2005年12月分


・本
 『マルドゥック・スクランブル(1〜3)』/冲方丁(早川書房)
 『殺×愛1』/風見周(富士見書房)
 『終わりのクロニクル7』/川上稔(メディアワークス)
 『白貌の伝道師』/虚淵玄(ニトロプラス)
 『微睡みのセフィロト』/冲方丁(徳間書店)
 『カオス レギオン03』/冲方丁(富士見書房)
 『紅』/片山憲太郎(集英社)

・ゲーム
 『夜刀姫斬鬼行』体験版(テリオス)
 『ひめしょ!』(XANADU)
 『鳳凰戦姫 舞夢』体験版(LiLiM)


2005-12-31.

・大晦日、今年の読み収めが『カオス レギオン05』だった焼津です、こんばんは。なんというかドロドロですね。

古橋秀之の『冬の巨人(仮)』、デュアル文庫から2月刊行予定。

 古橋が新刊を出すことより、まだデュアル文庫が生きてることにびっくり。ハヤカワ文庫JAみたく一般SFとライトノベルの中間を扱う傾向が強いレーベルなんで、来年からでもなんとかもう一度活性化してくれないかなぁ。せめて『ペロー・ザ・キャット全仕事』あたりは文庫化してほしい。あわよくば吉川良太郎の新刊なんかも出してほしい。ああ新年が近いのに煩悩が尽きない。

・恒例の年間ランキングをば。

[小説]

第一位 『マルドゥック・スクランブル(1〜3)』
第二位 『九十九十九』
第三位 『終わりのクロニクル7』

 総合は以上。やはり大長編が食い込みやすい傾向にあるかな。

[小説−ジャンル:ミステリ]

第一位 『九十九十九』
第二位 『青の炎』
第三位 『容疑者Xの献身』
第四位 『名探偵 木更津悠也』
第五位 『戻り川心中』

 上位五作のうち今年出たのは一冊だけ。今年が不作だったのではなく単にほとんどチェックしてなかっただけです。トップに立った『九十九十九』はいろんな意味で他の追随を許さない。到底真っ当なミステリではありませんが、清涼院のJDCを読んであまり良くない方のショックを受けた経験が効を奏しました。力技の連続。まさしく荒療治。『青の炎』は青春小説と倒叙ミステリを融合させた作品としては屈指の出来映え。人情味を持ちながらも冷徹に犯罪計画を組み上げる少年の姿が孤高とさえ思えてくる。青の炎が焼き尽くしたのは結局青春そのものなのかもしんない。各種ランキングを総なめした『容疑者Xの献身』、さすが話題作だけあって鉄板の面白さでした。後で気づく「伏線」が空恐ろしい。『名探偵 木更津悠也』『戻り川心中』はどっちも短編集。木更津が本格志向とすれば戻り川は物語志向。後で短編ランキングのときにも書きますが、それぞれ「禁区」と「桐の柩」は打ちすぎた膝が痛くなるほど卓越しています。

 次点は『神様ゲーム』『深追い』『春期限定いちごタルト事件』『陰摩羅鬼の瑕』『死神の精度』あたり。特に春期限定〜は謎解き要素の弱さを除けば主人公とヒロインの結成するコンビが最強に微笑ましくてたまらない。

[小説−ジャンル:ライトノベル]

第一位 『終わりのクロニクル7』
第二位 『わたしたちの田村くん(1〜2)』
第三位 『終わりのクロニクル4(上・下)』
第四位 『Hyper Hybrid Organization 01(01〜03)』
第五位 『スラムオンライン』
第六位 『灼眼のシャナ]』
第七位 『皇国の守護者9』
第八位 『ネコソギラジカル(上・中・下)』
第九位 『CARNIVAL』
第十位 『カオス レギオン(03〜05)』

 年の瀬でまさかの番狂わせ。今年は田村くんで決着だろうとの見通しが、1000ページ超の化け物『終わりのクロニクル7』に砕かれました。圧倒的なボリュームは、やたらと目立つ誤字すらも気にする暇がなくなるほどの熱中を促し、思考回路がまともに働かなくなるほどの興奮を呼び起こしてくれた。めくるめく疾走感。シリーズの完結に相応しいものはこれ以上にないでしょう。二位に甘んじたとはいえ『わたしたちの田村くん』が当方にもたらした影響は看過しえぬレベルであり、読んでる間は確実に理性が溶けていた。ラブコメの精髄がそこにあったんですから。三位でまた終わクロが来てますが、なぜ4なのかと言われれば単に原川とヒオのカップルが好きだからです。H2Oは外伝から先に読み、そっちが面白かったから本編にも手を出したという経緯。したら、外伝より本編の方がもっと面白くてぶったまげ。最近見た「仮面ライダーになりたかった戦闘員」と同様、仮面ライダーへの迂遠な愛が感じられる熱い内容でした。五位は格ゲーに狂った懐かしい時代を思い起こさせてくれた『スラムオンライン』。純然たる「ゲーム小説」。

 『灼眼のシャナ]』は現時点でシリーズ最高峰だと思います。ヨーロッパの山中を戦場に変えて争う異形の軍団は敵方さえもいとおしい。いささか濃密すぎて読みづらいところもあるけれど、篭もったパワーは尋常ではありませぬ。A/Bに通じるエッセンスを見た。『皇国の守護者9』は去年からシリーズを読み出した当方にはちょうどいいタイミングで刊行された最新刊。主人公の「厭らしさ」に魅力がある稀有な仮想戦記ファンタジーです。なんか矛盾してるんじゃないかと気になる点もあり、作者が細かい設定を忘れだしているのではと勘繰りたくなりますが、話はちゃんと決着してまとまっていたから満ち足りました。『ネコソギラジカル』はなんだかんだで満喫した戯言シリーズ完結編。けど下巻が最終巻の割に締まりのない代物でランクが下がってしまった次第。『CARNIVAL』はエロゲーのノベライズなのでライトノベルじゃない気もしますが、なんとなくこっちに入れちゃいます。どんなに苦しんでも物語は続いてしまうものなんだなぁ、と下手な実感を得た。『カオス レギオン』は最初に出た本が最終巻という奇特な構成ながら、続く新刊も興趣を損なうことなく読み続けられる腰の据わったシリーズ。「たったひとりの騎士団」が悲惨ではなく勇壮に見える格好良さ。思わず頬が緩む。

 ランク外作品では『空ノ鐘の響く惑星で(6〜9)』『電波的な彼女(愚か者の選択・幸福ゲーム)』『ある日、爆弾がおちてきて』の三つも推したい。空鐘は奇を衒うことなくひたすら安定感のあるストーリーで読者を掴む、SF要素がちょっと混ざった中世風ファンタジー。地味にハマる。電彼はタイトルに変な特色が出てるけど、中身は読みやすくてテンポもいい良作。若干悪趣味だが、ここ最近の新人では成長が目覚しいばかり。新シリーズの『紅』も良かった。ライトノベルにしては珍しくオムニバス短編集の形式を取った『ある日、爆弾がおちてきて』はノスタルジーを喚起する普通に普通な良作。古橋秀之は本当に器用だなぁ。あとは『ゼロの使い魔(3〜6)』『ソウルアンダーテイカー』『僕らはどこにも開かない』『平井骸惚此中ニ有リ(其四・其伍)』『たたかう!ニュースキャスター』『世界の中心、針山さん』『とある魔術の禁書目録(5〜7)』『八の弓、死鳥の矢』『眠り姫』『殺×愛(0〜1)』あたりも心に残る面白さでした。

[小説−ジャンル:冒険小説、サスペンス、ホラー]

第一位 『漂流街』
第二位 『鬼麿斬人剣』
第三位 『最も危険な場所(上・下)』
第四位 『闇よ、我が手を取りたまえ』
第五位 『愛しき者はすべて去りゆく』
第六位 『一夢庵風流記』
第七位 『地獄のババぬき』
第八位 『フィーヴァードリーム(上・下)』
第九位 『ワイオミングの惨劇』
第十位 『夜市』

 このジャンルでは今年になって隆慶一郎とデニス・レヘインを読み出したのが個人的な収穫でした。でも一位は『漂流街』。これと『不夜城』『夜光虫』は馳作品の中でも別格。『鬼麿斬人剣』は初めて読んだ隆慶一郎作品であり、冒頭一話目の時点で既にめろめろの状態に陥った。刀鍛冶が訳あって刀を折って回る旅に出る、その発想を活かすために費やされる作者の労力は正に妥協なし。連作形式とはいえ読み応えは長編に劣るところがありません。『最も危険な場所』は邦題にちょっと不満がありますけど、中身はいつも通り熱く滾って迸るハンター節まみれの冒険アクション。恐怖を感じないのではなく、恐怖を覚えながらも真っ向から克服して叩き潰す力強さはマッシヴすぎる。『闇よ、我が手を取りたまえ』『愛しき者はすべて去りゆく』はデニス・レヘインの探偵コンビ「パット&アンジー」第2弾と第4弾。あまりハードボイルドを嗜んでいない当方も細かいこと抜きで夢中になれました。このシリーズ、「優しいほほえみを浮かべ、彼女の手を軽く叩いた。彼のすべてが金切り声で《誠意》を叫んでいた」「そいつを消すか、殺すか、息の根を止めてやってくれ」など言い回しが面白い。

 『一夢庵風流記』はなぜかクリスマスに読んでいた。主人公の前田慶次郎がひたすら格好いい。生き方がその手に握った皆朱の槍みたく一直線に貫徹されている。『地獄のババぬき』は単なるババぬきをシチュエーションによってサバイバルゲームに変えてしまう力技が痛快なサスペンス。『フィーヴァードリーム』はもし当方の心に毛が生えているとしたらそれを残らず毟り取っているだろう作家ジョージ・R・R・マーティンの吸血鬼アドベンチャー。「熱に魘されて見る夢」というタイトルはおどろおどろしいようでいて、裏に「熱に浮かされて途方もない夢を叶えようとした」なんてロマンを潜ませている。『ワイオミングの惨劇』は寂れた田舎町を舞台に、ヒーロー志望の空回り青年や脱獄した死刑囚がやってくる反西部劇小説。『夜市』はセンセーショナルな要素こそないが、八房龍之助みたく酷薄さと繊細さが表裏一体となって諧謔すら醸すホラー。表題作よりも併録の「風の古道」が好きです。

[小説−ジャンル:SF、ファンタジー、その他]

第一位 『マルドゥック・スクランブル(1〜3)』
第二位 『白貌の伝道師』
第三位 『老ヴォールの惑星』
第四位 『四畳半神話大系』
第五位 『微睡みのセフィロト』
第六位 『ケルベロス第五の首』
第七位 『病葉流れて』
第八位 『空の中』
第九位 『神狩り』
第十位 『ブルースカイ』

 面倒だから後は全部ここにまとめます。『マルドゥック・スクランブル』は変幻自在の切り口と作者の熱情が肌に痛いくらい迫ってくる、本気度MAXの連作。くどいがヴェロシティはまだか。『白貌の伝道師』、実質同人誌だからこそ可能なのであろう欲望のままに完成したダークファンタジー。昏い興奮を掘り起こす、良い意味で泥臭い小説でした。『老ヴォールの惑星』、当方内部の注目度では冲方丁にも負けない小川一水の作品集。表題作は読むほどに味わいが濃くなる。『四畳半神話大系』……マヌーなタイトルで存在自体もマイナーだけど、はっちゃけそうではっちゃけない慎ましいエピソード群がなにげに良作であります。笑えた。泣けた。感動はしない。設定面ではマルドゥックよりも好みに適う『微睡みのセフィロト』は薄い容量にみっしりと情報が詰まっていて満足できた一冊。ラファエル萌え。それ以上に主人公萌え。

 残りの五冊もみんな独自の個性を輝かせている本です。五里霧中の不安が付きまとう『ケルベロス第五の首』、博打狂いの壊れた青春と明日なき放蕩を綴る『病葉流れて』、超高度に潜んでいた知性ある生命体とのファーストコンタクトが単純に興味をそそる『空の中』、悪意ある神への絶望的な反撃を開始する『神狩り』、抜けるような青さが何も残していかず通り過ぎていく『ブルースカイ』。ごちそうさまでした。

[小説−ジャンル:短編]

第一位 「桐の柩」/連城三紀彦−『戻り川心中』
第二位 「禁区」/麻耶雄嵩−『名探偵 木更津悠也』
第三位 「風の古道」/恒川光太郎−『夜市』
第四位 「三本脚の椅子」/浅井ラボ−『まどろむように君と』
第五位 「漂った男」/小川一水−『老ヴォールの惑星』
 次点 「訳あり」/横山秀夫−『深追い』

 上位五作はすんなり決まったが、あんまり短編を読んでなかったせいか十位まで決めようとするとちょっと員数合わせみたいになってしまうので割愛。最後まで五位に上げようかどうか迷った「訳あり」のみ残す。「桐の柩」は文句なしに一位。絡まり合う人情を時代の空気織り交ぜ流麗に描く文章、小道具の使い方やタイトルの付け方に見られるセンス、何より小説そのものの面白さ。静寂の内に迫力がある。一読にて陥落せり。「禁区」は真相……というか、「真相に気づいた瞬間」のビジョンにぞっとした。麻耶は短編でもこんな作品を書けるんだから怖い。「風の古道」は薄皮一枚で隔たれた非日常の世界を「古い道」の辿りで余すことなく想像させる。ある種のロードムービーか。「三本脚の椅子」は戦闘シーンが目立つされ竜においてひと味違った切り口を晒す一作。少し作品の世界が広がって感じられた。「漂った男」は温く栄養に満ちた液体で包まれた星へ不時着した男が星間通信だけを心の糧にして漂流生活を送る。限定シチュエーションものとしては同作者の「ギャルナフカの迷宮」ともども屈指。次点として無理に入れた「訳あり」は謎解きよりも人情話に偏っているかな。なんか結末にホッとした。

 マンガとゲームについては来年に持ち越そうと思います。

・ではよいお年を。


2005-12-29.

・年末年始は仕事ですが何か? 作業量に暗澹となる焼津です、こんばんは。

LiLiMの『鳳凰戦姫 舞夢』、体験版をプレー。

 最初はジャンプ漫画みたいなベタベタだけど熱いノリのヒーローものを予想していた分、実際やってみるとあまりにも緊迫感が乏しくてビックリしましたが、要するにこれ、「戦う変身ヒロインが犯られちゃうゲー」なんですね。エスカレイヤーみたいな。そう考えてみると間抜けにすら思えるおちゃらけた雰囲気も、「敗北すれば待ち受けるのは陵辱のみ」というえげつない展開に対して程好いギャップを生む効果があり、これはこれで悪くない。実際、アホっぽい語尾を喋り散らしながらヒロインの乳揉んでは「変態!」とあっさり吹っ飛ばされていた如何にもザコっぽい怪人が、戦いに勝つなり「ヤることなんて一つに決まってんだろ!」と容赦なく襲い掛かってくる流れは素晴らしい。エロゲーはこうでなくっちゃ。

 にしても、日常シーンのギャグはほとんど空気を壊す域に差し掛かっているのがツライ。ライターがお笑い芸人好きなのか、それっぽい漫才のみならずパロディネタまでかましてくるので、プレーしているこっちはリアクションに困ります。部分的に面白いのがあっても大半は滑っている気が。敵ボスが部下のうざったい語尾に素で辟易している様子とか、他の子のことを気にしていたらヒロインが「なんだか分かりませんけど、とにかく腹が立ちます」と己の嫉妬心に自覚できぬまま食ってかかってきて痴話喧嘩モードに入ったりとか、慣れてくると結構ツボなんですけどね。何より金目鯛ぴんくが原画なだけにオパーイの肉感が最高。来月は蠅声が飛んで購入確定ソフトがなくなったから、とりあえず検討に繰り上げてみるかな。

 で。着物に般若の面を被っていたヒロインが変身すると洋風のコスチュームってどんなセンスよ。あれはどこぞのフェニックスか。おまけに翼男みたいなノートも出てくるし。「ジャンプ漫画」という連想自体は外れてなかったのかもしれない。

・片山憲太郎の『紅』

「ロリコンとは何のことだ?」
 (中略)
「ロリコンというのは、悪い人のことですよ。お姉ちゃんの言うことを聞かずに一人暮らしを始めたり、お姉ちゃんと学校で会ってもあまり話をしてくれなかったり、お姉ちゃんに電話してくれなかったり、お姉ちゃんを遊びに誘ってくれなかったり、お姉ちゃんに隠し事ばかりして寂しい思いをさせたりする、悪ーい人のことです」

 ちょっ、お姉ちゃんそれ特定個人を指示しすぎているうえに全然説明になってないよ。

 というわけでラブコメです。咥え煙草の姐さんが幼女連れてくるなり「おい、こいつの命を守れ」と依頼しちゃうほどベッタベタで正真正銘問答無用なボーイ・ミーツ・ガールです。絶妙なテンポで惚けた会話を繰り広げ、ベッタベタなストーリーを居心地の良いものに仕上げてくれる。作品世界は『電波的な彼女』と同一(時代は違うみたいですが)で、はっきりとした共通点もチラホラ見受けられますが、やはり最たるポイントは舞台が「悪意まみれで治安最低の日本」であることに変わりがないところ。片山作品は露骨というかいささか過剰なくらいに「悪意」が強調されており、それが悪趣味に思えて馴染めない読者もいる様子。ただ、打ち壊すことを前提とした「胸糞の悪さ」なんで、クライマックスにおける爽快感は格別であります。

 現役高校生でありながら主人公が揉め事処理屋を生業にしていたり、怪しげなケンカ殺法を会得していたり、幼馴染みに情報屋がいたり、裏社会やら大財閥やらが絡んできたりと、設定的には『電波的な彼女』以上に浮世離れしていますが意外なことにいざ読んでみると中身はこっちの方が「まったりほのぼの」というムードの濃さが目立つ。何せ話の大半が日常シーンに占められている。部屋に転がり込んできた世間知らずのロリお嬢様(七歳)との同居生活というか、ぶっちゃけ子守りを強いられ、よりによってお姉ちゃんは「幼女とイチャついてる場面に見えますけど違うんですよ、本当に違うんですよ!」的バッドタイミングにばったり居合わせ「ここに座りなさい」と床を指差し説教を垂れては悋気旺盛ぶりを見つける──そんな遣り取りを悠揚迫らぬ筆致で描く。これをラブコメと言わずして何と呼べと。

 クライマックスが熱くて後味が良いことは保証しますが、こう、「見ず知らずのお嬢様を守り抜くため身体を張って活躍」みたいなマイ・ボディガードっぽいジェットコースター・アクションを期待するとたぶん肩透かしです。嵐の前の静けさに位置する部分が非常に長い。前半は設定にほとんど意味がないままもうヤバいくらい微笑ましくて楽しい日々がゆったりと過ぎていく。幼女との生活がメインで後は飾りだと言わんばかり。あざといっちゃあざとい趣向なんですけどそれが成功していることは確か。現時点でテーマ性はこれと言ってないし、アクションとして見れば「それってどうよ」と突っ込みたくなる箇所が多々あるものの、ハナからラブコメを読むつもりで取り掛かれば居心地良くて爽快感もある本編は紛うことなくパラダイソでしょう。店頭で見かけて「表紙に釣られてしまいそう」と思った方は迷わずそのまま釣られるが良。表紙絵を見て湧き上がる欲求は作中で見事に果たされているんですから。作者は一冊ごとに着実に力をつけていく気配が如実であり、今後にすげぇ期待を寄せています。

・今年最後の拍手レス。

 カオスレギオンいいですよね。 ただ、ゲームは微妙でしたが。
 子供の頃に読んでいたら「招く!」の真似して腕を地面に叩きつけていた自信と確信が満々です。

 性別♂の抱き枕ってあったんですね。衆道でない俺には驚きです。しかしぬふぅ
 渡良瀬準は衆道ではない。もっと恐ろしい何かだ。

 熱意にほだされ、渡良瀬準を剥いてみました。どぞ。
 URL略。準フォルダが潤いました。ありがとうございます。

 何処でどういう事件が起こって、誰が解決するのかなかなか楽しみなサスペンスですね!……予測不可!
 迷探偵ばかりが登場。タイトルは『そして誰も解決しなかった』……あ、いきなりネタバレ。


2005-12-27.

「託宣がくだりました! 犯人はメイドです!」
「馬鹿野郎! 容疑者は全員メイドだ!」

・起き抜けに通り過ぎていった謎のネタでこんばんは。たまに妖精の囁きを聞く焼津です。

『魂響』がPS2に移植

 CGの追加はともかくとして、「全シナリオを一から書き下ろし」とは思い切ったことを。移植に際してシナリオ全面変更というのは『スイートレガシー』が前例としてありますが、あれは元がショートサイズだったゲームを長編に改稿したパターンなので似て非なる断行と見受けられます。フルプライスのゲームに、それもこんな短期間で完全リメイクのゴーサインを出すなんて初めて聞きました。作品より企画自体に興味が湧いたので、しばらく注目してみます。

『ひめしょ!』、コンプリート。

 「雌豚メイド」なる新境地に開眼しつつ、ナコトシナリオはクリア。シキシマナコトは立派な傾奇者でございました。あとはいくつか取り残しのあった部分を埋めて無事コンプせり。なんだかんだで20日間も掛かりましたなぁ。年末で忙しくてなかなか時間が割けなかったせいもありますが、単純にプレー時間もかなーり長かったです。シナリオは昨今の水準からすればそんなに膨大ってほどもないですけれど、何せ地の文が皆無に等しく、会話とモノローグだけで進行する形式になっているからボイス量が多いこと多いこと。ヒロインのみならず主人公まで喋るんでシーンごとの所要時間が半端じゃない。遣り取り自体は軽快なおかげで、やってる間は大して長さを感じないのが救い。決して苦痛を覚える意味で「長い」ってわけじゃありませなんだ。

 ただ、正直言ってどのルートも終わった後で微妙にスッキリしないというか、「えっ、まだこれからでしょ?」と縋り付いて翻意を促したくなるモヤモヤ感を残したまま幕になるのが不満。多少の救済策は凝らされていますが、こう、密かに期待していた「すべてのシナリオを統括するトゥルールート」みたいなものがなかったのは痛い。てっきり伏線と思ってチェックしていた諸事項も特に励起することなく背景設定に留まってしまう始末。個性的なサブキャラの一人一人、近未来SFじみた設定の一つ一つ、端から端に至るまですべてが魅力的なんで、みんなにもっと見せ場を用意してほしかった。下手に面白かった分、欲求の燻り具合がすごいですよ。大仰なトゥルールートを用意しなかったのは変に超展開してグダグダになってしまうのを避けたというか、分限を心得て足を踏み出しすぎないよう自制した雰囲気で、バランス感覚の良さが窺えるにしても……ここはいっそ冒険してほしかったなぁ。または、「実はこれ、結構壮大な話なんじゃないか?」とプレーヤーに思わせ余計な期待を煽って皮算用させたりすることもなくギャグやコメディとしてのスタンスを徹底するかしてほしかった。ってなんだか私怨臭い要望ではありますが。

 しかしそうした不満を計上したうえでなお面白かったと言えます。手広いウケを狙わず、特定層だけを一点突破する勢いでアクの強い漫才、修羅場、シリアスを演じる内容にがっしりと浪漫回路を鷲掴みされてしまった。当方は昔からの乱読が影響し、趣味嗜好に関しては何とも言い表せないくらいに畸形化している自覚があり、もはや「お約束」を守っているだけでは満足できない面が多分にあります。そこに来るとこの『ひめしょ!』、不協和音スレスレで雑多に混ざり合った要素が小気味良いテキストによって綴られていくうち奇跡的な魔配合を成功させ、当方の畸形化した好みに驚くほどジャストフィットした次第。ショタではわわな主人公がヒロインに逆レイプされまくる展開は歪んでいるけど、かと言ってストーリーの芯が脆いわけではなく、むしろ細部へのフェティッシュなこだわりを晒すことで異様に強靭な粘りを見せ付けてきます。主人公がまたイイ性格をしている。被虐体質のヤガミコハルに一切陰湿なムードを覚えさせないのは、ただいじめられているばかりではなくて時にツッコミを入れ時に反撃する彼の冷静さ、したたかさが全編にキチンと敷衍されているおかげかと。なかなかに計算高い。しかしそれだけに収まらず、絶対に計算だけでは弾き出せない異常なテンポとノリの良さ、脳から妙な汁が噴く楽しさを激しく追求するセンスのキレ、あれもこれもが抜群で絶品です。

 とにかく「エロゲーなんだから下ネタなんて当然解禁でしょう」と当たり前の顔して述べてるような猥雑さがたまりません。どいつもこいつも下ネタは容赦なし。伏字とピー音が濡れ場のみならず日常シーンにまで乱舞します。下ネタ嫌いな人は確実にヒく反面、下ネタ大好きな人はがっちり食いつくこと請け合い。濡れ場そのものも頑張っていて、手抜きをしている印象はない。2時間に1回は遭遇し、かつ尺も長いです。笑いを入れる傾向が強く、シチュエーションのこだわりも言わずもがな。「王位継承権を持つ少年を巡って四人の婚約者候補が鞘当てし放題」という設定だけに微笑ましい嫉妬や修羅場は絶えないし、ハーレム状況だって必然としてやってくる。けどまあ主人公は受け身なので、決してウハウハな意味合いではありませんが。「種ぇ、種ぇ〜」と女性版虎眼が襲いかかってくる様をイメージしてください。思わず「これはひどいハーレムですね」と苦笑いしたくなります。

 「出生率が減少し、更に男子の比率が恐ろしいほど落ち込んでいる」って説明を敷いてから「主人公が女子校へ通う」というシチュエーションに結び付けてますが、当初からの不安通り、やっぱり主人公の女装云々はほとんど死に設定。主要キャラが全員秘密を知っているから「コハル=♂」を承知した掛け合いが大半で、下手するとプレーしてるこちらまで女装設定を忘れそうになります。サブキャラがコハルを女の子扱いしてようやく思い出すくらい。女装ネタが効を奏している場面も一応ありますが、基本的におとぼくみたいなノリを求めない方が吉でしょう。途中のエピソードでは学園にもスポットが当たるので「ありがちな女学園モノ」として楽しめる箇所もあるにせよ、後半は学園を離れる傾向にあり、「女学園」だけを目的にプレーするのはオススメしかねる。

 なんか異常なくらい楽しくて、締めるところはちゃんと締めて、おかしな超展開も(極力)ない。無難と言っていいのか蛮勇と言っていいのか判然としない混沌たるエンターテインメントでした。個人的にはとてもツボ。「惜しい」と臍を噛む要素も多々あれど、今年最後を飾るには申し分ない出来だ。しかしエピソードの内容とそれをリンクさせる手際や全体の構成から察するに、ひょっとしてシナリオライターの藤崎竜太は限定的なシチュエーション下における寸劇を描くのは得手で、逆に大きな流れを成すストーリーを紡いでいくのは不得手なのだろうか。

 余談。好きなヒロインはナコトとサキ。このふたりはお互いの絡みがあまりなくて残念でした。ナコトは憎めない腹黒さ、サキは酷薄なようで一途な様に惚れました。あとぶっちゃけ外見が好み。ナコトの「うわあああん」な表情と無表情なのに頬を赤く染めるサキはたまらぬふぅ(シームレス絶頂)。でもナコトは美味しいところを攫っていく割に自ルートの扱いが不遇。サキは他のシナリオでほとんど出番がなく、ひどく浮いてる。シナリオに関してはココが図抜けた印象ですね。望んでいたものを見事に遂げてくれた。エピソード単位ではナナミの漂流イベントが一番。ナナミと言えばポチ、声優さんの演技がもっとも輝いて聴こえたのはあの自他共に認める糞犬でした。サブキャラではやはり三人娘。ただタカミとシマダはそれなりに見せ場もあって満足しましたが、カジワラの影が薄いのは気になったかな。キョーコさんは便利屋とか狂言回しの役どころが多く、個人の掘り下げが浅いせいかちょっと魅力を感じにくかった。あっちゃんは爽やかな変態で、あまりの快活さに他のヒロインたちよりも萌えることがたまに。あっちゃん(*´Д`)ハァハァ。でも添い寝は勘弁な。他にも何人か気に入ったキャラがいるもののネタバレ含むので割愛。主人公のコハルは重度のマザコン(ただし母親は鬼籍に入っている)というキャラなのに、そのへんの影響が出てる性格は不思議と嫌味がなくて好感が持てました。苛められているときの表情よりも、怒ったときの表情が可愛らしい。

 ファンディスクなり続編なりでもっとこの世界やキャラたちを押し広げてスケールアップを図ってほしいなぁ、と思ったり。少なくともドラマCD程度では物足りない。焦がれるソフトです。

・ところで『蠅声の王』が延期? 1月27日の予定が2月24日に。だとすると今月に続き来月もエロゲーの購入はゼロとなりそう。


2005-12-25.

・イヴは『一夢庵風流記』を読んで過ごした焼津です、こんばんは。傾奇者の尋常ならぬ熱さがいとも容易く季節感を凌駕いたしました。しかし読んでいる間ずっとこのスレのことが頭から離れなかった罠。

・そしてクリスマス当日は「自分へのプレゼント」なるウロボロスじみた寂しい響きの対浪費言い訳を掲げて書籍購入。『遮断』『シュヴァリエ(1)』です。『遮断』はともかく『シュヴァリエ』はマンガコーナーを徘徊し 期せずして発見。初めて存在を知りました。こんな冲方丁原作のマンガが出ていたとは……amazonで「冲方丁」と検索しても引っ掛からないせいもあって見逃していた次第。おのれamazon。と逆恨みしてみましたが実はちょっとしたサプライズが嬉しくもあったり。

『塵骸魔京』ノベライズ

 2月の予定に。まさかこれは散々囁かれていた、本編では足りなかったエピソードの補完……? 作者の海法紀光は夜刀史朗と同一人物だという説もあるし、恐らく本編そのままをなぞる内容ではないと思いますが、まだ詳細は不明。んー、どんなもんやら。

Marronが新作告知

 クリスマスジョーク?

 と一瞬マジで聞き返したくなってしまった寝耳に水のニュース。秋桜が2001年夏、おねきゅーが2003年夏、そしてこの新作が──予定通りに発売されるとするならば──2006年夏。ほぼリアルタイムで竹井10日を追ってきた当方には感慨が山盛りの事態です。そりゃドラマCDやノベライズ、オリジナル小説は出てましたけど、やはり竹井の本領はゲームにありでしょう。良かった、彼はまだシナリオライターをやめてなかったんだ……ちなみに、原画はいくたたかのん。割と絵柄にクセのある人ですね。ひとまず震えて待ちます。

『ひめしょ!』、プレー中。

 ココシナリオがひとまず決着。でも思ったより長かったです。地味系でしかもウジウジしているという、下手すれば人気投票なんかでサブキャラにも遅れを取ってしまいかねないキャラだけに、当初はココ自体にそれほど強い個性や目立った魅力を感じませんでした。正直、集合イラストを見てもココ一人だけ妙に浮いている印象が拭い去れなかった。

 反面、シナリオに関しては今までの中で一番面白く、後半は夢中になってプレーした次第。「剣道の才能がある」ってポイントがキーに据えられている節があったため、一種のスポ根みたいなノリを期待していたんですけれど、それが巧い具合に的中してくれた感じ。いろいろとツッコミどころは多い気がするものの、緩急のリズムを掌握した話運びで細かいことを忘れさせて没入を促してくれる。そして一つ一つのシーンが「待ってました!」的な、いい意味で先が読めて尚且つワクワクと楽しめる内容に仕上がっており、実に退屈しなかった。ヒロインが地味なおかげもあってか相対的に主人公の存在が際立って感じられ、興味深く思えたこともある。決して捨てシナリオにはなっていなくて嬉しかった。

 才能はあるが、如何せん現状ではまだ弱い。確実な勝利を掴もうとするなら、未来に託す方が理に添う。……だからと言って、「弱い」ことだけを理由に今この瞬間にあるチャンスを諦めることができるのか? と「賢明さ」の所在を質す設問に対し、「諦められるものか!」と否定の意志を掲げて真っ向から抗う姿勢を整えるココの愚直な努力に胸がキュンと縮むのであります。地の文を使わず独白と台詞によって疾走感を刻む遣り口が素晴らしかった。燃えゲーには格好いい地の文が不可欠ってイメージありましたけど、本当のところではそんなにエッセンシャルなものではないのかもしれない。三人称視点を削ぎ落とされた掛け合いと試合の趨勢もなかなかに熱かったです。

 ってな具合に大いに楽しんだところでいよいよナコトシナリオへ進攻を開始。ナナミと並んでメインの座に位置するヒロインだけあってシナリオも「相応しかろう」と激期待しながら邁進したところ、しょぱなの過去編で幼ナコトと邂逅いたしましたが……なんです、この当方に眠る密かな欲望を読み取ったかの如き幼女は? お上品で高圧的なロリに見えて実は結構天然なエロっ娘なんて、現実には0.01パーセントとして実在する見込みがねぇ。まったくもってこんな存在、たとえヴァンダムが許しても理性が許しません。

 が、そんな理性も無に帰すほどの破壊力。初めて会ったその日に速攻でツンデレ結界を生成した挙げ句、舌まで入れるディープキス──ナコちゃんは戯れのできぬ女であります。高圧的のようでいてどこか抜けてるというか愉快に天然気味な彼女の性格を、いじめられっ子というか弄られっ子のようでいて実はいい根性してるコハルを触媒にして最大限に活かし、更にスパイシーなエロスを振りかけて凶悪な味わいを引き出すことに成功している。下ネタに関するリミッターがぶち壊れているあたりはまさしく18禁の本領発揮ですよ。ナナミが「素直になれない幼馴染み」とすれば、ナコトの位置は正逆、「素直を突き抜けた幼馴染み」。サキの素直クールぶりよりも触れがたい深遠なる恐怖を喚起してやみません。青山ゆかりのボイス、合っているとは思いましたがここまでハマリ役になるとは予想し切れなかった。これはきっと後に回した価値のあるルートでしょう。期待とその他が膨らむ一方です。


2005-12-23.

♂の抱き枕が発売される世の中じゃポイズン。こんばんは、渡良瀬準に関して「ヘイトかラヴか」の二択で言えばラヴ派の焼津です。それにしても「学園最強のオカマちゃん」って具体的にどう最強なのか、そもそもあの学園には序列を組まれるほどオカマが伏在しているのかと疑問が湧く。

 ちなみにラフ画をポイントすると裏面が「SECRET」の部分だけ明示した状態で晒されますが、よく目を凝らしてみれば黒地のところにもうっすらと線が見え、全体が把握できるようになっています。モニタを上から覗き込むようにすると効果的。もちろん当方はエロ本にある黒い塗り潰しを光に当てて透かそうとする中学生の必死さを駆使して解読いたしました。今はいささか必死すぎたと反省しています。

戯画、翠ショートストーリーを公開

 もともとは『パルフェRe-order』の予約特典として付くはずだったものが、なんかいろんなゴタゴタがあったらしく取りやめになりOHPで公開という運びに。

 翠というのは『パルフェ』の前身『ショコラ』(註:リンク先、声が出ます)に登場したヒロインで、『パルフェ』でもチョイ役の出番があるキャラ。『ショコラ』の主人公とは腐れ縁の仲で、開始時点から親密度が高い。話は本編で断片的にしか語られなかった学生時代……よりも更に昔へ遡るもの。ボイスドラマとは別にテキストを載せた画像が収録されており、「ドラマ→SS」の順でやれば二度堪能できる仕掛けになっています。短いながら丸戸の器用さが発揮された佳品。『パルフェ』も『パルフェ』で素晴らしいけれど、やっぱり先にプレーしたせいか『ショコラ』の世界はより心地良く馴染んでくるなぁ。

『ひめしょ!』、プレー中。

 サキシナリオ、いろいろ気になるポイントを残したままひとまず終了。んー、クライマックスの展開がめっちゃ慌しかったうえにどうもザルというか大雑把な印象が拭えなかった。土台、セリフの掛け合いとモノローグがメインで地の文には極力頼らないミクロ視点な構成なんですから、妙にスケールの大きい話を紡ごうとしても今一歩で迫真性が醸せない気がします。要素要素で個別に拾っていけば「おおっ」と思える部分は多いのに、全体を通して見ると「うーん」な煮え切れない感想。過程として繰り広げられたドタバタコメディがテンション高くてテンポ良くてキレも抜群だった分だけ、実に残念です。

 今後の進行でそこらへんが救済されることを祈りつつ、攻略対象をココへ変更(ターン)。ココはぶっちゃけ『ひめしょ!』で一番存在感の薄いヒロイン。それはもうポチやキョーコどころかクラスメートのシマダ・タカミ・カジワラの三人娘にも劣る勢い。人見知りが激しく言葉もたどたどしく態度は常にオドオドと縮こまる姿勢を崩さず、もはや忍術を駆使しているかの如き地味加減であります。辛うじて興趣をそそる箇所は「これで結構剣道が強い」ということ。小躯に裂帛の気合を込めて撃ちかかってくる凛々しさ、その幻視光景を心のガソリンにして邁進している次第。

 いえ、「蕾見してみいや」と絡んできたナンパ男に頬を膨らませるや流れ一閃──みたいなバイオレンスはさすがに期待してませんが。やはり青春モノの醍醐味として暴力よりもスポーツで魅せて欲しいって気持ちがあります。「努力・根性・気合」の三拍子をクリーンかつ泥臭く示してこそ学園ストーリーかと。ガッツ&ピース。そして夕日の差す川原。王道は踏破してこその王道でしょう。

 にしてもこのソフト、

「まぁまぁ、これもスキンシップだと思えば、ね?」
「ヤガミではレイプをスキンシップと呼ぶのですか!? 貴女達も! お止めなさい!」
「なにおぅ!? 皮を剥けって言ったのは、アンタだろーが!」
「私が剥けと言ったのは里芋です!! 妹じゃありません!!」
「芋も妹も似たようなもんだろが!! 面倒クセェ!! 姉も剥いちまえ!!」

 とか、ところどころで訳の分からん迫力に満ちていて、ホント好きです。

 次回更新時には恐らくナコトシナリオまで進めていると思います。開始からかれこれ2週間以上経ちましたし、そろそろ勢いに乗らないと間延びしてしまいそうなので、ちゃっちゃかペースアップを図ろうっと。

・冲方丁の『カオス レギオン03』読了。

 マルドゥックを崩して以来、ここずっと冲方づいています。このまま手元にある作品を読み切ったら『ばいばい、アース』にも再チャレンジしようかな、なんて気運が盛り上がっていたり。あれって確か総計すると原稿用紙2500枚を超えるんですっけ……マルドゥック3部作全体よりも更に長く、内容的にもかなりクセがあって、いざ取り掛かるとなれば相当の覚悟を完了させねばなりませんが。

 さておきカオレギ。バカでかいスコップを担ぎ、左腕に刻んだ「聖印(ハイリヒ)」によって大地から怨みに狂う死者の穢れた魂を召喚し、群霊(レギオン)を構築して戦うジーク・ヴァールハイトと、彼によって盲目の闇から引き上げられた従士ノヴィア、マスコット的な役割の妖精アリスハート、三名からなるパーティの冒険ファンタジーです。ストーリーの大きな枠は「ジークがかつての親友ドラクロワの振るう暴虐を止めるために旅を続ける」のと「聖地シャイオンの新領主となったレオニスがジークを亡き者とするために刺客を送る」のとで組まれています。前者に関しては一冊目の『聖戦魔軍篇』で既に綴られているせいかあまり興趣をそそることはなく、「聖双去来篇」以降はレオニス周りが物語の核心に据えられている観があり。

 今回はそのレオニスが新たな刺客として送り込むべく揃えた人員、「地獄の彫刻師」レティーシャ、「吸血医師」アキレス、「香しき者」フロレスの計3人が新登場します。普通に進んでいけばこれらの面子と順々に能力バトルを繰り広げて打ち勝っていくのがパターンというものですけれど、そこを敢えて外しに来る序盤がまず面白い。なんとひとりは作戦に参加することを拒否して聖地シャイオンに残ってしまうし、ひとりは自分の力を仲間たちに使って足止めしたうえで独行し抜け駆けを果たしてしまう。刺客の結束が見事にバラバラです。これじゃあ討てるものも討てないんじゃないか、特に抜け駆けした奴なんかは真っ先にやられるような……という読み手の不安をよそに、意外や意外、ジーク一行は「結束していない刺客たち」相手に苦戦を強いられる。「夢幻彷徨篇」と副題に表れている通り、ジークもノヴィアもずるずると術中に嵌まって分断され、各々が幻覚に悩まされながら敵地を彷徨うことになる。450ページという分量のほとんどが「幻惑」に費やされており、今回はサスペンス色が前面に出る内容。これまでとはまた一味違った作風でなかなか退屈させません。

 唐突ですがあとがきによれば作者はこの1冊を一ヶ月ちょい程度のスケジュールで書き上げたとのこと。おかげで文章は同じフレーズやセンテンスが何度も頻繁に繰り返し登場する水増し気味の代物になっていますが、それがまたジークたちの陥った罠の夢幻感を醸す表現としてうってつけで、結果的には面白く仕上がっている。夢において過去を思い出すジークは、渦巻く記憶の迷宮に囚われ、今は亡き従士の面影を追憶しながら、「斬らねばならない」と痛切な気持ちを高めていく。「5番目の従士」としてノヴィアが就くまでの──つまり今まで4人もの従士たちを死に至らしめた、「従士殺し」ジーク。今回、その一端が覗くというのも興味の一つであります。

 全7巻と、冊数的にも分量的にも現在の冲方丁において最大のシリーズであり、内容も他と比べて見劣りしないクオリティを保っている割に『カオス レギオン』の評判や知名度はいまひとつな気がします。侮るにはあまりにも勿体ない作品なので、是非とも強く推したい所存。『聖戦魔軍篇』を読んで冲方のファンとなった身、カオレギにはいっそうの思い入れがあります。けど、その思い入れを脇に措いてなお面白いと断言できる。端的に書けばレティーシャたん(*´Д`)ハァハァ。もはや口癖にもなっていない奇声とか、どう考えてもヒロインにはなれそうにないダーティ能力とか、肉切り包丁とか、素晴らしく即物的。


2005-12-21.

・某所にてネタバレ書評の批判があり、若干の反響が広がっている模様。それを見てつらつら浮かんだことを覚え書。

 当方自身は書評、というか書き殴っている感想について何らポリシーがなく、「なるべく致命的なネタバレを避けて、こまごまとしたネタバレは注意を払いつつ使用」といった路線で書いた結果としてやや抽象的になったものを掲載しています。ですから、「未読の方」に対しては多少なりとも気を配っていますが、「作者」への配慮は一切念頭にありません。作家名を表記する際になるべく敬称を省こうとするように、敢えて気兼ねをなくしています。気兼ねなく、自分が「面白い」「微妙」と感じた印象を要素ごとにバラしてみたり、漠然とした全体像のまま彫り出してみたり、文章の形に直すことで表明する楽しさ。それを信じているからこそ、わざわざ誰もが見れるサイトで書き殴っている。玩具を与えられた子供がそれを壊しかねない勢いで弄り回すみたいなものかと。玩具を壊されるかもしれないというのは贈呈した作者にとって不快かもしれませんが、その貪欲さも含めて「作品を楽しむ」という行為に充足するのであります。

 それにつけてもネタバレというものは各人が抱く濃淡のイメージが違うせいで、いつになっても議論が絶えませんね……極論、「冒頭一行目を勝手に教えるのすらネタバレ」って人もいれば、「あらすじをバラされたくらいで意欲をなくすんじゃ歴史小説なんか読めるか」と豪快な人もいます。「面白かった」や「つまらなかった」の一言がネタバレになるかどうかも、決着がつかない争点。アタリかな、ハズレかな……とドキドキしながら未知の領域へ足を踏み出すのも興味の一種であり、「面白かった」と前もって言われることで安心感が湧いてしまって盛り上がらなかったり、あるいは天邪鬼な心境になって素直に楽しめなかったりすることもあるんですから。結局のところ「自発的に情報を得たい、コントロールできない情報が入ってくることで苛立ちを覚えたくない、ひたすらノイズをカットして没入したい」みたいな物理的ではない個人閉鎖環境の度合いをどれほど望むかに関わってくるので、個々の感情や感覚を抜きにしては語れないから泥沼に陥るんだと思います。

 でも、何かのキッカケがないと本を読み出すことは難しい。読書って結構な労力を払うから最初の1ページをめくるのにある程度の気構えが必要ですし、世の中には本なんて山ほどありますので、特定の1冊を選び出してスタートするのは当たり前のようでいて至難の技です。せいぜいどこかの誰かにとって良きキッカケであろうと心の片隅で祈ってテキトーにタイピングするのが吉でしょう、吉だったらいいなと結んでみる焼津です、こんばんは。

『容疑者Xの献身』、2005年週刊文春ミステリーベスト10にて1位

 『葉桜の季節に君を想うということ』『生首に聞いてみろ』にも果たせなかった「このミス、本ミス、文春」の年間ランキング三冠達成です。本ミスが混ざる以上、何かしらの本格要素がなくちゃいけないので、割合難度が高い偉業。これだけ評価が高いなら遠からず映像化しそうな気がしますね。内容的にも絵にしやすいムードですし。

『ひめしょ!』、プレー中。サキ狙いで。

 このゲームはまきいづみに期待しつつ買った人間にはパライソかもしれないという疑惑が、サキを攻略にかかるや確信に変わりました。

 ──いづみボイスの鉄槌が下される。もはや我々はミスター・グラスに過ぎず、その身は鼓膜を通じて脳が溶け崩れると同時に、名状しがたい雄叫びを漏らしながら無惨千万の呈で砕け散るのであります。速やかな、音よりも疾き寂滅(ニルヴァーナ)──!

 と、思わずお脳がアホになるほど威力絶大のまきパワーが舞い降りはべりいまそかり。ネタバレするのが怖いからあれこれ書けませんけど、こいつは極上ですよ。前回「ディスコミュニケーションからコミュニケーションへの回復」とか分かったような口振りで言っていたことがもうどうでもよくなってまいりました。エンターテインメントの荒波に飲まれるとテーマ探究心は無力化されるのが世の定め。どんどん楽しくなっていくひめしょ界に反比例して睡眠時間がごっそり削られる。面白い作品は現実側のものをガチで壊しますね。味わいはどっちかと言えば「まったり」系なのに、やめられぬ、止まらぬ、省みぬ。サキと○○が気になってしょうがありません。

 今年はホント、面白いソフトに当たってばかりで、引きの良さがさすがに怖くなってきました。1本や2本のハズレがあってもご愛敬って感じで済まされるのに……ハズレがまったくないならないでそれはまた不安になるちっぽけな心理。ともあれ、ここらでダラけていたペースを一気に取り戻そうと思います。寝る間も惜しんで行く所存。


2005-12-19.

『このミステリーがすごい!2006年版』を読む。国内編20位までのうち既読が3冊、海外編は0冊でした。というか、海外編の半数はチェックすらしていなかった作品……未チェック作がランキングに上がるのは本来歓迎すべきことでしょうが、買わずともチェックしていた作品までことごとく選から漏れていることを考えると複雑な気分。目端が利かないせいで年々予想と現実の乖離が激しくなっていきます。

 このミスを読み始めた当時はまだインターネットに接続どころかPCも持ってなかった頃で、ガイド本の類が今よりも貴重だった分、どれも舐めるように読み込んでは余念なくチェックしたものでした。ミステリのガイド本では『ニューウエイヴ・ミステリ読本』『名探偵事典【日本編】』『ミステリ・ハンドブック』の3冊が手垢級。森英俊の『世界ミステリ作家事典』はさすがに値段(7000円)に怯み購入は躊躇、図書館で禁帯出になっていたものを何度も引いた記憶がありありと。……しかし、『本格派篇』の他に『ハードボイルド・警察小説・サスペンス篇』なんてのも出てたんですね。そういうのを除けば後はひたすら店頭の新刊をチェックすることに心を砕き、とにかく情報を仕入れることに必死でした。それこそ「日参」の勢い。現在はググって引っ掛かったページや「今後の刊行予定」に目を通すくらいで、本屋へ行くのは半月に一度か二度、それも最初から買う予定の本を探すだけ。新刊が置かれる平台に前屈みでじっくり視線を注ぎ一冊一冊のタイトルを胸に刻んだり、知らない旧作を発掘すべく既刊コーナーを回ったりすることもなく、わざわざ実物を手に取る機会がめっきり減少した次第。やはり現物に触らないと嗅覚って働かないのかなぁ。

 ネットでの情報収集に慣れ親しんだ今、気になった作家の著作をリストアップすることさえ困難だったあの頃に戻りたいなんて到底言いかねますけど、年末年始のランキング本・ガイド本を見てもいまいち騒げない現状に寂しさを禁じえない焼津です、こんばんは。とりあえずチェックしてなかった奴を調査しつつ積読崩しに励みます。

『ひめしょ!』、プレー中。とりあえず一周。

 やっとバッドエンドではない、ちゃんとしたスタッフロールが流れるエンディングへ到達。ナナミ狙いで進めていたのでたぶんナナミエンドだと思いますが、気のせいかやけにあっさり終わってしまってような。確かにこれまでのエピソードは大なり小なり波乱がありありだったにせよ、話を〆るにしてはおとなしすぎると言いますか、全然大団円って気がしません。「安らぎを得にいく」といった具合で穏やかな雰囲気が漂っているのは好ましいものの、なんかまだ裏がありそうでスッキリせず。でもまあ、他のキャラもどんどんプレーしていくとしましょう、と深く考えないで区切りをつけた次第。

 で。次の攻略対象に選んだのがサキサカサキ。CVがまきいづみ。「外はね」ことシマダカホの声もやっています。とりあえずカホは置くとしてサキ、宇宙環境に適応するため身体の80パーセントを機械化したからくり仕掛けの姫君であります。逆に言えば20パーセントだけ生体部品が残っているわけで、それはどこなのかと言うと、例えば舌。五感のうち味覚だけはアナログなので食事が趣味とのこと。にしても舌とは。「舌だけ生身のロボット」ってやけにエロい響きですね──っていやそういう気持ちがないわけじゃないんですがそうではなくて、ADポリスってアニメに『舌を噛む男』というのがあったなぁ、と連想しました。事故で瀕死の重傷を負って全身をロボコップ化されてしまった刑事が、唯一痛覚の残っている舌を噛むことで自分が生きていることを確認するとか何とか。昔にレンタルビデオ屋で見かけたのがえらく記憶に残っているだけで、中身を鑑賞したことはありませぬ。若本規夫が声やってるらしいし、機会があればいずれ……っと、脱線しました。

 ヒロインがロボットってのはギャルゲーでもエロゲーでもよくあることで別に珍しくありませんけど、「中途半端に人間としてのパーツが残っている」という状態が痛々しくもあり、逆にすべてがオーダーメイドのアンドロイドよりも突き抜けた気風を感じたりします。アンドロイドとサイボーグ、特に「生体部品をつかったアンドロイド」と「全身余すところなく機械化したサイボーグ」をそれぞれ呼び分ける必要があるのかなどといったことは興味の湧く命題で、まだ辛うじて人間の要素が残っているヒロインが敢えて自分のことを「ロボ」と認識されたいとを望んでいる、そんなギャップというかジレンマというか溝と煩悶のある状況を起点に主人公とのふたりの関係が始まっていく経緯にディスコミュニケーションからコミュニケーションへの回復を期待しています。単に「人間的」というポイントを終着駅にするくらいなら、「人間とロボ」の違うところと違わないところを明確にして受け容れて両者が折り合っていく道のりを示してくれたらなぁ、とか。適当に思考を遊ばせておるのです。

 けど、この無表情サイボーグ姫をどういう流れで、どういうエロシーンに持っていくのだろうか、と疑問に思っていましたが……

 

「ヤガミ君のお尻の中‥温かい‥」

 

 コロ助!? ロボだけにか!?

 「戯れなれば 肛虐にて…」とハイブロウな挨拶をかますだけに留まらず、衆人環視の中でケツの穴を舐めるのも厭わないって「公開アナル宣言」までぶち挙げる始末。ロジャー、ロジャー! 怖ろしい、本当に怖ろしい姫様が世の中にはいるものだな! 顔色一つ変えずにそんなことを言い放つあたりなど、「素直クールはこれほど邪悪になれるものなのか……」と心胆を寒からしめられた。当方もたまに忘れそうになりますが『ひめしょ!』の舞台は女子校で、主人公は女装姿なんですよ。そんなシチュエーションの下、教室でクラスメートたち(無論全員♀)に見られながら主人公の菊座を舌先にて愛で殺してやる、と鉄面皮に一方通告する尻好きプリンセス。誰が想定できるか、そんなシーン。最高だ! サキサカサキ、その溢れんばかりの淫クールぶりを兵器に変え、一瞬にしてフロンティアラインを越境してきました。今後のことを想像するだに楽しすぎてゾクゾクします。今後にレッツ注目。

 余談。ちゃんと修正パッチ当てましたけど、それでもまだテキストミスが多いですなぁ。「意外」が「以外」になっていたり。あとボイスとの不整合も目立ちます。意味や内容は変わらないんですけど、些細な差異も積もり重なるとちょっと気になるかな。この手の不具合はノベルゲーとして避けられぬ、ボリュームの長大化に伴う宿痾なのかもしれません。最近は分量が増えすぎで、どこのメーカーも細かいところがチェックし切れていない状況かと。


2005-12-17.

・眠りが浅いのでなんとなく目覚め、本棚から引き出して開いた『進め!聖学電脳研究部』が面白すぎ、爆笑によって呼吸困難に陥った焼津です、こんばんは。どれもネタがちょうど直撃世代だ。主人公やヒロインの存在感が恐ろしいほど乏しく、全体的にヒラコーらしいやる気がなくて露悪的なファッキン根性だだ漏れのカオス時空が展開されていて、ほとんど勢いだけに等しかったけどすごく楽しかった。これは是非ともリアルタイムで読みたかったなぁ。アーカードとアンデルセンを折衷したような字楽先生がテラかっこいい。オッパイシスターズの無駄に乳を強調する絵も比較的健全なレベルで心地良いです。

 けど、一時復刊するって情報の出ていた『コヨーテ』や『エンジェルダスト』はどうなっているんだろうなぁ……『ヘルシング』を読む前から人づてに評判を聞いてかれこれ10年近くずっと探し続けている『拝HIテンション』、あれが復刊されたら嬉ションかますこと間違いなしですが、どうもダメっぽいみたいだし。

『大魔法峠』OVA化

 ついさっき初めて知りました……もっともラディカルでもっとも反則的な魔法少女が遂に野へ放たれるのか。

『ひめしょ!』、プレー中。ナナミルートかな?

 「ひめしょ」というタイトルは「お姫さまと少年」の略くらいに思っていたが、違う。是即ち「秘め書」。つまりは「秘書≒メイド」で、ショタゲーとかお姫さまゲーに見せかけたメイドゲーだったんだよ!

 と、我ながらどうでもいい駄ネタはともかくとして。このゲームに出てくるメイドってのはアレですか、侍女式戦闘員の謂ですか。なんか耳にする欠片程度の情報から察しても、「メイド」と呼ばれる人種が性格破綻者か戦争狂にしか思えません。遂には「メイドとは現代の侍である」とかトンデモ主張までし始めますし。メイドブームが咲かせた徒花である「武装女中」の類は腐るほど見てきましたけど、さすがにこれだけ無茶苦茶だと……いっそ気持ちイイですね。

 地の文はなく、会話文とモノローグだけでシーン構成している割に誰が何をやっているのか活き活きと伝わってくる遣り取りが楽しゅうございます。話を進める手続きとして用意された会話でも、ただ内容を伝えるだけじゃなく適度に脱線してほのぼのしたムードを醸してみせる。強烈な下ネタが各所に配されているのでどうしてもそっちに目が行ってしまいますが、日常の中にぽつりぽつりとある何気ないコミュニケーションの数々が結構良い。ドタバタだけに終始せず、まったりとした味わいも漂わせていて心憎いばかり。基本的に一話完結方式で、前回の内容があんまり影響してこないって部分にはちょっと不安も募りますけど。毎回リセットしてるようなものだからなぁ。長編みたいな大きな流れを期待するより、読切作品を賞味する感覚でプレーするとちょうどいい塩梅かもしれない。

 それにしても濡れ場をピーピングするに留まらず解説まで加える某ヒロインには笑った。「また一つ腕を上げたわね、コハル!!」だの「あぁ‥いいなぁ‥アレ‥いいなぁ」だの「あぁ‥くそぉ‥なにがウンよぉ! なにちょっと可愛い女の子気取ってるのよぉ!!」だのとモノローグ形式で青山ゆかりボイスが読み上げるあのシーンはクオリティ高い。特に「あぁ‥くそぉ‥」のところは情感が篭もりすぎだ。「なにちょっと」の部分が実際には「ちょっ、なにちょっと」と、消えるギリギリで「ちょっ」という舌打ちじみた苛立ちの声が混じっている芸の細かさに脱帽。エロにすら丹精込めたネタが混ぜ合わされており、「もっと面白くする!」という気迫が溢れんばかりとなっている。エンターテイナーとしての業の深さが垣間見られた。

 ちなみに愚痴。もうここ数時間サキサカサキが影も形もないですよ……シナリオによっては全然出番がなくなるのか、あの人。

・冲方丁の『微睡みのセフィロト』読了。

 今から3年半以上前に書き下ろしで刊行された一冊。カラーページ込みですら全体で200ページもいかないことを考えると分量的には中編クラス。現在既にレーベル休止も同然な状態のデュアル文庫だが、当時は「デュアルノヴェラ」と銘打って200ページ前後の本を505円(税抜)で発売する一種のフェアみたいな企画をやっていた。気づけばいつの間にかパタッとやめていたけど、一群のノヴェラにはいくつか傑作が潜んでおり、本書を含めて正に「埋もれた佳品」となっている。

 以下は個人的な経緯で作品そのものには関係ありませんから読み飛ばし推奨ですが、これが出た頃の当方は冲方丁という作家のことを『ピルグリム・イェーガー』の原作者としてしか知らず、記憶が確かならまだピルイエの1巻も未刊行で、はっきり言って「絵+安価」という理由で買ったようなものでした。そうしたことから当然の如く積み、半ば存在を忘れながら『黒い季節』『ばいばい、アース』といった初期作に触れ、年が明けて出版された『カオスレギオン 聖戦魔軍篇』をトドメにハマったまでは良かったものの、本書の約1年後に連続刊行が開始した『マルドゥック・スクランブル』シリーズを、読破を目論みながら途中で挫折してしまった『ばいばい、アース』の醜態を教訓に、「万全の態勢を整えてからじっくり読もう」と熟成させるつもりで計画的積読のリストに組み込んだ余波からどことなく似た雰囲気を放つ本書も一緒に積読の闇──略して積闇に沈んでいったわけです。今月無事マルドゥック3部作を読了したことから、連鎖的にこっちもサルベージする気勢となりました。

 さて、本書はマルドゥックシリーズを彷彿とさせるパーツを多分に孕んでいながらも、世界設定等にこれといった繋がりが見られない、つまりはまったく別の系統に立った作品と見做しても構わない内容です。感応者(フォース)と呼ばれる超次元的な能力を持った人間たちが現れた世界、旧来の人類と激しい軋轢を生む最前線──感応者に家族を奪われた憎しみを精神的な拘束で抑制することにより鉄面皮の猟犬となって犯罪者を追うタフな捜査官・パット、そんな彼とバディを組むことになった「世界最強」の感応少女・ラファエル。超次元的手段で300億超という偏執的な細かさに混断(シュレッディング)され、空間ごと停止させられているベシエール氏の事件を追うふたり。表面上はごく穏やかな協力関係が成立していたが……って話。

 捜査小説にサイキック・アクションのテイストを盛り込み、ハリウッド映画仕立てに書き上げています。なにぶん短いのでストーリーがトントン拍子に進みすぎるきらいがあり、また事件そのもののスケールもあまり大きくならないので、いろいろと匂わせた要素が思わせぶりな仄めかしに留まっている惜しさがある。悪役も小物すぎ。能力は悪くないのに、姿を現した時点で「あー、こりゃダメだわ」と分かってしまう。しかし、作品のムードは高いレベルで終始維持されているため、一旦この世界に惹かれ出すと止まらない。ただ「超次元的」と書けば陳腐にしか思えませんが、そこに混断(シュレッディング)なる一見理解不能でいて「何となく分かる気がする凄そうな概念」が絡んでくると、こちらの抱くイメージがどばーっと押し広げられる心持ちとなります。想像してみてください。飛んでくる銃弾の軌道そのものには一切干渉せず、それでいて空間が歪むくらいの威力で弾道を切り刻むや否や、すっかり用を為さなくなったブレットが自分の顔を素通りして、後方で拡散するように三次元上から消失する──そんな混断のビジョンを。ルビや造語、固有名詞のネーミングセンスもさることながら、映像的なイメージを活字間に照射するねちっこい拘りが非常に美味しいんです。言うなれば描写力の桃源郷。本が薄いとはいえテキストに関してはびっしり詰まっていますから、しっかりと腹の膨れる食いでがあります。

 要はあれです、タフガイな捜査官と純朴可憐でいてメチャ強い少女、あとおまけに犬が活躍する「小さくない男の子」向け御伽噺。絶望と憎悪を呑んだ男が再起するリバイヴ物語の観点から見ればまだ少し中途半端な印象は拭えないにしても、500円そこらという値段分以上は楽しめました。ヴェロシティが一向に出る気配のない飢えも癒えた。叶うことなら続編を希望したい本です……ってしまった、逆方向で別の飢えが発生しているなんてオチが。


2005-12-15.

・疲れすぎて「総選挙」を「銃撃戦」と誤読した焼津です、こんばんは。目が悪いにもほどがある。

『オーバーフロー プレミアム・トリロジーBOX』情報公開

 そしてそして!新作『サマーデイズ』の先行体験ムービーも掲載されるぞ!待ちきれないファンは要チェックだ!

 ……えっと、1月27日発売予定の商品に「待ちきれないファン」へ向けて「先行体験ムービー」を収録するってことは、「1月発売予定」となっているはずの『サマーデイズ』本体を「待ちきれないファン」が出てくるくらい延期する気満々ってことですか?

 元より「1月に出るわけないな」と思っていたサマデイですが、こうして迂遠な形で予想が裏づけされました。とりあえず来年の夏に間に合えばいいな、と願ってみます。

 ──だが、それを裏切ってこそ延期の英霊──!

『アヤカシ』の新企画スタート

 やはり出ますか、『AYAKASHI H』。本編はそれなりに不満もありましたけど、基本線では気に入っているので注目したい。WEBノベルは角屋希望。

『ひめしょ!』、プレー中。

「僕は!! ナコトさんが泣くまで!! 子宮を突くのをやめない!!」

 言いそうな雰囲気は嗅ぎ取っていましたが……コハルの野郎、本当に言いやがった。近未来のくせにオールドジャンプ読者とは。さすがポルチオ流星拳の使い手。恐るべし。

 とか笑っていたのも束の間、一周目はバッドエンドを迎えました。あっちゃんと二人きりになったので「まさか雅史エンド?」と慄いていたら、あっさりと自分探しの旅に出てやんの。「自分探し」って。今時そんなのハチクロくらいじゃないか。BEスキーとしてはさりげに意表を突かれて楽しかったです。

 そこでロードしてやり直し、現在はナナミルートを攻略中……やばい、立ち絵を見詰めているうちにナナミが変なカツラを付けたショートカットの赤毛っ子みたいに映ってきた。はっきり言ってコハルよりもこっちの方が女装少年みたいじゃないか。

 と、さっきからずっと話の内容に触れない断片的なことばかり書いてますが、決してストーリーがつまらないからではなく、今のところなかなか面白い展開に入ってきています。敢えて予想を外してもっと面白い方向へ持っていくところがたまらない。なんというか、ナナミが「ドラえもんの秘密道具を悪用する方法に気づいたのび太」さながらの表情をし始めたあたりが不安というか期待を煽るというか。テメエ、絶対にろくなことを思いつかないだろ──と、何かをする前から制止したくなる気分。カタルシスならぬカタストロフィの前兆にワクワクします。来たれ破滅。

・なんとなく、web拍手レス。

 伽藍蒔絵が居たと思えばことみようじが居ず、ことみようじが居たと思えば伽藍蒔絵が居ない。なぜじゃ
 「すれ違い」フラグが成立中かと。焦らされた分だけファンの期待が高まる寸法。

 夜刀姫斬鬼行、ルーガルとのあの戦闘のあとで今度はフツーにってのは明らかに不思議な感じがしました
 簡単に流しすぎというか、チグハグさが目立ちますね。

 ひめしょ、コンプしました。面白。哨戒…いや、紹介してもらえて感謝しきりです。
 おお快なり。伝道の喜びに浸りつつこちらもコンプを目指すとします。

 なんか本当にアヤカシH?が出そうですな。……シリアスバトルやってくれ〜
 やっぱりアヤカシの見せ場は必須ですね。新キャラを軸にシリアス展開してほしい。


2005-12-13.

・最近になって『タマラセ』のタマラセ名が海外ミステリネタ尽くめであることを知った焼津です、こんばんは。「ブルーハンマー」とか「ローズ・イン・ザ・ダークネス」で近似を感じてはいましたけど、まさか偶然の一致じゃなく狙ってやっているとは。いざ解説されてみると有名どころばかりで、なぜ気づかなかったのか不思議なくらい。ミスオタ失格だわこりゃ。

あかべぇそふとつぅ、新作のタイトル発表

 新作というか、どうも同人ソフトとして出した『A Profile』を商業ソフトとしてリメイクする模様です。「完全版」と謳うからには声を付けて新規のシナリオとイベントCGを追加、ってところでしょうか。ひょっとすると原画を変更したり、彩色し直したりするのかも。それどころか全面的な改訂の可能性さえ。まだ制作告知がされたばかりで情報も出揃っておらず、憶測ばかりになってしまいます。これは尋常のリメイクではない、読めぬ…あかべぇ商法が全く……。同人ブランドが商業化した後で過去作のリニューアルを商業ベースに乗せるのは珍しいというか、前例はRegripsの『MIST』くらい?

 とりあえず車輪もまだ積んでるし、『A Profile』も所持していますから態度は保留。続報を座して待つとします。

・虚淵玄の『白貌の伝道師』読了。

 生粋のダークファンタジー。「全ての虚淵はどす汚れている!」という鋼屋ジンの書いたよく分からないキャッチコピーが踊る帯はともかくとして、新書サイズのハードカバーは大きすぎず小さすぎず、儲のコレクター欲を絶妙にくすぐる佇まいとなっています。発行元がニトロプラスなため扱いとしては同人誌に近く、通常の書店で入手することはできません。とらのあなで販売していた時期もありますが、今はニトロの直販で購入した方が確実な模様。記録によれば去年の12月29日、発売日当日にとらのあな店頭へ向かって買ったらしいのですが、何せ忙しく慌しい年末だけあってしばらくの間うっかり失念しておりました。度々思い出すことはあったのですけれどなかなか着手するタイミングが掴めず、それどころか何処に収納したのかも忘れていつしか1年の月日が流れ、つい先日、埃受けとして置いていた『リアル鬼ごっこ』の下から発掘したのを契機にようやく読み始めたのであります。

 内容は良く言えば「一切の無駄も合切の容赦もない純然たる暗黒浪漫」、悪く言えば「泥臭く時代錯誤で身も蓋もないファンタジー」。文章が少し硬かったかな。余計な要素をまったく混入させることなく、それどころか書き手の欲として湧いてくるであろう部分すら削ぎ落としたシンプル構成は「巧い」の一言に尽きる他方で、一読するや「食い足らない」と悩ましい飢餓感を誘発する効果も秘めている。虚淵特有の「畳めない風呂敷は広げない」といったスタイルを徹底しているのが、ファンとしてはこの上もないジレンマ。細身で美貌の青年が凶笑を浮かべて魔器を振るう、ひたすらに単純化された興趣をテンポ良く研ぎ出してみせる流麗なストーリーテリングとそこから生み出される負のカタルシスは極上なれど、やはりもっともっと長くの時間、もっともっと多くの分量で楽しみたかったという欲が残る。確かに話はよくまとまっているし、キリのいいところで終わるのだけど、「お楽しみはまだまだこれからだ」な雰囲気が心を落ち着かなくさせます。

 余念のない筆運びと狙い澄まして既視感を煽る世界設定は、当方の乏しいファンタジー経験の中においてダークエルフ物語(タイトルがちょっとネタバレなので反転伏せ)と『闇魔術師ネフィリス』を想起した。読後に覚える渇きはさながら『砂の王1』。容赦も仮借もどこかに置き忘れたダークファンタジーなれど、救いがないわけではありません。悪意が無限に純粋である──その一点を要とした、微笑ましいほど曇りのない物語です。一つ一つの殺戮、一つ一つの絶望、一つ一つの破滅、隅々に至るまでが丁寧に描かれていてとても明瞭な風景を紡いでいて、いっそ清々しい。ある意味、最後に勝っているのは愛ですし。作者は否定していますが。


2005-12-11.

・ばっちり風邪をひいて自宅で養生していた焼津です、こんばんは。本格的に寒くなってきてマジで冬って感じでありますな。

・川上稔の『終わりのクロニクル7』読了。

 厚さも凄いが誤字も凄かった。成田良悟並みか。「紙」が「髪」とか、初歩的な変換ミスがあれこれと。もともと電撃文庫は誤植の多いレーベルとして有名ですけど、それにしたって……執筆と編集の突貫作業ぶりが目に見えるような有り様。刊行ペースが異常すぎることを考慮すれば無理からぬことではありましょうが。

 と、いきなり水を差す書き出しで始めてしまいましたが、何はともあれ最終巻。1000ページ超をノンストップ(かどうかは読み手の状況にもよりますが)で進撃するだけあって弥が上にも盛り上がります。もう尋常じゃないです。時期が時期だけに、先月の6巻上下と合わせて見事な「受験生殺し」となってます。疾走感に身を委ねた文章は粗さが既に芸の域へ達し、緻密とは言いかねるエネルギッシュでパワフルで疾風怒濤でシャブ中的な大雑把極まる物語を妄想逞しく描き広げ、ひたすら「前進」の意気高く先端へ先端へと猛り狂って留まるところを知りません。仕込みがきっちり済んでる分、狙いは真っ直ぐ最短最速。気圧される一方でした。構成面で見れば力押しの一言に尽き、場面場面でワンパターンな展開が目に付きましたけど、とにかくそういった「細かいこと」の一切が気にならぬ熱い迫力に満ち溢れているおかげで、貴重な読書体験を損なうことなく終端まで至ることができた次第。印象的なシーンが多いだけに逐一書いていけばキリがありませんけど、これまで刊行されてきた13冊の内容に報いるには充分なものが詰まっていたと思います。出てくるキャラ出てくるキャラ、みんなみんなが好きですよ。

 何より嬉しさで胸が膨らむのは、これがまだ“AHEAD”シリーズにとって始まりに過ぎないということ。第一部に相当する『終わりのクロニクル』はここに完結しましたが、まだまだ先があることを本文中でもあとがきでも匂わせており、新章開幕への期待は弥増すばかりであります。さすがにここまでやっといてジャンプ式の「第一部・完 長い間応援ありがとうございました、川上先生の次回作にご期待ください」でフェードアウト、はないでしょう。それじゃあんまりってものです。祈る気持ちで新展開を待ちたい。

 しかし、改めて思い返すに、『終わりのクロニクル』って1冊目から14冊目までの期間が2年半しかないんですよねぇ……30ヶ月、なんだかあっという間だった気がします。総計してページ数がざっと7200ページほどですから、均しでだいたい毎月240ページ提供していたことになり、つまりほとんど「月刊・終わりのクロニクル」と表現しても過言ではなかった状態。いくら改行が多くていささか書き殴りテイスト横溢とはいえ、顎が外れそうです。怪物め。

・というわけで回復した体力をひたすら終わクロに注いだ一日でした。


2005-12-09.

・基本的に冗談としか思えない厚さな終わクロ最終巻を購入した焼津です、こんばんは。文庫ライトノベルとしては前人未到の1000ページオーバー。まさにデタラメ。アライJrの状態並みにデタラメ。ノドの糊がくっつき切らず凄いことになっていて、なかなかビビります。厚い本に関しては講談社ノベルスで散々慣らされたので読むに問題はありませんが、今後は素直に分冊してほしいです。いくら分厚い本フェチの当方とはいえ、ここまで棚に差して異様な存在感を発揮する奴はちょっと。

飛浩隆の『象られた力』が第26回日本SF大賞を受賞

 『空の園丁』まだー。……と馬鹿の一つ覚えみたいに繰り返すのもそろそろ辛くなってきましたが、それはさておき、めでたいことですね。『空の園丁』が出ていれば、もっとめでたかったことでしょう。2006年中に出ることを祈っております。なんかゲラはもう出来ているとかいうことですが、実際どんな進捗状況なんだか。

『ひめしょ!』、プレー中。

 奥平漂流。「水没都市」というなぜかエロゲーでよく見かけるガジェットが配されていたうえ、まさかああまできっちりサバイバル感の漂うイベントになるとは。てっきり『つよきす』の無人島みたいなまったりした展開になるものとばかり思っていました。なんというか、物凄い勢いでライターの趣味が出まくってるのではないかと。まだ割と序盤の方なのに根性勝負の熱血テイストが迸っており、釣られてこちらも手に汗握ってしまった。「当方のマウス先 やや熱いか…」と牛股師範ぶって嘯きたくなるほど。最初のうちはひたすらギャグとドタバタコメディで押して、最後の最後だけシリアス展開してしんみりと〆る──みたいな「笑えるエロゲー」の黄金パターンを想定していたために、こう早くもコメディ調を崩してくるとは、完全に裏を掻かれました。俄然楽しくなってきた次第。

 で、今はナコトの回想シーンが流れたあたりですが、ちょっとフラグに不整合がある気が。見ていないイベントについて言及されてるように感じる箇所がいくつかあって少し首を傾げた。うーん、選択肢の取捨がちゃんと反映されているのだろうか? 細かい引っ掛かりを覚えます。ま、それはそれとして。いざ学園内の描写が入ってきてみるや、「ひょっとしてこれ、青春学園モノとしても普通に面白くないか?」って想いがふつふつと湧いてきましたよ。どうも下ネタや極端なギャグのインパクトが強くてついそっちに目が行ってしまいますけれど、軽妙な会話の遣り取りに支えられた日常シーンがじわじわ地味に効いてくる。サブキャラがなかなかに魅力的。「主人公が女の子のふりをしている」という設定は相変わらず意識しにくくて半ば死にかけにせよ、本来敢えて退屈を味わうものである日常の掛け合いにほんのりと興趣の彩りを添えている。「未来でちょっとパラレルな日本」ってな舞台設定も、妙に細かいところに凝りすぎな気はしますが話の雰囲気をつくるうえで役立っていて面白い。こいつは当方にとってほぼ理想の形態を持った学園モノなのではないか、という予感が徐々に輪郭を孕んで明瞭になってきました。「ライターの趣味が出まくり」とはいえ、実に丁寧な仕事をしてくれるから嬉しいものだ。

 にしても、気になっているサキサカサキが全然これっぽっちも出てこない……彼女が活躍するのはまだ先の方なのでしょうか? CVが同じまきいづみの外跳ね娘にだんだん目移りしてきましたが。奇しくもナナミが言い当てた「ボケっとしているようで小賢しい」という性格、いかにもサブキャラって具合でツボに嵌まるのです。あと、ボイスの旨味を掛け合いで活かしまくってるポチは最強。オッドアイで犬耳な髪型と、いかにもクドい造型ながらそれを苦もなく流してみせる声優の演技&テキストのキレは惚れます。


2005-12-07.

・何もしたわけではないのに、幾度目かの起動を経てDVDドライブが普通に作動するようになっていた焼津です、こんばんは。よし、買い替えはもう少し先送りにしよう。貧乏性というより単に面倒臭いだけです。

『ひめしょ!』、プレー開始。

 やや未来で且つパラレルな世界の日本を舞台にした微SF学園ドタバタラブコメ。ショタ系でいてツッコミの切れ味鋭い主人公もさることながら、「まぁ、細かいことは気にすんな、男の器と夢とチ○コはデカイ方が女にモテるって言うじゃないですか!」など、ヒロインたちが日常シーンで容赦なく伏字を飛ばすシモさが正にエロゲーならではってノリでたまらない。それにしても、このやたらと細長いエヴァンゲリオン体型は本当に凄いな……山田風太郎の忍法帖シリーズに「狢犬」とかいう名前で出てきても違和感がない気します。

 内容は予想通りというか、予想以上にお下品。明るい絵柄に反してゲロとザーメンの吐き荒れるカオスなイベントがざっくりと。ルートはどうもナナミに入っているみたいですが、割とお約束のネタを使いつつ適度に暴走し、結果的としてわけわからんパワフルな展開を生み出しております。短絡的に見れば面白いけど、ちょっとずつ全体の構成が不安になってきた。良くも悪くも前回の結果があまり反映されないギャグ漫画のような味わい。シナリオに関してはまだストーリーが大して動いてないので何とも言えないにしても、本筋とは関係なさそうな無駄会話がテンポ良くて楽しいです。

 今のところ気になっているのは、体験版でほとんど出番がなかったサキサカサキ。宇宙環境に適応するため身体の大部分を機械化したサイボーグ姫、という設定も面白いけど、無表情・無感動なキャラクターがどう転がっていくのか興味深い。

・風見周の『殺×愛1』読了。

 各所で散々注意書きとして付されていることですが、本書はシリーズ1冊目ではありません。2冊目です。これ以前に『殺×愛0』が発売されており、先にそっちを読む方がモアベター。と言っても0巻はプロローグ的な意味合いが強くてほとんど「本筋」と呼べる部分はなく、あくまで番外編と割り切ってスルーしても差し支えありません。知らずにこの1巻から読み出しても、まあ多少は話の展開に唐突な印象を受けるでしょうけれど、設定はちゃんと説明されるしそんなに困らない。腰を据えて「殺×愛」シリーズを楽しみたい人は0巻から、このシリーズが肌に合うかどうか細かいことは抜きにして率直に確かめたい方は1巻から手をつけるのが妥当といったところでしょうか。

 さて、本書では0巻の最後まで引っ張っていた「あるネタ」を軸にして過去が語られたり現在の話が進んだりします。0巻にとって核心だった「あるネタ」は1巻じゃ前提に過ぎず、冒頭で早々に明かされるわけでして、この感想でも触れてよさそうなものですが……上で「0巻を先に読んだ方がいい」と書いた以上、0巻の興趣を削ぐような真似はやめておきたいのでやっぱり書きません。あれこれ述べたいところではあるものの、2巻あたりが出るまでひとまず伏せておきます、はい。

 類型的な幼馴染み、クラスに馴染めぬ転校生、誘惑式の妹、半ば奴隷化している後輩と、ほとんどエロゲーみたいな布陣で進行するストーリーは表面上ラブコメのようでいて、水面下は限りなくブラック。なんとも微妙に不快感を煽る語り口の主人公が取った行動の数々は到底誉められるようなものではないにしても、極端なシチュエーション下においてどことなく共感を覚えさせるものであり、いつしか空疎な雰囲気が心地良いとすら思えてくる。妹を「壊した」経緯を綴った過去編は真骨頂。痛々しい反面でゾクゾクと冷えた興奮を掻き立て、「殺し愛」というテーマに対し、読者であるこちらが自ずと陰翳を見出していく。壊れ系のストーリーとしては極上にネタとシチュがマッチした好例です。文章がいささかラフなのは、矛盾と皮肉を喚起する「壊れた予定調和」をいっそう意識させるための作為なのかもしれない。ただ、ギャグが寒いのは地という気がします。

 読んでいて唸るような「巧さ」があるわけではなく、むしろ逆にいろいろと苦言を呈したい箇所も散見します。けれど、文句を言わせながらも気が付けばいつの間にか話が終わっている、そのさりげなく滑らかな読み口が心憎い。技巧面で云々と語る余地はあまりない一方、「面白い」「先が気になる」「にゃみたん(*´Д`)ハァハァ」といった方面に関しては様々な想いが湧く。冷静に考えると「どこが面白いんだろう?」と首を傾げるものの、いざ読んでみると実際に面白いんだから不思議だ。読み手としての未熟さを痛感しますが、それはさておき本シリーズ、やはり「殺し愛」を嗜好する向きには絶品です。「巧さ」よりも「楽しさ」を追及して今後の展開も頑張ってほしいところ。


2005-12-05.

・DVDドライブが天の岩戸式に壊れた焼津です、こんばんは。ボタン押してもウンともスンとも言いやしない。本体は無事みたいですが、どうもトレイを開閉する部分がワヤになっているらしく。開けようと頑張ってる気配は伝わってくるものの、伝わってくるだけではどうにもなりません。しょうがないんでホロウを起動させるために引っ張り出して認証を済ませた後で仕舞っていた予備のポータブルドライブを再度呼び戻して凌いでますけど、いい加減そろそろパソ全体を新調したい今日この頃。

高橋メソッドによる『超妹大戦シスマゲドン』の宣伝(フノレハシ)

 「這い寄る純情」に爆笑。古橋秀之のマイナー器用っぷりがつくづく恐ろしくなる。

・テリオスの『夜刀姫斬鬼行』体験版プレー。

 最近のテリオスOHPは重いなぁ。なかなか繋がらない。それはさておき、発表から随分経った気のする本作、先々週にマスターアップ告知を済まし、来週の金曜には発売される運びとなっています。冒頭であの人(最近だと『つよきす』で土永さんや館長を演じた彼)の濃い喋りが聞けるなど、素敵に野郎臭の漂ってくる伝奇アクション。蛇の身体に角を持つ神「夜刀神」を焦点に据えて話が進行していく、と書けば和風伝奇のように思えますが、なぜかフランスからやってきたキャラが物語に絡んできたりと妙に範囲が幅広く、西洋ファンタジーの要素も多少入っている感じです。

 主人公が記憶を失った訳有り美少年、ヒロインが日本刀を振り回すセーラー服の美少女と、かなり類型的なイメージが漂う配置で物語はスタート。このふたり以外にもいろいろと怪しげな連中が姿を現しては思わせぶりな言動をし、主人公とプレーヤーの考えを惑わせる。うまくやっていけば伝奇群像劇として盛り上がりそうな期待が膨らむ一方、「収拾つかなくなるんじゃ」といった心配もあり。複数のライターが関わっているみたいなので、それぞれの担当箇所によって違いが出てくるかもしれませんし。クリーチャーデザインがいまひとつ萌えなかったり、戦闘シーンの演出が凝っているようでいてたまにファミコンのゲームを連想させたりするものの、ここぞというシーンでのテキストはこなれているから、伝奇バトルものとして見れば充分水準を超えている。シチュが嵌まりさえすれば熱くなること請け合いでしょう。

 ただ、こなれているとはいえ如何せんシーンごとのテキスト量が多すぎる。特に日常描写、必要以上に引き伸ばしまくりでダレがちなうえ、変に長い比喩表現が頻繁に使われたりと、テンポも悪い。ポン刀冷徹少女の「トウ」が平和な日常において周囲から浮いている様をコミカルに描かれているあたりは面白いにしても、いささか過剰にバカっぽいコメディを演じすぎ、さすがにムードを壊している気がします。もっと持ち札を絞り込んでほしかった。

 多重延期の実績と複数ライター制、二つのマイナスポイントがチラつく一方で、伝奇モノとしては結構面白く仕上がっているのではないかという淡い期待をくすぐられます。そしてルーガルとハインリッヒのコンビが個人的にツボ。んー、でもやっぱり起こるイベントがなんだか場当たり的に見えて、全体の構成に対し不安が拭い切れません。キャラ多いし、本当にちゃんとまとまってるのかなぁ。結構なボリュームがあり、嗜好に合うかどうかを判断するには好適な体験版でしたが、とりあえず発売後の評判を待つとします。にしても一色ヒカルがまたもや黒髪サムライガールを演じているのには笑った。


2005-12-03.

さしもの当方もコメントに窮す。こんばんは、焼津です。まだドラマCDが出る段階のようですが、このまま何かの手違いでゲーム化してしまうのではないかと思うと空恐ろしくなる。下ネタ路線のロリポップなバカエロゲーって、気のせいか、とても楽しそう……。

DreamSoft、新作『エーテルの砂時計』情報公開

 『朝の来ない夜に抱かれて』の「後継的な作品」だとか。前々作と同様、シナリオの項には『"Hello,world."』の南條しかしが記載されています。そのうえ、「街を護る天使・アル」とか「亡霊・ファントム」とか、やたらニトロプラスを連想させるワードがちりばめられていて複雑な心境。朝夜との関連はクトゥルー神話を下敷きにしているところ以外特にないっぽい。「日常に侵蝕してくる怪異」といったテイストで思ったよりも伝奇要素の薄かった朝夜に対し、今回は菊地秀行ばりの伝奇アクションになりそうな予感。

 にしても、このTOP絵でお盆持ってる奴が主人公(♂)なのかぁ…………てっきりヒロインと思ってワクワクしてました。これが男ってのもそれはそれでイイんですが。

高橋メソッドを使用した『ホーンテッド!シリーズプレゼン』(YELLOW SPRING)

 親和性の高さがすごい。設定にはビタ一触れてないのに雰囲気が伝わるとことか。

・冲方丁の『マルドゥック・スクランブル(1〜3)』読了。

 妙に長引いた『アヤカシ』もようやく終わって11月の新作に取り掛かれるようになったのは良かったが、個人的な事情からなんだかいろんなものが払底して無気力状態に陥ってしまい、パッケージを開封するのも億劫になってしまった。このままでは積ゲー賽の河原を演じてしまいかねない事態を無気力ながら憂慮し、「じゃあ、カンフル剤代わりに」と取り出したのが上記の3冊。

 発刊から2年半、日本SF大賞を受賞したり、SFの年間ランキング本で1位を獲得したりと、話題性が増大していくのも気にせず寝かせ続けておりました。何せ『ばいばい、アース』という、面白いのにあまりにも長大すぎて読み切れずに放り出してしまった本の著者が書いているんです、こちらとしてもすべてを味わい尽くすために万全の態勢を整えたかった。堪らず手につけたくなる衝動をSFマガジンに載った番外編(「104」と「−200」)でいなしつつ、迎撃ポイントを2004年秋──『マルドゥック・ヴェロシティ』刊行予定期に定めて今か今かと挙動を待っておりましたが……まあ、事実としてヴェロシティは04年秋どころか今年の秋にすら出ていないわけでして。機会を見失ったままずるずると積む羽目になった次第。いい加減我慢の限界であるし、これを読むことで元気が湧いて新作ソフトを崩す気になれば万々歳じゃない、と考えて書店カバーの封を取り去りました。

 えー、結論から言えば。元気が湧くどころか根こそぎ奪われました。徹夜でぶっ続けに3冊読んでしまいへろへろの状態に。気持ちが沈んでいた分、「ちょうどいいところで切り上げよう」という理性も働かずに没頭してしまったのです。これ、ダウンな気分のときに読む本じゃないですね。内容が重いとかそういう問題ではなく、他のことに考えを向ける余裕がなくなって異様に集中してしまう魔力を放ってますから、精神が安定してないとなんともヤバげになります、はい。

 カジノのディーラーとして出発し、マネーロンダリングを手掛けて巨大企業オクトーバー社に食い込み、「天国への階段」という意味を持つマルドゥック市で着実にのし上がっていく男、シェル=セプティノス。彼は年端もいかない少女を侍らせては次々と殺害してのける、現代版の青ひげだった。密室と化したエアカーに閉じ込められた十五歳のルーン=バロットは、「車ごと爆破」という大胆極まりない方法によって殺害されそうになったところを、「ドクター」と呼ばれる髪を斑に染めた白衣の男と、人語を解し「ウフコック」と自ら名乗るネズミに辛うじて助け出された。ふたりはルーンの命を救ったうえで、彼女に対して選択の機会を設けた。自身の殺害未遂事件の解決を、ふたりに委任するかどうか、という……。

 幼い娼婦として数々の男に「いいよう」にされてきたバロット、あらゆる物質に変身して役目を果たすことのできる万能で知的な「道具」のウフコック。物のように扱われる立場だった少女が努めて物であろうとするネズミに触れ、「物を使う」ということに自覚していく近未来SFストーリー。なんでもなれるウフコックはただし、道具としての良心を果たすため、過剰に凶悪な兵器となることを拒む。そのへんの経緯は番外編「104」とも関連しているのかもしれないが、読んだのがもうだいぶ昔なせいもあってよく思い出せません。ともあれ、無力に近かった少女が「周囲のあらゆるものを感覚的に把握し、電子機器を意志によって強制操作する」という能力を手に入れるとともに、最高のインテリジェンス・アイテムであるウフコックの協力を得て一気に最強化します。ために戦闘少女アクションとしては1巻後半の時点で既にインフレが発生しており、以降もずっとハイパー・バトル路線が続いていたら容易にマトリックス・ダウンしてグダグダな展開に堕していたかもしれません。それはそれで面白そうと思ってしまう当方の貪欲嗜好もアレですが、敢えて予想を外して殺戮の嵐を回避したのが人気の秘訣。

 もう刊行からだいぶ経って有名ですからあっさりバラしますけど、2巻からはカジノを舞台にギャンブルを中心に据えて進行していきます。「シェルがカジノのディーラー」という伏線はあったにせよ、1巻の時点でこうした路線に転向することを予想できた人はいないと思います。それも、メインとなるゲームがポーカー……ではなく、ブラックジャックですよ。あのカードを引いて合計値を「21」に近づけていく奴。ルールが単純明快で覚えやすいから誰しも一度はやったことがあるでしょうしゲームの緊張感は伝わりやすいでしょうが、それにしてもブラックジャックとは。完全に裏を掻かれた。もちろん裏を掻いただけに終わらず、延々と濃密な勝負を活写してはこちらの寝食を忘れさせる。文字媒体で有利なのは、物事を描く際に自由に薀蓄を垂らすことができる点だと思います。ただ配られた札とディーラーが一枚だけ晒しているフェイスカードを判断材料にして、引くか(ヒット)引かないか(ステイ)を決めるだけ。ポーカーみたいなハッタリ要素は混ぜにくく、絵的には地味であるにせよ、活字でじっくり説明されると焦れるような熱が伝わってきます。ストレスのあまり吐いたとあとがきで述懐しているのは伊達じゃない。読んでるこちらも異様な盛り上がりに呑まれて本を閉じることができなくなった。ルールが単純だろうと複雑だろうと、書き方次第ではいくらでも迫力が出せるもんなんだなぁ。ディーラーたち──前哨戦のやられ役に相当する人物さえ、しっかり肉付けされて存在感を発している部分が良い。危うく本筋を失念しそうになりながらも手に汗握りました。

 そしてカジノ描写が終わった後で迎える最終決戦。死にたくないバロット、すべてを唾棄するボイルド、自分の「有用性」を信じるウフコックのトライアングル。最後に誰が命を歌うのか。衝撃と納得の結末に打ちのめされる。番外編の方を先に読んでいた分、一層にショックでした。ブラックジャック勝負の後だけに1巻ラストの焼き直しみたいな戦闘はいろいろと見劣りしますが、カジノであれだけ印象的な場面を紡いでなお、読者の胸を撃ち抜かずにはいられない執念が心臓に沁みます。作者は書くべきものをただ書くのではなく、抗うようにして書き上げた。読者たるこちらは眠気が立ち退く中で、無心に読み下すより他ない。

 退廃した香りが漂うようでいて、全編、作者の熱気が乗り移ったかのような賑わいに満ちたシリーズでした。1巻と3巻のインパクトが強いだけに2巻がいかにも繋ぎめいた印象を受けてしまったものの、物語の中間点として眺めれば見所も多く、事実上「だれ」ってものが存在しません。『ばいばい、アース』の件から心中密かに抱いていた「途中で挫折してしまうのは」という懸念もあっさり打ち砕かれ、むしろ心配するべきはボイルド並みに睡眠を奪われた自分の生活でした。次の日に仕事があろうと構わず徹夜させてしまう本ほど恐ろしいものはない。バロットが再生していく過程や「楽園」における対話で作者の主張が前面に出すぎてしまったようなところと、2巻ラストから3巻前半にかけて完全にボイルドが「いらない子」となっていたところ、そもそも「スクランブル−09」というよく考えるまでもなくかなり無茶苦茶なものが罷り通っているところがちょっと気にかかりましたけど、読んだ直後はそれどころでなく、今まで深い考えもなくダラダラとこの3冊を積んでいた過去の自分を小一時間問い詰めたくなるほど昂揚していました。徹夜明けのハイも影響していましたけど。

 バロットとウフコック、それにボイルドを加えた三角関係は実にロマンティックで素敵でしたが、個人的に胸キュンだったのは「賭け事が好きなの?」と訊かれたときのドクターの返答。

「そうだな、あれは実にスリリングな──知的ゲームであり、人生の美学だ」

 冷静な口振りを保とうとしているのに顔がほころんでしまっているあたりなど、凡百の萌え仕草では追いつかない愛らしさを感じさせます。ウフコックも捨てがたいがやはり当方はドクターで。


2005-12-01.

propellerサイトリニューアル、新作情報公開

 荒川工とJ・さいろーの新作が来ました。感慨を圧縮すると「ポエム無頼派よ不滅なれ」の一言に尽きてしまいます。楽しげな学園モノみたいなので、ザ・荒川ハンドに絶度の期待を寄せてみる。

・今月の購買予定。

(本)

 『デスノート(9)』/大場つぐみ、小畑健(集英社)
 『虹の家のアリス』/加納朋子(文藝春秋)
 『砂漠』/伊坂幸太郎(実業之日本社)
 『終わりのクロニクル7』/川上稔(メディアワークス)
 『神栖麗奈は此処にいる』/御影瑛路(メディアワークス)
 『空ノ鐘の響く惑星で9』/渡瀬草一郎(メディアワークス)
 『がるぐる!(上)』/成田良悟(メディアワークス)
 『ニライカナイをさがして』/葉山透(富士見書房)
 『さよならトロイメライ5』/壱乗寺かるた(富士見書房)
 『結界師(10)』/田辺イエロウ(小学館)
 『サンタ・クラリス・クライシス』/ヤマグチノボル(富士見書房)
 『紅』/片山憲太郎(集英社)
 『神様家族7』/桑島由一(メディアファクトリー)
 『超妹大戦シスマゲドン1』/古橋秀之(エンターブレイン)
 『センゴク(7)』/宮下英樹(講談社)
 『クロサギ(8)』/黒丸、夏原武(小学館)
 『遮断』/古処誠二(新潮社)

 20冊を突破した先月に比べればやや少なめか。デスノは第2部がいまいち盛り上がらないけど、面白いとは思うので依然デフォ指定。虹の家〜はアリスシリーズ2冊目。加納朋子は「日常の謎」系統では特に好きな作家です。最近あまり読んでませんが。伊坂の新刊はなんとなく。伊坂は強烈にハマっているわけではないにせよ、「なんとなく」で新刊を買い続けてしまう魔力のある作家。終わクロ7は今月の目玉。完結編につき、1冊で1000ページオーバーという凄い噂も。御影瑛路はデビュー作が「問題作」という触れ込みながら大して話題にならなかった新人。とはいえ個人的には注目株です。空鐘は最近めっきり少なくなった王道ファンタジーの雰囲気を漂わせるライトノベル。地味ながら話はどんどん面白くなってきてる。がるぐるは越佐大橋シリーズの完結編。幕を引くに相応しい出来を期待したい。ニライカナイ〜は恋愛要素多めの話らしいが、とりあえず葉山がミステリー文庫に帰還したことを喜びたい。さよトラはアクの強さに馴染んできたおかげで普通に新刊が楽しみ。

 結界師は今サンデーでもっとも注目してるマンガ。というか、最近のサンデーって……。サクラクラはヤマグチノボルの単発作品? 『描きかけのラブレター』が良かったし、とりあえず期待。紅はどうもタイトルからして『電波的な彼女』の主人公の母親・紅香にまつわる番外編っぽい? 神様家族はアニメ化が決定したらしいけど、本編はラブコメの度合いが濃くなってきて膠着状態な気が。でも桑島テキストが好きなので買い。シスマゲは器用貧乏化が進む古橋の新刊。漏れ聞いた話によればネタっぽい企画のくせして真っ当に面白い部分もあるとか。センゴクはキンカンに(*´Д`)ハァハァする戦乱絵巻です、と微妙な断言をしてみる。クロサギは1巻以降読んでないので、今どんな展開をしているのかサッパリ分からなかったり。『遮断』は今月の裏目玉。新しく連載の始まった『敵影』ともどもワクワクしながら待っている次第。

(ゲーム)

 なし

 『ユメミルクスリ』『MOON CHILDe』『FESTA!!』『夜刀姫斬鬼行』と、いくつか気になっているタイトルはあるものの完全に様子見姿勢で臨みます。積ゲーが溜まってきたので消化月間に当てたいというのもありますが、単純に「何がなんでも買いたい!」って思わせるソフトがないんですよね。TH2の移植版も、PS2版を未プレーで保管してるからあまり心惹かれませんし。

・拍手レス。

 べ、別に応援とかじゃないわよっ!? そ、そうよ、本当にいたいけかどうか確かめるために押したのよっ!!
 ツンデレというか、「素直になれない」型の応援ありがとうございます。

 「振り返らないことさ」じゃねぇですよ、「振り向かないことさ」ですよ師匠。
 orz。ちなみに「振り向く」と「振り返る」は普段から混同する癖があります。

 予定は所詮未定なんですよね。予定が決定したところで……ねぇ?
 「発売日が決まって良かった。これでまた延期できるぞ!」

 友人に角屋&ショウケラ=0.7ワカメ+0.3骸骨面(型月)と言われました。……う〜む
 ワカメには一応友達いるしなあ。角屋さん、仲間はいても友達はいなさそう。

 グゥレイトォ!全体的に凄いぜ!!
 つい先日までディアッカのことを「ジュデッカ」と覚え違いしてました。

 竜が最強で感情で力が増大する設定ですからねぇ。悠がキレれば勝てる!とはいえもう少しひねってほしかった
 できれば対ケバタケ戦あたりのノリを重視してほしかったですねー。

 大きい=強い デイダラボッチはそんな当たり前のことを思い出させてくれました。
 まさしく、怪獣映画の類に熱中した幼少期をまざまざと思い返させる威容。


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