発想の多い短編集ですが……実を言えば、トゥーイのすごいところはそうした「奇抜さ」ではありません。すごいのはむしろ、話の筋がまったく読めない、っていうところです。

 冒頭一発目の「おきまりの捜査」からしてそうですが、とにかくまっすぐ進むということがない。うねうねと蛇行した道を歩かされている気分に陥り、なかなか先が見通せないんです。「この物語はどこに向かっているんだろう」「そもそもゴールなんてあるのか?」と不安に陥るほど定型破りで、あらゆる「お約束」の軛から外れている。短編小説に読み慣れていれば読み慣れているだけ当惑させられます。僅かな枚数の中でストーリーを迷走させ、最終的にはキチンと結末へ向かわせるこの手腕はどう形容すればいいのやら、言葉を探しあぐねてしまう。「不条理」の一言で片付けるのは、なんだか勿体ない。解説ではトゥーイの作風を「オフビート」「ナックルボール」と呼んでいますが、それでもまだまだピッタリと来る気はしません。枠に嵌まらない、と書けば聞こえはいいかもしれないけど……要は捉えどころがない。サプライズ自体はそんなに激しくないのに、着地点を悟らせない巧妙な語り口で読者を強制的に方向音痴化させる。「一切無駄がない」のジャック・リッチーとは正反対とも言えるスタイルです。どっちが優れているとか劣っているとかじゃなくて、読み比べてみると両者のすごさが双方向的に際立つ仕組み。

 収録されている中では、ジャック・モアマンのシリーズ(シリーズたって二編しかないけど)が痛快で楽しかったです。ネタバレになるので反転させますが、奥さんが電話で「明日戻ってあなたがいなかったら、監獄へ行けばいいの?」とメチャ普通に訊いてくるシーンに噴いた。それから、解説で「普通の作家ならこの種のテーマを描くのに、絶対こういう書き方はしません」と誉めているのか貶しているのか判断しかねる評を貰っている「階段はこわい」、ひたすら真意を匂わせるだけで何も明確なことを書かずに終わる「そこは空気も澄んで」、小説内の探偵が自意識を持って作者とやり合う様をコミカルなのに哀愁漂う筆致で描いた「いやしき街を…」、ミスオタなら思わずニヤリとする展開で送る「犯罪の傑作」あたりも良いが、特に出色の仕上がりだと思ったのは「予定変更」。ただでさえ「奇抜で筋が読めない」というトゥーイ作品の中でも極めて常軌を逸していて、話がどこへどう進むんだか完全に予測不可能です。あと個人的には「墓場から出て」も好き。細かいところは不明だらけで、あまりオチらしいオチもついてないものの、他の作家では書けないであろう非常に独特なムードの篭もった読後感が印象的でした。

 オススメできるかどうという点では、何とも決しかねる一冊です。人によっては「こんな作風読んだことねえ!」と大喜びしそうであり、また人によっては「どこが面白いのか分からない」と切って捨てられそうでもある。「お約束」「御都合主義」「予定調和」といったものに食傷気味な方が賞味されれば新鮮さを堪能できるのではないか、と推測します。しかしそれにしても、現地のエージェントでさえ連絡がつかなくて、作者が今生きているのかどうか不明だっていうのは……なにげにすごい話だなぁ。

・拍手レス。

 貴方がMYバイブル沃野を書かれたヤハですね。拝ませて貰い候
 ご利益はナッシングですけどご随意に。

 あ、あなたが沃野を書いていたのかー!巡回に入ってたのに今の今まで全然気づかなかった!
 大丈夫です、そもそも気づいた人は一人もいませんから。

 沃野2は書かないんですか?
 「バオバブの木!? 巨大すぎて――全容が掴めねぇ!」「ふふ、これはね、千里眼を越え、万里眼を超え、邪気眼をも超越した……テラ里眼だよ」「変えるべきは未来ィィィィではなく過去! 私の瞳は歴史を改竄するッ!」みたいな超展開の連続になること請け合いなのでやめた方が無難です。


2007-04-19.

「にゅーくりあ・しっと」管理人さんによる誉め殺し(4月18日付)に赤面が止まらない焼津です、こんばんは。

 あまりのご丁寧さに畏れイリヤの母親アイリスフィール、いや『Fate/Zero』は関係ありません。とにかく恐悦至極にござります。読めば読むほどぬるい汗が噴いてきますよ。これだけ綿密な解説をいただくとブログの方に転載したくなる欲も湧いてきますが、さすがに恥ずかしいので断念。やってくれた喃、RIG2さん。サイトの方では本格的にSSの執筆を再開すると宣言されていて頼もしい限りです。

 それから暁さんも紹介してくれていますけれど、ええ、イラストに関しましてはまこと身に余る果報。これは夢で、起きたら「さあ、抱き枕を梱包する作業にもどるんだ」って言われるのではないかとたまに疑うほどです。なまじファンである期間が長い(何せ始まりはここを開設する以前に遡る)だけに、今でも毒めぐさんに声をお掛けしようとするたび頭が真っ白けになるのを防げない……。

 で、暁さんの「パルクル」(近未来を舞台に弱者の位置づけにある男女が大金を抱えて異形の追っ手たちから逃げ惑うノンストップアクション)、現在は「危地に次ぐ危地、油断すれば即・死」という局面に差し掛かっていて目が離せない。毎回楽しみにしてます。

・ざらの『ふおんコネクト!(1)』読んだー。

 キャラクターの名前が通信関係で統一されている四コマ漫画。タイトルからするとネトゲ廃人女子高生の境ふおんが主人公みたいに思えますが、どう見ても三姉妹の方に比重が偏っています、ありがとうございました。ふおんはトラブルメーカーというか、話を進めるための起爆剤みたいなキャラで、作中での位置づけはよく分かりません。「ネトゲ廃人」とかの設定も飾りに近いし。とりあえずロリ教師の夕とモデル体型の交流(あける)とややシスコン気味の通果(みちか)、三姉妹が繰り広げるドタバタ劇をのほほんと堪能すればよろしげ。三姉妹と言いつつも全員血縁関係はないんですよね。長女の夕は養子で、引き取った両親は次女の交流が生まれてから離婚し、父親が再婚して後妻の連れ子である通果が加わった次第。更に夕だけ名字が違ったりするのでややこしい。

 この手の四コマにしては絵の密度が高めで、ネーム量も結構多いから、最初は「ゴチャゴチャしていて読みづらいなぁ」と少々難儀させられました。ネタはいろいろとパロディを絡めつつも大半が日常のイベントを綴った他愛もない代物になっており、途中までどこが笑いどころなのかと真剣に悩みましたが、慣れてくるとこの高密度な四コマ世界が新鮮でいつの間にやらすっかりハマっていた罠。贅沢と言えば贅沢な作品ですね。しかし、あくまで「慣れてくると」楽しいのであって、終始波長が合わなければ「ゴチャゴチャしている割にネタが他愛もない漫画」という評価で決着してしまう。重箱を隅々まで舐め尽くすように細部の小ネタまで神経を行き届けさせないと辛いかもしれない。

 キャラクターはやはり童顔女教師兼ダメ人間の英夕(はなぶさ・ゆう)が際立って魅力的でした。夕、やっちゃないよ夕、とけしかけるまでもなくトンデモな真似をやらかしてくれる暴走センスに惚れ惚れ。次女どころか三女にまで身長を追い抜かれる長女って可愛いよね。血縁も性格も趣味もバラバラな三姉妹が何の違和感もなく一つの家族として暮らしているあたりがタイトルの由縁でありテーマでもあるのだろうか。個人的には夏休みの帰省にまつわるエピソードのところが面白かったです。母親扱いされる交流がツボ。

・古川日出男の『13』読了。

 「サーティーン」ではなく「じゅうさん」と読む。著者が初めて出した本はウィザードリィ小説の『砂の王1』(1だけで2以降はない)ですが、四六版、いわゆるハードカバーで上梓した一冊目の書籍はこれに当たります。故に「一般文芸におけるデビュー作」と位置づけてもそれほど間違いではないかと。『アラビアの夜の種族』で日本推理作家協会賞と日本SF大賞を同時受賞し、『ベルカ、吠えないのか?』で直木賞候補、『LOVE』で三島由紀夫賞受賞と今ではすっかり名声を勝ち得て評判も高く固定層も築いている古川も、この『13』が出た頃はほとんどの人にとって「未知の新人」であり、海のものとも山のものとも判別がつかなかったのです。そして試しに一読すれば……「やっべ、本気で海のものとも山のものとも知れねぇよ!」となってしまうのが本書であり、ジャンル分け不可能な内容にひたすら眩惑され、しきりと惑乱すること請け合いです。

 一九六八年に東京の北多摩に生まれた橋本響一は、二十六歳の時に神を映像に収めることに成功した。

 書き出しの一文。いきなりこれですよ。並みならぬオーラが漂っています。単なるハッタリなのかどうかは、読んでしばらくすればハッキリとしてくる。胎児の頃から左目の視神経を痛めていたため「片目だけに色覚の障害が発生する」という状況下に置かれた主人公は、それゆえに脳を刺激されて「他の人には見えぬもの」が見える天才児として育つ。「見えないものが見える」と言っても、亡霊とか過去とか未来といったものが見えるわけではありません。作中では「色の幽霊」と形容されていますが、要は色彩。世界には、彼にしか捉えられない「色」が満ちているのだ。文章で色彩を表現するという行為は説明するまでもなく難事業であり、試みだけ聞かされれば「無謀」という気もする。しかし、古川日出男は主人公に「学校の美術室」というアトリエを与えるだけでは飽き足らず、それどころか日本という国の枠を突破し、アフリカ大陸という新たな舞台へと彼を誘う。広大無辺のアキャンバス、無尽蔵の顔料を蓄えた果てなきアトリエ。常人の発想を軽く凌駕するスケールで以って、「難事業」であるはずの「色彩」というテーマをあっさりと実現させる。パリだの何だのといった美術都市ではなく、わざわざザイールを舞台に選ぶあたりに作者の野心をヒシヒシと感じます。

 あらゆる生命と色彩が凝縮された熱帯の森。第一部「13」で繰り広げられるストーリーは圧巻の一言に尽きます。天才児とはいえ一介の日本人少年である主人公が、周りの農耕民から「森の悪霊」と忌避されるジョ族の集団に紛れて熱帯の暮らしに馴染んでいくパートの他に並行して、ある少女にまつわる物語も紡がれる。彼女は見目美しいというだけの普通の少女……のはずなんですが、数奇な運命に翻弄されて己が裡に「天使」を降臨させることになります。天使が降臨するまでの過程――決してファンタジー路線ではなく、合理的な説明とともに描かれますけれど、その筋立ては強引という域を突っ切っており、ここで快を得るか不快を得るかで『13』という本の面白さがまったく変質してきます。「トロい」というほどではないにせよ、後の古川作品に比べれば疾走感が少なめで、代わりにこれでもかとばかりに緊密になっている文章はいかにも「初期作」というニュアンスを放っていて、個人的にはとても心地良かった。まだスタイルの確立していない不安定さが却って興味深い。過度に難解な語彙を多用しているのは幻視風景を編む意図があってのことでしょう。にしてもルビが振られてなきゃ到底読めそうにありませぬ。

 詰め込まれた情報の量に思わずクラクラし、綴られているのはあくまで文章であってそこにはインクの黒と紙の乳白色しか存在しないにも関らず、「色彩の洪水」を自然にイメージとして把握できるのだから恐ろしい。単に「幻想」と書いてしまうとどことなく軽薄なムードが漂ってしまいますが、本書は幻想的なのにえらく骨太な物語に仕上がっていて歯応えバリバリなのだから尚更恐ろしい。泥臭さと骨太さ。「饒舌で自意識過剰(あるいは無意識過剰)」という古川小説の底に潜んでいる川は深く、いささか水面が淀んでいるように映るかもしれないが、決して流れが止まることのない力強さを漲らせている。アフリカに聖地(エルサレム)を、千年王国(ミレニアム)を構築しようだなんて半端じゃない。ザイールの人間が外来の服を着て煙草を吸うことを単に「洋装」「欧米化」と表現するのではなく、「白人の力を取り入れる霊的武装」として描くなど、その糞真面目にトンチキなことをやらかしているセンスは、喩えれば『鬼哭街』における「サイバー武芸者」「電磁発勁」みたいなものである。無論、惚れました。

 第二部「すべての網膜の終わり」に入ってからは取り留めのない展開が続き、見所は残されているものの「失速した」という感は否めない。特に終盤の畳みかけは単に強引と思えた。「強引という域を、勢いに乗って突っ切る」ところが第一部の魅力だっただけに、惜しい。一つの作品としては必ずしも「成功作」と言い切りがたいし、これを「失敗作」と見做す人がいても「うべなるかな」といった塩梅ではあります。しかし、このイメージの奔流、叩きつけるような荒々しい文体、語彙に振り回される寸前の危うさが逆に「荒削りな作風大好き」っつー当方の琴線に触れまくってしょうがない。とにかく鬼のように説明しづらい微妙なニュアンスに包まれた物語なので、いくら言葉を費やしても魅力を伝えられないのがもどかしい限りだ。表紙がピカソの絵ということもあって取っ付きにくい印象を受けるかもしれませんが、この我武者羅なパワーにはひとまず触れてみても損なし。どこが面白いというより、ただ読むことが楽しい一冊でした。

・拍手レス。

 沃野の作者さんだったんですね…もう、鬼才ぶりにもたいがいにしないと、いい加減、解脱しますゼ!
 鬼才とか言うより単に趣味が歪んでいるだけのような気も。

 漫画や小説のSSは書かんとですか?
 「SS書きてー」と思うような漫画や小説があれば書くかも。

 あなたが神だったのか( ̄口 ̄)
 いえ、ただの好事家でありんす。


2007-04-17.

・何の脈絡もなく「お嬢様はテロリスト」という言葉を思いついた焼津です、こんばんは。

 お茶、お花、日舞、ピアノ、バイオリン、爆弾製作、毒劇物の扱い、侵入技術、狙撃術、拷問術を嗜んでいる十五歳のヒロイン(当然黒髪でお嬢様ヘア)は要人暗殺であろうと一般市民を巻き込んだ無差別テロであろうとに関らず常に慎み深い微笑みを匂わせている、冷血なんだか温血なんだかいまいちよく分からない鬼畜令嬢なわけですよ。「あらあら大変、切る指がもうなくなってしまいましたわ」とかそんな感じ。澄まして紅茶を飲んでいるシーンでも、テーブルの上には高価で可愛いティーセットに混じって銃器やガスマスクが無造作に置かれているようなイメージで。持ち歩いている日傘の素材も防弾使用、柄の部分をカチャッと回すとスペツナズナイフみたいにバネの力で石突が飛び出して立ち塞がる邪魔者の喉をひと突き。何せ傘ですから返り血も華麗にガードします。従って優雅なお散歩は依然として続行可能という寸法です。日頃にこやかに挨拶を交わしていた友人すら躊躇せず人質に取り、己の要求をひたすら突き通し一切余事を省みることなく我道を邁進する、血と硝煙と危険思想の暴虐ドレスを心身に纏ったヤングレディ。ウェイ・オンリー・ハー、ハー・オンリー・ウェイ。ラストシーンでは廃工場のキャットウォークに追い詰められ、周りを取り囲むSAT隊員たちが向けてくるレーザーサイトの赤光によって全身を這い回る無数の紅斑点に彩られるも、慌てず騒がず莞爾と頬に笑窪を刻み、悠然たる態度で「ごきげんよう」と一礼。(暗転、銃声、沈黙)。そして場面が切り換わり、死体袋に収められるときさえも、半壊気味の青白い顔面には花のような笑顔が張り付いてるのでした。ちゃんちゃん。

 なんてくだらないネタを書いた後に検索してみたら普通にそういう語が引っ掛かって凹んだ。そっかー、ストックホルム症候群で語り種になってる例のケースかー。

「沃野」をブログに放り込んできました

 ちょうど放置していたブログがあって助かりました。タイトルの「泥(なずみ)」やURLの「koaoe(古青江)」は特に意味がないので気にしないでください。「沃野」は去年の3月から5月まで、だいたい2ヶ月に渡って某スレで連載していた修羅場系のSSですね。原作のないオリジナルなんで、うちのサイトでは需要ないかなー、と引き揚げずにいましたが、まとめサイトに頼りっぱなしというのも悪いですから自前のも用意してみました。嫉妬とか修羅場とか三角関係が苦手な人は読まないでください。「嫉狂ひ」以上のアレっぷりと申しますか、「嫉狂ひ」では果たせなかった地点への到達を目指した一品でもありますので。あくまで目指しただけで、辿り着けたかどうかは一向に定かではない。

 読み返して一箇所だけ気に食わないところがあって書き直しましたけど、一年もブランクがあったせいかちょっとノリが違うような……筆が滑ったというか何というか。他に細かい部分もちょこちょこ加筆訂正しましたが、ともあれ大筋としては特に変わりないです。ついでなので自作解説も書いてみたものの、あまりに恥ずかしい出来だったので破棄して謝辞に切り替え。あと、ブログの構成は同じエキサイトということで「phantom110」(「疾走」を書かれた方のブログ)を参考にしました。ぶっちゃけパクリです。

 水兵さん、ごめんなさい orz

・貫井徳郎の『ミハスの落日』読了。

「神意? つまりパコの死は、神が与えた罰だとおっしゃるんですか」
「そうだ。なぜならばあの密室は、神が作った密室だったからだよ」
 神が密室を作った? ジュアンはオルガスの言葉の意味がわからず、途方に暮れた。晩年を迎えて信心深くなった老人の戯言(たわごと)ではないかと、反射的に考えた。

 海外の都市を舞台とする5つのミステリを収録した短編集。「ミハスの落日」(スペイン)、「ストックホルムの埋み火」(スウェーデン)、「サンフランシスコの深い闇」(アメリカ)、「ジャカルタの黎明」(インドネシア)、「カイロの残照」(エジプト)といった塩梅。作品間の繋がりはありませんが、「サンフランシスコの深い闇」だけは別の短編集に収録した作品の続編らしいです。異国情緒漂うそれぞれの都市を背景に、男と女の謎に満ちた暗いドラマを紡ぐ……と書くとなんだか重たい雰囲気が感じられますが、中にはコメディめいた軽い語り口の作品もありますし、大抵はしっとりと切ない余韻を残して幕となりますから「重苦しい」というイメージはない。

 表題作の「ミハスの落日」は大手製薬会社の創業者に招かれた青年が、その老人と自分の母とを巡る昔話を聞かされる――といった構成の一編。過去語りということもあってノスタルジーの漂う小説ですが、長年音沙汰のなかった幼馴染みの男女がローマ通りでばったりと出会う「それなんてエロゲ?」な展開で進むせいもあって肩肘張らずに読めます。密室特集の際に書いたとあって「密室」に絡んだ事件が出てくるものの、これがまたトリックだけを抜き出したら誰しも卓袱台返しかますこと間違いなしの珍解答。「密室なんて飾りですよ」と言わんばかりです。作品世界を作り込むことでどうにかバカミスになるのを防いでいるけれど、ひょっとしてこんな調子がずっと続くのか? と少し不安になったのも確か。

 幸いにも珍トリックはその編だけで済みました。渋めの警察小説に仕上がっている「ストックホルムの埋み火」、結末がやや物足りないものの軽快なタッチで引き込む「サンフランシスコの深い闇」、娼婦を主人公に据えて独特の読み口を編み出した「ジャカルタの黎明」、後味の苦さが決して不快ではない「カイロの残照」と、手堅くまとめられている。貫井徳郎作品にしてはあまりツイストが利いてなくてサプライズ方面がおとなしい気がするにせよ、世界各地をあっちへこっちへと巡って繰り広げられるストーリーは多彩でいて底に一貫した情念が篭もっており、最後まで退屈や違和感を覚えることなく読み通せます。

 個人的に気に入ったのは「ストックホルムの埋み火」と「カイロの残照」。結末だけに関して言えばどちらもかなりビターですが、「埋み火」や「残照」といった微かな熱の残存を窺わせるタイトルが男たちの不屈を謳い、「深い後悔の中でなおも生きる」ということを淡々と訴えているかのようで、不思議と収まりはいい。貫井徳郎にはいずれ、ずっしりと胸に来る燻し銀系の長編警察小説でも書いてほしいものです。


2007-04-15.

・えすのサカエの『未来日記(3)』を読んだー。

 どうでもいいことですが、作者名を「えすのサカナ」だと思っていた時期がありました。それはさておき3巻。「未来日記」を巡るバトルとバトルの間、ほんの僅かに「平和な日常」が差し挟まれるんですけれど、相変わらずヒロインの我妻由乃は奮っています。「Next Diary:我妻由乃の幸せな日」という予告が出てきたので「ほう、次回は久々にほのぼのとした内容になるんだな」と思いながらページをめくったところ、そこには主人公宅のガラスにガムテープ張って金槌で叩き割る彼女の姿が。ちょwwwテラ不法侵入wwwwww。ストーキングといい刃物の扱いといい、やけに犯罪行為に手馴れているヒロインですね。

 期待に満ちた顔で「襲わないのユッキー?」と言い出す由乃に「襲わないよっ!」と即座に言い返す主人公も、1巻の頃は単なるヘタレと捉えていたのに最近はだんだん可愛く思えてきました。もはやこいつらが普通のラブコメやってても充分に面白い。けどバトルは依然続行なわけでして。今回の敵はややキャラ立ちが中途半端な気もしましたが、「家」という一種の閉鎖空間を舞台に陰湿な争いを繰り広げる展開にはワクワクしました。とにかく我妻由乃が鬼のようにキャラ立ちしているので、話がどう転がっても面白くなってしまうドナルドマジック。たとえ黄装の白面赤毛野郎がチェーンソーとか携えて襲ってきても彼女なら例のアルカイックなスマイルを浮かべつつ対処しそうな気がします。由乃のコワカワいさは無敵。次の巻はまた学園モノに復帰するみたいで楽しみだ。ユッキーに女子が近づいたら由乃がどんな顔をするか、想像しただけでご飯三杯はイケる。

ASa Projectの『めいくるッ!』、体験版をプレー。

 勢いに乗って前回に引き続き今回もエロゲーの体験版をやってみました。体験版だけでも結構積んでいますのでねッ。

 さて、『夏めろ』は発売済みでしたがこっちはまだ発売しておりません。最初は3月末に発売予定だったのに5月に延びてしまった罠。どうでもいいけどブランド名が『夏めろ』のところ(AcaciaSoft)と似ている気がしてしょうがなかったんですが、よくよく見れば最初の「A」と最後の「t」しか合っていないので気のせいだった。

 副タイトルは「Welcome to Happy Maid Life!!」。ある日突然学校にメイドさんたちがやってきて……というストーリーだから、「めいくるッ!」は「メイドが来るッ!」の略でしょうか。タイトルがタイトルだけにヒロインの大半はメイドキャラで、攻略可能な五人のうち非メイドは幼馴染みの子だけ。この幼馴染みの子、依音(いおん)という若干化学臭い名前をしているのですが、「好きなもの」が「よっちゃん(主人公)」で、「嫌いなもの」が「よっちゃんに近づく女」というガチで嫉妬・修羅場系の設定をしたヒロインです。可愛い容姿の割に結構性格が悪くて、そこが良いアクセントになっている。ただ、こういう造型で攻めるならもっと貧乳でシャープな体型のキャラにした方が良かったと思う。胸が大きいせいで却って地味な印象を受けます。年上巨乳ヒロインの瑠璃はデザインとしてはなかなか好みで期待を寄せましたが、キャラとしてはいまひとつ締まりがなくてなんだか勿体ない。リリアは裏表の激しいぶりっこロリということでキャラ的にはオイシイものの、萌えるかどうかで言えばあんまり萌えません。他二人は特記事項なし。

 といった感じで個人的にヒットするヒロインはいなかったものの、サブキャラである妹の恵理栖が良かったです。口数の少ない無表情キャラながら、「うぃ」を始めとするほんの数分の遣り取りを経ただけで早くも魅了されている自分に気づくほど。体験版では単なる妹キャラとして登場したのみですが、公式ページの説明によれば腹黒みたいでオラかなりワクワクすっぞ。メインヒロイン五人と引き換えでも等価交換として成立しそうなくらい好みのツボにハマりました。なるほど、これなら発売前人気投票で一位を獲得したというのも頷ける。つくづく非攻略なのが恨めしい存在だ。この予想外の事態を受けてスタッフも予約特典にミニシナリオを追加するとかで、なんとかリカバリーに尽くしている模様。いつの時代になってもこうした「異様に人気の伸びるサブキャラ」ってのは出てくるもんなんだなー。

 シナリオはよくある学園コメディと言いますか、あえてチープでナンセンスなノリを走る路線で行ってますね。いきなりRPGの戦闘シーンみたいな画面になったりとか、微妙な凝り具合が脱力気味の笑いを誘う。全体的に見ればちょっと古臭いところが目につくかもしれない。苦笑しつつも懐かしくなるような、そんなテイスト。おバカな男友達がいて、暴力を振るう幼馴染みがいて、世話焼きの妹がいて、スレスレのギャグがあって、予定調和のドタバタがある。斬新さに背を向けたお約束まみれの学園モノならでは、といった平和で楽しい世界です。繰り返しになるけれど、やっぱり妹キャラがいいですのう(*´Д`)ハァハァ。

・拍手レス。

 「妹は実兄を愛してる」と双璧をなすお気に入りでした>沃野。
 おお。妹兄(わたあな)は当方もお気に入りの一つなのですごく光栄です。


2007-04-13.

Littlewitchの新作『ピリオド』のヒロイン「小石川 小羽(こいしかわ こはね)」

 これはなかなか可愛い娘さんですね(*´Д`)ハァハァ。Littlewitchのソフトは『Quartett!』が最後でそれ以降は買ってないけれど、ちょっと興味が湧いてきた。長崎が舞台で、この子は有翼少女なのか……ふむ。

4月12日付にFateエロ水着ライダー絵(ジンガイマキョウ)

 そんな餌に当方が釣られクマー。

 鮮やかに引っ掛けられまして爆死したものの、冷静に見直してみると普通に素晴らしくないですか、これ。アイリさんの浮かべる微笑みとのギャップがでかすぎるだけで。

リンクページ「にゅーくりあ・しっと」を追加

 かの「山本くんとお姉さん」を書かれた方であり、現在は長編ファンタジー「赤い帽子のまほうつかい」を連載中であるRIG2さんのサイト。「嫉妬・三角関係・キモ姉・ストーカー・ヤンデレ・修羅場・無理心中・監禁……」と、TOPに並べられた単語からして本格派。オリジナル作品群に混じってさりげなく『PHANTOM OF INFERNO』のSSが置かれていたりします。

 当方は暇があれば「山本くんとお姉さん」等をキーワードにして検索するほど熱烈なファンであり、たまたま発見したときは大いに喜んだものです(そのときは「修羅場 ヤンデレ」がキーワードでしたが)。検索によってヒロインの一人「藤原里香」と同じ名前のAV女優が存在することを発見しましたが、それはどうでもいい。やたらと手の込んだメインコンテンツ「修羅場検定」のみならず、4月1日(エイプリルフール)や4月10日(しっとの日)に合わせて新ネタ披露など、ここ最近の訪問者を歓待してやまないサービス精神の旺盛さには傍から見ていて「すごいなぁ」と驚かされることしきり。遅れに遅れてなんだか今更ですが、ともあれリンクに追加いたしました。

 おにゃのこの、時として洒落にならない嫉妬暴発劇が大好きという剛の者(業の者?)にはオススメです。

AcaciaSoftの『夏めろ』、体験版をプレー。

 エロゲーの体験版をやるのは久々です。先月は一個もしなかったし。さて本ソフトは既に今年の1月に発売済み。『月光のカルネヴァーレ』と同日です。あ、そういやカルネ、途中で止まってるな……まあともかく、『夏めろ』のメーカーであるAcaciaSoft。名前を聞いてもピンと来ない方は多いかと存じます。「『夏めろ』がデビュー作じゃないの?」と思われても一向に不思議ではありません。何せデビュー作の『シスターコントラスト!』が発売したのは2003年の11月。そして『夏めろ』が2作目のソフトなんですから、優に3年も間が空いたことになります。「奇跡の第2弾」とか謳っているけど、正にその通り。ホント、よく発売できたものですね。シスコンはつくりすぎたのかワゴン入りしていた時期もあったくらいなので、てっきり一発屋で終わるものと決め込んでいました。

 ライターは木之本みけ。前作『シスターコントラスト!』以外にもうぃんどみるの『魔法とHのカンケイ。』のシナリオを手掛けており、同ブランドの『ちょっと素直にどんぶり感情』でも複数ライターの一人として参加しています。属性としては「ラブコメ」「和姦エロ」ってところですが、一口に「和姦」と申してもちょいマニアックというかフェティッシュというか……ズバリ、「変態」と呼ぶに相応しい作風を有しているところが特徴、らしい。体験版ではあまりそのへんが分からなかったのですが、漏れ聞く限りでは真っ当な純愛ゲーを期待すると壮絶に裏切られるほどの変態ぶりだそうな。

 原画はしろ。全年齢の『シンフォニック=レイン』で有名な絵師です。見れば分かりますがほんわかと柔らかくて繊細な色使いをしたロリ系の絵柄で、ぶっちゃけ「変態」という感じはしません。この組み合わせを良い意味でのギャップと受け取るか、噛み合ってないと判断するかで評価が違ってきそうだ。

 ストーリーは何の変哲もない。両親と妹がアメリカに行って、ひとり日本に残された主人公は叔母の家に厄介になるものの、昔仲が良かった従姉妹はなぜか妙に不機嫌で……といったふうに始まり、あとは夏の学園生活をダラダラと綴っていく。ありふれた日常描写の連続は良く言えば「まったり」、悪く言えば「かったるい」。この手の学園青春モノに耐性がない人なら十数分で苦痛を覚えるやもしれません。耐性がある当方は至って平気にプレー。こういうまったり系の学園モノはテキストや雰囲気が合うかどうかで苦と楽、快と不快の差が大きく出てくるところですが、個人的にはなかなか肌に馴染むノリでした。ヒロインや男キャラとくだらない会話を交わしてボケたりツッコミを入れたり、大枠としてはパターンに嵌まった遣り取りの繰り返しながら、細かいところに気が利いていて退屈しない。正直、ネタそのものは目立って面白いわけじゃありません。むしろネタのくだらなさ、しょーもなさを自覚したうえでテンポ良くテキストを紡いでおり、切るべきところは切り、伸ばすべきところは伸ばす……とバランス良く書いていて「心得ているなぁ」と感心した次第。独り善がりに陥らず、読み手を置いてけ堀にしない濃やかな気配りが嬉しかった。

 キャラクターは従姉妹の橘花、クラスメイトの美夏、委員長の蘭、後輩の秋、妹のつぐみといった配置。橘花は自分の家に主人公がやってくることを歓迎しておらず、初登場の際も険悪な雰囲気を漂わせるのですが、直後に水溜りで足を滑らせてコケかけ、マヌケな一面を晒したことであっさり「険悪な雰囲気」をチャラにしてしまう。分類的には「主人公嫌悪型のツンデレ」といったところだけど、あまりキツく嫌悪しているふうでもないからストレスは感じない。普通に可愛いっスね。美夏は「気楽になんでも言い合える」という友人タイプのキャラで、下手すれば脇役になりかねない位置。唯一黒系統ではないカラーの頭髪を有しているので、その面から言えば一番目立つヒロインではあるのですが……。蘭はキャラデザ的には最美人。立ち絵によってはドキッと胸に来るものもあります。逆に言えば絵によってはあまり来なかったり。んー、しろの絵柄って微妙に安定感欠くところがありますな。性格としては、なんだろう、ムッツリスケベ系? 秋は出番が少ないので何とも言えない。体験版の時点ではもっとも地味。つぐみはブラコン妹。前作が『シスターコントラスト!』なんつーゲームだったせいもあってか「萌える妹」を書くのはお手の物といった塩梅で危なげがないです。ただ、妹キャラが平然と「ただいま○こ」と言っていいのかっつー問題はありますが。これで確実にヒいた人はいると思う。『お姉ちゃんの3乗』『ひめしょ!』が大好きな当方はむしろ微笑みましたが。

 残念ながら「変態」についてはその片鱗すらも触れられなかったけど、エロ要素と日常要素が不可分に結びついているせいでコンシューマー移植するのが無理なエロゲーを「その心意気やよし!」と褒めちぎりたくてしょうがない身としては大いにそそられるものを感じました。こういう可愛い絵柄で下ネタを飛ばすノリも好物であります。シナリオはなきに等しいものの、たまにはこういうまったり系も悪くないか、ということで早速注文いたしました。発売済エロゲーの体験版はこうやってやり終わった後にスムーズに買いに走れるからイイなぁ。製品版が届くのが楽しみです。


2007-04-11.

「魔法少女忌譚修」、当方担当分の第11話を更新

 物語を畳む方向に進めてみました。10話までにこういう展開が来るとは考えてなかったから、過去にメモしてたネタのほとんどは使えなかったです。新幹線を召喚して敵の軍勢をプァァンと轢き殺したり、毒ガスを撒いたり、螺旋銃剣二刀流と風刃居合術のインチキチャンバラが繰り広げられたりと、邪気眼どころではない大騒ぎになる予定がみなパァに。まあそうなってよかったとは思いますが。とにかくこれで肩の荷が下りました。次の第12話を担当される方に期待を寄せたいです。

・西尾維新の『刀語 第四話 薄刀・針』を読みました。

 今回ようやく「日本最強の剣士」という触れ込みだった錆白兵が登場。かつて武蔵と小次郎が死合った巌流島、ここが決戦の舞台に選ばれた。「向こう側の景色が透けて見えるほど薄く、剣筋を違えればたやすく折れてしまう極薄の刀」である「針」を振るう剣術は必ずや虚刀流当主・鑢七花を悩ませるであろう……! 今まで散々伏線を張ってきた回だけあってとてもワクワクしながらページを繰った次第。そして――目撃しました。

 (^o^)なんという禁じ手……思わず目をゴシゴシと擦ってしまった。西尾維新は間違いなく読者をおちょくっている。

 アハ、ハハハ。笑うしかなかったです。いや、面白かったことは面白かったんですけどね? 新しいフラグも立ちましたし、今後の展開は大いに気になりますよ。でも、これは、なぁ。感想に困る。なんというかホント、この巻自体が「拙者にときめいてもらうでござる!」な内容です。連続刊行企画だからこそ可能な荒業。「西尾らしくない」と言われてきた『刀語』が遂に西尾色に染まってきた気配があり、個人的には続きがちょう楽しみ。

・拍手レス

 修羅場スレのオススメに沃野がなかった理由がやっとわかりました
 よくよく見れば去年五月の沃野ネタへのコメントも微妙な距離を置いてますよね

 自作を薦められるというのもなかなか得がたい経験ではありましたw

 「沃野」読ませてもらいました。面白かったです
 ありがとうございます。楽しんでいただけたなら一修羅場スキーとして幸いです。

 沃野の作者はあなただったのですか…!全く気付いていませんでした。すみません。凄く好きでした。
 (続き)食人花の描写に悍ましさと美しさを感じ、ラストバトルに手に汗を握ったのもいい思い出です。

 ラストバトルはつい趣味に走ってしまいました……あれを受け容れてくれた方々は本当に業が懐が深いなぁ、と思います。


2007-04-09.

・日曜に新刊を買い込みすぎてえらいことになってる焼津です、こんばんは。マンガや文庫本でも一度に十数冊買うと重たいもんですね……さてどういう順序で崩していこうか。と迷っているうちに以前買った『逆境ナイン』が視界に入り、気になって新刊そっちのけで読み出してしまった。島本和彦の作品は「暑苦しい」というイメージが強いせいもあってあまり読んでいないけれど、『逆境ナイン』はイイ意味でハッタリが利いていて面白い。その傍らで新刊は『とある魔術の禁書目録13』に着手。「木原真拳」と呼び称された例の殺法はまたもや飛び出すのか。

R.A.サルバトーレの『<忘れられた領域> クレリック・サーガ 秘密の地下墓地』

 うわっ、知らないうちにサルバトーレの新刊出てた!

 「忘れられた領域(フォーゴットン・レルム)」とはD&D(ダンジョンズ&ドラゴンズ)における世界観の一つであり、詳しくはこちらをどうぞ。サルバトーレの手掛ける「忘れられた領域」連作は大河ファンタジーの様相を示しながらもほとんど邦訳が出ていなくて、僅かに翻訳された分も今は大概が入手困難になっているという新規読者にオススメしにくいことこの上なしの作品群なんですが、それらの事情はともあれ、内容的には「かなり面白い」と言い切れる。当方は『ダークエルフ物語』をなんとなく読み出してハマりました。児童向けファンタジーみたいな売られ方ではあったものの、濃密な冒険描写は高めの年齢層も充分に狙える出来栄えです。実際の執筆順は『ダークエルフ物語』の前ながら、作中の時系列に沿えば後日談に当たる『アイスウィンド・サーガ』。これは以前に富士見書房から文庫で出ていて、長らく絶版になっていたのを出版社を変えて更に分冊(全6冊→全9冊)した再刊本なんですが、売れ行きが悪かったのか全9巻中3巻までしか刊行されず今も止まっている状態です。「クレリック・サーガ」も全5巻予定ですが、果たして最終巻まで行くかどうか危ぶまれるところ。

 「『ダークエルフ物語』の姉妹篇」という触れ込みではありますが、聞いたところによれば直接的な関係が生まれてくるのはドリッズト(『ダークエルフ物語』『アイスウィンド・サーガ』の主人公。覚えにくい)シリーズの三作目『ドロウの遺産』(未訳)以降とのことで、ここから読み始めても問題はないみたい。ただ、こんな調子だと『ドロウの遺産』はいったいいつになったら読めるのか、非常に気を揉む状況ではありますね……。

毒めぐさんの「月道」といつの間にか相互リンクになっている件について

 何より本人がビックリ。アクセス解析で知って仰け反りました。「Method of Entry」開設当初から無断リンクしておりましたが、まさかこのような日が訪れるとは露とも予測し得ず。当方はドイツ軍人ではないので大いにうろたえた次第。

 「月道」は長年に渡って欠かさず日参し、一時期は「消えてるー!?」と動揺させられたこともあるサイトですが、例のスレにこっそり投稿していたSS(「沃野」という奴)が縁となって管理人さんと知り合いました。ヒロインのイラストを描いていただいたときの喜びは今もなお尽きず、思い出しただけで体温が跳ね上がります。間違いなく家宝。虚ろな双眸から漏れる陰火は少女の「怖さ」と「可愛さ」が何の矛盾もなく両立しうることを暗黙のうちに示し、こちらの心を震撼させて已まない。あと個人的に髪フェチなので頭髪の描き方にとてもムラムラしたり。具体的にどういったイラストなのかはまとめサイトの画廊で確認されたし。「優柔」や「山本くんとお姉さん」の絵もありますからお見逃しなく。

 キュートもグロもなんでもあり。その繊細な描線と濃やかな色遣いのなかに見る者を引き千切らんとする強靭な牙を秘めた「ポップでナイーブで獰猛」な画風には日々惚れ直すばかりですが、最近はサイトのみならず商業方面でも描かれています(例えばひぐらしのアンソロジー)ので、なるべくアンテナを広くして情報を拾いつつ追っかけていこうかと。

・虚淵玄の『Fate/Zero Vol.2』読了。

 大丈夫かと問われれば平然と頷いただろう。
 本当に大丈夫かと問われれば、ムキになって頷いただろう。
 本当の本当に、絶対に間違いなく大丈夫かと聞かれたら――もしかしたら、あるいは、返答に窮したかもしれない。

 1巻が刊行される前はいろんな意味で目を疑っていた『Fate/Zero』も早いもので2巻目です。最終巻である4巻は今年の夏コミで販売する予定とのことですから、そうなると3巻は6月あたりに出版されるのでしょうか。さておき、今回の副タイトルは「王たちの狂宴」。騎士王、英雄王、征服王……三種の王が揃い踏みした第四次聖杯戦争に相応しい代物です。個人的には“氷と炎の歌”第二部 "A Clash of Kings" (邦題では『王狼たちの戦旗』)を彷彿とさせてより一層ワクテカを募らせる感じ。上の引用部はチョイ役で出演する遠坂凛についての三行文、これだけで幼かった頃の性格をまざまざと読み取れてグッドでした。

 さて、1巻の後半あたりから本格化し始めた第四次聖杯戦争はこの2巻に入ってますます激化するわけですが、もう何を書いても興を削ぐことになりかねないのが辛いところです。いっそ反転してネタバレ感想を綴った方が得策なのかもしれませんが、当方はどちらかと言えば「感想」より「紹介」を優先したいタチなので頑張ってなるべく迂遠に書くとします。えっとですね、「激化」とは申してもまだ血みどろでグズグズでグチャグチュの乱戦にはもつれ込んでおらず、少なくとも「王たちの宴」が開催できるだけの余裕は残っています。アクションもの、バイオレンスものとしての読みどころは3巻に譲っている雰囲気が漂う。そんな中、もっとも目を引くのは「衛宮切嗣がバトルの最前線に立つ」ことでしょう。Fate本編の主人公である衛宮士郎の「父」であり、魔術師でありながら銃火器を好んでどんな詭計も恐れずに駆使する、ほとんどテロリストに近い心性を持った彼が「狩の時間」に入ればどうなるか。答えがここにあります。「切嗣始動」――2巻に掲げるとすれば正にこの四文字の他にない。

 そしてウェイバーとライダーの迷コンビっぷりは健在で、バトルロイヤルの最中だというのにえらくほのぼのとしてしまいます。ライダーに誉められて嬉しさを持て余すウェイバー、ウェイバーの前でハシャいでおねだりまでするライダー、ライダーの大きなゴツい手で頭ナデナデされるとなぜか安心してしまうウェイバー、単に振り回しているだけかと思いきやウェイバーが「orz」なときには優しくフォローするライダー。これはもう特定方面の方々を誘っているとお見受けしてもよろしいな? あと数少ない女性キャラの中ではアイリスフィールさんがやはり我らの心のオアシスとなってくれます。なんという経産婦……ちょっとした言動だけでもワクワクしてしまった。この子持ちヒロインは間違いなく萌える。

 切嗣の靭さと脆さ、両面を晒しつつ進んでいくストーリーは暗雲尽くめというか本編を終えている身には悲惨な結末への道程としか映らない瞬間もあるけれど、時折雲の切れ間から光が差すように希望の種が見え隠れする。終わりの形が既に定まっているとしても、胸によぎるのは悲しさや虚しさだけではないはず。恐らくここから先は「鬱展開」と俗称される天嶮に差し掛かることでしょうが、怯まず読んでいきたい。果たして切嗣の背中は本編におけるあいつの背中を凌駕することができるのだろうか。

 にしても相変わらず誤植が多かった。「凋落」のルビが「しゅうらく」となっているのを皮切りに、「飛び散る脳症」や「余技なくされた」といった気の抜ける箇所が……「不定脈」も「不整脈」の方が一般的に思えますが、これは表現の範疇かしら。

・拍手レス。

 買いましたよ『冬の巨人』!買ったのにまだ本当に出たのかという疑いがぬぐえませんw
 明日になったら夢だったりしないか心配です。

 もはや『冬の巨人』というより『幻の巨人』ですね。うちにも届きましたが読むまでは安心できないです。


2007-04-07.

・明日は久方ぶりに外出予定の焼津です、こんばんは。軽く十数冊は買い込んで来るつもり。

ZIGZAG NOVELSのリーフが倒産「ラノベの杜〜新刊案内〜」経由)

 投票を行なってランキングの結果で出版する本を決めるとか何とか、確かそういうシステムを取っていたレーベルですよね。やや大きめの新書サイズで値段が千円近いことと、気になる作家がいなかったことから一冊も買ったことがありませんでしたが、まさか一年ちょっとで母体が倒れるとは。乱発気味に立ち上がった新興レーベルの間引きがそろそろ始まるだろうという雰囲気は感じていたもののここまでとは予想外です。ライトノベル板のスレがちょうど埋めるところに報せが届いた形であり、スレ的には綺麗な幕切れとなっていました。

・ダン・シモンズの『鋼』『雪嵐』読了。

 元私立探偵でムショ帰りの男ジョー・クルツを主人公としたハードなアクション・ストーリーの第1弾と第2弾。原題は "Hardcase" と "Hard Freeze" 。重厚長大な本が多いシモンズにしてはどちらも割とコンパクトなボリュームに収まっています。日本オリジナルの短編集『夜更けのエントロピー』に収録されていた「最後のクラス写真」という作品で、学校の先生がゾンビ溢れる終末世界で夜な夜な鐘楼に上がってライフルを構えては寄り来る亡者どもを狙撃するシーンを描いており、これの書きぶりから見て「アクションもイケるクチだな」と睨んでいました。正にその通り。『悪党パーカー』の作者であるリチャード・スターク(ドナルド・E・ウェストレイクという名義もある)に献辞を捧げた本シリーズは、そのままB級アクション映画のシナリオとして使えそうなほど痛快で緊迫感に満ちたストーリーを紡ぎ出す。格闘戦や銃撃戦といった戦闘行為そのものはあまり眼目になっていないものの、そこに至るまでの腹の探り合いや化かし合いといった過程がエキサイティングかつスリリングです。

 私立探偵としてのパートナーであり恋人でもあったサラが、何者かに強姦されて殺害された。ジョー・クルツは自らを銃弾に変えて撃ち放ち、犯人である二人の男の身元を突き止めるや、たちまちのうちに私刑を加えて抹殺。逃げも隠れもしなかったせいで警察に捕まった彼は司法取引により減刑。アッティカ刑務所に収容され、11年後に出所した。私立探偵のライセンスは剥奪されていたので無職となったが、私立探偵の能力自体は活きている。刑務所の中で築いたコネを使い、ファリーノ・ファミリーという、かつてはバッファローを牛耳る一大組織であったが今はだいぶ翳りが見えて凋落傾向にある犯罪組織に近づいて非合法な依頼を受けようとするが……。

 というのが『鋼』のあらすじ。殺人罪で捕まって11年も服役した末に進んでマフィアに自分を売り込みに行くという、割合ダーティな幕開けです。しかしその分、主人公がグダグダと罪悪感だの何だのに悩まされる描写を費やすこともないから、アクションものとしては非常にスピーディでテンポの良い展開とも言えます。原題の「Hardcase」はエキサイト翻訳すると「厄介な事件」になりますが、「強情」「ならず者」「手に負えない奴」という意味もあるそうで。ダブルミーニングかしら。敵にはひたすら容赦しない性格のせいで多方面的に恨みを買っているクルツはあちこちで命を狙われ、何度も死に掛ける。「タフ」というより「ハード」と呼んだ方が相応しい生き様です。ライセンスがないから拳銃も所持していないクルツが密売屋から銃を調達するシーンで「プラスティックの銃は好きじゃない」とH&Kを蹴り、あくまで鋼鉄製の品にこだわるところからは頑固一徹な部分が透けて見える。使う銃もその心性もまさしく「鋼」の一文字がよく似合う。ただ、いろんな勢力と思惑が絡み合う割にはシンプルな構成で、「よくあるアクションもの」という印象を超えない面もあって不満と言えば不満。文章もかっちりとして何と言うか「お上品」、バイオレンスものとしては野卑さに欠いていまひとつ弾け足らなかった。あえて良い方向に考えれば「ストイック」とも書けますが。

 続編の『雪嵐』は「秘密を知りすぎた男」となってしまったクルツがファミリーに命を狙われ、逆襲の秘策を編み出そうとするところから始まる。ファリーノと並ぶ犯罪組織ゴンザガ・ファミリーを新たな標的と見据えて計画を練る一方、彼のもとに「死んだはずの殺人犯が生きていた、そいつを捕まえてほしい」という依頼が舞い込んで、最初は乗り気じゃなかったクルツも「そいつ」を調べていくうちにある事実を突き止めて驚愕する。なんと「そいつ」は幾度も名前と身分を変えて各地で少女強姦と殺人を繰り返していたのだった……といった具合にマフィアと連続殺人鬼の二大悪を同時に相手取る、『鋼』以上にハードなあらすじとなっています。付け加えて亡きパートナーであるサラが残した娘、レイチェルの安否も読者の興味を誘うところで、前作がシンプルにまとまっていることが不満だった当方も態度を一転させて満足するくらいに程好く入り組んだ複雑さで翻弄してくれる。『鋼』では「デンマーク人」という謎の殺し屋が不気味な存在感を漂わせつつもあまり出番がなかったせいで不完全燃焼なところがあったものの、『雪嵐』に出てくる連続殺人鬼「ハンセン(偽名)」は秀逸な造型で、アクションとしてではなくサスペンスとして読んでも充分に面白い。アクションとサスペンスの両方が好きな人なら思わず喝采を上げるはずです。

 さすがに主人公だからかあまりあくどい真似はしませんが、いざとなれば一般人を巻き込んで盾とすることも厭わない心算でいる非情なイリーガル探偵クルツ。ハードガイな彼が織り成す暴力と鬼謀の二重奏をご堪能あれ。個人的には『鋼』<『雪嵐』といった評価になるので『雪嵐』を強くオススメしたいところですが、なにぶん前作を読んでいないとキャラクター配置や人間関係が分かりにくいので、やはり『鋼』から読み出すのがベストかと。『鋼』は2002年5月刊、『雪嵐』は2003年6月刊だから以降も一年おきにシリーズが刊行されている――と思いたいところなんですけれど、残念ながらジョー・クルツのシリーズは今のところ『雪嵐』までしか出ていません。少なくとも邦訳版は。『オリュンポス』も無事出たことだし、次はそろそろクルツが帰ってくるものと期待したい。


2007-04-05.

・四月に入ってから花見どころかろくに外出すらしていない焼津です、こんばんは。そろそろ忙しさもひと段落したので、ゆったりとシャバの空気を吸いに行きたいところですにゃあ。

作者サイトでも告知が始まった『冬の巨人』

 出る……のだな。遂に。遂に!

 情報が出始めたのが05年12月、当初の発売予定が2月で、その後幾度もの延期を経て今に至る。エロゲーソフト並みの逃げっぷりにどれだけのファンが泣かされたことか。その間に新刊が3冊出ているから飢えは凌げたものの、待望であることには間違いない一冊です。エロゲーソフトで思い出しましたけど、これはまだ逃げてるんですね……。

ライトノベルアワード2007

 角川系列の四レーベルから20冊、5つの部門に分けて投票を受け付ける模様。レーベル混合という点ではやや珍しい気もしますが、正直そんなに企画として盛り上がりそうなラインナップでもなく。皮肉じゃなしに受賞の翌年にはもう忘れていそう。

・橋本紡の『空色ヒッチハイカー』読了。

「There's nothing wrong with going nowhere, son. It's a privilege of youth(あてどもない旅、それは若者の権利だ)」

 もともとは電撃文庫でSF路線のライトノベルを中心に書いていた著者ですが、『毛布おばけと金曜日の階段』を嚆矢とする地味系青春ストーリーの系譜に連なる本作は冒頭に「最初に断っておくけど、たいしたことは起きない」と書いてある通り、事件らしい事件が発生しないままのんびりと進んでいきます。ヌルくてなのに爽やかなボーイ・ミーツ・ガールのロードムービー小説。ただヒロインは22歳なので、「ガール」というのはちょっと無理がありますけど。

 兄が残していった空色のキャデラック――修理が終わったそいつを引き取って、僕は旅に出た。18歳の夏。受験も控えているのに2週間の休みを取ってしかも無免許で旅に出るなんて、傍から見れば正気の沙汰とは思えないことだろうけれど。どうしても必要なことだった。幼い頃からずっと兄の背中を目標にして頑張っていた、僕には。その目標を唐突に奪われてしまった、僕には。喪失感からスタートした旅はしかし、途中の道でヒッチハイカーを拾ったことからたちまち様相を変える。年上の、強気で身勝手で、でも確実に美人な杏子ちゃん。彼女を助手席に乗せたのをキッカケとして、僕はどんどんとヒッチハイカーを拾うことになるが……。

 神奈川から九州までの道のりを7日間、ヒッチハイカーを拾いながら走破する、ただそれだけのお話です。連作っぽい形式になっていて、いろんなヒッチハイカーとの出会いと別れを淡々と綴る。本当、「ただそれだけ」なんですけれど、読んでいて楽しい一冊でした。曖昧な言い方をすれば「空気感がいい」とか「雰囲気がいい」とか、そういうノリで堪能するタイプです。文章は平易で読みやすく、あまり無駄な描写がないので退屈せずにサクサクとページをめくっていける。「読み心地がいい」、これに尽きますね。青春小説というものは読み心地さえ良ければ、ストーリーとかは大して関係ないと個人的には思います。別に盛大なハプニングが起こらなくたって愉快な気持ちに浸れるし、大掛かりな謎が用意されてなくっても先が気になって読んでしまう。言葉にしにくいものを、言葉を使ってうまく表現して感じさせてくれたらそれでいい。本書では主人公の覚えた感情を「言葉にしたくない」と表現拒否している箇所がいくつかありましたが、その「言葉にしたくない」という、物事を加工せずに生のまま留めておこうと願う心そのものに触れられる気がして、年甲斐もなくしんみりと感じ入った次第。

 ロードムービーとしては何の変哲もない部類に属するかな。とにかく事件らしい事件がないし、主人公の過去と錯綜させる構成も卓抜してるってほどじゃない。けど、カップルのヒッチハイカーを拾うあたりのところ。主人公がトイレに行って戻ってきた頃にはキャデラックの中でギシギシアンアンしていて、呆れたり怒ったりするのではなく単に「車を汚されないか」と心配するだけで、更には「そうしてできた汚れは、勲章みたいなもんだ」と開き直った見方までしてくるのは微笑ましいというか、なんというか。ヌルいと言ったらヌルいし、軽いと言ったら軽いかもしれないけれど、こういう力みのない眼差しが程好く肩をほぐしてくれてイイ塩梅です。乗っている車はゴツいのに雰囲気は柔らかくて、そのギャップが上手にハマって効果を表している印象があります。

 カバーイラストがマッチしていてベネ。ジャケ買いしてほしい一冊です。匂い立つようなのんびり感、じわりと利いてくる過去の挿話。狙ったわけじゃないですが、ちょうど一週間掛けて読み終えたこともあって充分な効果を発揮してくれた。橋本紡特有の柔らかさ(ヌルさ)が肌に合わない方もおられるでしょうが、いくつかある橋本作品の中でも癖のない方だし、試しに着手されてみても損はないかと。ハードカバー作品を出すようになってから文章も活き活きとしてきている気がしますので、作者には今後もこの路線を走っていってもらいたいものです。あと曜日シリーズも続けてほしい。


2007-04-03.

「ジンガイマキョウ」のTOP絵がイヤラスバラシイ件について

 ボディもさることながら主従の恥じらいを含んだ表情に理性崩壊。できておる喃。

文庫版『6ステイン』および文庫版『C-Blossom 』、表紙画公開

 微妙なデザインだ……。

Nitro+の新作『Tre donne crudeli(原題)』、邦題とデモムービーを公開

 マテ。エイプリールフールネタじゃなくて、本気でこのタイトルとこの内容なのか!? 目を疑ったけれどげっちゅ屋の紹介ページもコレだから間違いない様子。『沙耶の唄』を彷彿とさせる騙しっぷりだなぁ、おい。個人的にスペースオペラも○○○も好きなので別にどっちでもいいというか、いっそ両方一気に来いって感じですけれど。いやはや。

『鋼の錬金術師』がだいぶ溜まってきたので崩し始めました。

 たぶん3年くらいは積んでいたような……どんな話だったかも概ね忘れていたので3巻から改めて読み直し。ヒューズ中佐を埋葬する件で泣きそうになる。その後、師匠のあたりまでは記憶にあったけれど、グリードは完全に忘れていた罠。あのへんで関心が薄くなり、惰性で買い続けて積むようになったんですよねー。なので8巻からが初読み。東の大国「シン」云々はストーリーの中心に来るのか来ないのか中途半端でいまいち盛り上がらないけど、話自体はいろんな伏線とサプライズが起動して面白くなってきますな。

 1巻ずつ読んでたときは感じ入る部分が少なかったものの、まとめて読むと繋がっている箇所が容易に分かるせいもあってかグッと楽しくなった。大長編志向というか、プロット重視の構成で、初読よりむしろ再読の方が面白くなるタイプです。またアクションシーンなどの派手な場面ばかりでなく、地味な要素が多いドラマ部分も退屈させずに読ませるあたりに腕の良さを感じる。流行り廃りとは無縁のところで魅力を確立していますね。再読+まとめ読みでだいぶ印象が変わりました。よおし、最新刊まで読み終わったらまた積むことにしよう!(笑顔)

 ところでカバーを外すと本体にガンガン恒例のお遊びイラストがありまして、それは以前から楽しんでいたわけですが、今回初めて背の部分にまでネタが仕込まれていることに気づきました。空と雲を背景に、その巻でお亡くなりになったキャラクターが頭にエンジェルハイロウのっけて天に召されていく様をユーモラスに描いていて、一種のおくやみ欄みたいな役割を果たしています。特に死人が出なかった巻は空だけ。場合によっては強烈なネタバレとなりかねないコーナーですが、案外当方みたいに見逃していた人も多いのではなかろうか。

わさび茶漬けチキンラーメン

 なんとなく見つけたページですが、これは懐かしい。もう5年近く前の商品ということになりますか。普通のチキンラーメンにわさび茶漬けを振り掛けただけ、というなんともトンチキな一品であり、製造中止となったのかそれとも限定販売だったのか、早々に見かけなくなった奴です。当時の下宿の近所で投げ売りされたことがあって、まだ大学生だったこともあり、物は試しと5袋パックを一個買ってみたんですが……これが個人的に大ヒット。ツーンと鼻の奥に来るわさびの強烈さと鶏ガラ臭が何とも言えぬハーモーニーを醸し出していてハマりました。できれば買い置きしたかったけど、次に行ってみたらもう在庫がなかったので結局5袋目が食いおさめとなってしまったのは悲しい記憶。検索しても「微妙」とか「むせた」みたいな感想が多く、「おいしかった」と書いてる人は少数だなー。

・拍手レス。

 Dies irae公式、ルサルカのオーバーオールより、ヴィルヘルムとセットな所に反応してしまいました
 本編でもなにげにつるんでますね。何か因縁があるのかしら。

 パラロスのタスラムとリリスみたいには・・・ならないだろうな。・゚・(ノД`)・゚・。
 なんか「レストインピース」というより「プゲラワロス」なコンビですし。

 そういえば ウィニフレッ
 そういえば『昏き目の暗殺者』にウィニフレッドというキャラが出てきましたね。


2007-04-01.

・別段動物好きというわけでもないけれど、『最後のウィネベーゴ』の表題作にはホロリと来た焼津です、こんばんは。

 『最後のウィネベーゴ』は中短編集。表題作含む4つの編を収録しています。コニー・ウィリス作品を読むのはこれが初となりますが、どの作品も冒頭は漫然として何が何だか分からず、しばらく読み続けるうちにだんだん飲み込めてくる形式となっている。一作目の「女王様でも」なんか、中心になっているネタが何であるか、悟った後と前では随分と印象が変わった。それで表題作の「最後のウィネベーゴ」、道路で轢かれたジャッカルの死体を発見するシーンから始まり、過去に起こった轢死事故の回想シーンが混じってくるところまでは普通ですが、ジャッカルの死について「通報を怠ると罰せられる」と穏やかではない説明をしたあたりから徐々に異なる様相が見えてくる。いったい「この世界」では何が起こって、今はどんな状況なのか。「最後の」に象徴される終末感、失われたものに対する決して報われぬ愛情がやんわりと全編を真綿のように包み込んでいる。終盤はパズルのピースがぱちぱちと嵌まっていく展開できっちりと収束させており、簡潔に結論を導き出す流れは非常に巧み。嫌味のない感動が味わえます。全体としてはちょっと好みに合わない作風でしたが、もっと他の作品も読んでみて相性を確かめたいところ。

・さて今日は年の一度のエイプリルフール。午前零時を境にいろんなメーカーがネタを炸裂させています。いくつかピックアップ。

 アイレムは例年通り飛ばしてますね。どこにも追随を許さない四月馬鹿の王者。それが名誉なことかどうかはさておいて、一見の価値ありです。繋がりにくいですけど……とりあえずスペランカーに笑った。

 minoriはトップ画像を見た時点では地味そうと思ったけどクリックして噴いた。「コールスローサービス」が特にツボ。

 Lump of Sugarは『いつか、届く、あの空に。』のネタバレが入ってますので注意。困ったことに全然違和感がない……普通に開発されてそうだ。

 APRICOTも違和感ゼロ。ぶっちゃけ本編よりキャッチャーなのでは?

 きゃんでぃそふとは保存しました。しかしこの口癖はねぇよw

 脳内彼女の元ネタはこれですね。というかこんな騒ぎが起こってたなんて知らなかった。

 Overflowはアニメムービーまでつくってます。血迷ったとしか思えないクオリティ。本編より「使用上の注意」の方がインパクトでかいけど。

 TYPE-MOONは新作も発表せずによくもまぁ、と思いつつネタのレベルは高いので楽しみました。魔法少女モノということで忌譚修の参考に……なるわきゃない。

 Littlewitchは、あのー、今日のネタの中で一番素で「欲しい」と思ってしまったんですが……実際に発売してくれますよね? よね? 嘘じゃないと言ってよバーニイ。

・あとメーカーではないけど「にゅーくりあ・しっと」の更新が気合い入りすぎで「こ、こは何事ぞ」と普通にうろたえました。うっかり違うページに飛んだかと錯覚するほど。

・今月のよてい。

(本)

 『学園黙示録 HIGHSCHOOL OF THE DEAD(2)』/原作:佐藤大輔、作画:佐藤ショウジ(富士見書房)
 『冬の巨人』/古橋秀之(徳間書店)
 『6ステイン』/福井晴敏(講談社)
 『イエスタディをうたって(5)』/冬目景(集英社)
 『BAMBOO BLADE(5)』/五十嵐あぐり(スクウェア・エニックス)

 割と少なめ。『学園黙示録』は「ドキッ、ゾンビだらけのサバイバル!ポロリもあるよ(内臓とか)」なパニック・スリラー漫画。ヒロインたちのロケットみたいな乳も見所です、無論。にしても先月1巻が出たばかりなのに早いなぁ。『冬の巨人』はもう何度延期したのか数えるのをやめてしまった長編。今回も本当に出るのか未だに眉唾。『6ステイン』は著者唯一の短編集。「畳算」が好き。ファンなので文庫版も買うつもりなんですが、万一デザインがダサかった場合はスルーします。イエうたは何年越しの新刊だっけ? つ…か、冬目景の並行連載ぶりは異常!! 『BAMBOO BLADE』、略してバンブレは最近ハマったばかりの女子剣道マンガ。スポコンながら暑苦しくなく、いい意味でおちゃらけています。

(ゲーム)

 なし

 お察しください。あやつさえ無延期(まとも)でおれば……今頃…

・拍手レス。

 秋田さんの新刊が延期したとの情報が7&Yに orz
 なんと。それは残念……。

 魔法少女忌譚修、何度「自分が書きます!」と言おうと思ったか。(続く)
 (続き)でもすげえもんが読めたので言わなくて正解でした。次も楽しみにしてますです!

 書き手さんは依然募集中ですけど、これだけ進んでると難しいのかな……。

 Dies irae. 公式Topが更新。ルサルカが、ルサルカがああああ
 ここまでしといて攻略ルートがなかったらlight近隣が地図から消えちまいますね。

 「いつか、届く、あの空に。」攻略キャラの数以外は大満足でした。(三人は少ない…)お暇があればどうぞ
 そうですよね、せめて茂一だけでも攻略できれば。


>>back