2005年5月分


・本
 『九十九十九』/舞城王太郎(講談社)
 『名探偵 木更津悠也』/麻耶雄嵩(光文社)
 『闇よ、我が手を取りたまえ』/デニス・レヘイン(角川書店)
 『僕らはどこにも開かない』/御影瑛路(メディアワークス)
 『終わりのクロニクル4(上・下)』/川上稔(メディアワークス)
 『眠り姫』/貴子潤一郎(富士見書房)

・ゲーム
 『魂響』体験版(あかべぇそふとつぅ)
 『あやつりブルマー』体験版(Le.Chocolat)
 『塵骸魔京』体験版(ニトロプラス)
 『花々の想ひ…。』体験版(LIBIDO)
 『あやかしびと』体験版(propeller)
 「砦に帰す」/『二重箱』(ケロQ)
 『ゆのはな』(PULLTOP)


2005-05-31.

・「マジカル……」の後に「トカレフ」を続けたくてウズウズする焼津です、こんばんは。

『プリンセスうぃっちぃず』、プレー開始。

 英雄願望にまみれたオバカでハイテンションな主人公、その前に現れたのは、やはりオバカでハイテンションなヒロイン志望の魔女。というわけでオバカ二乗、ダブルハイテンションのウィッチクラフト学園ファンタジーです。

 「脇役とやる時はロー一発でいいよ」とばかりに『ホーリーランド』級の暴力を体現する幼馴染みや、任を解かれてなおも「委員長」と呼ばれ続ける本名不詳の少女、やや扱いが雑なルームメイト(♂)と、学園コメディ的には王道の匂い溢れる初期配置からスタートした割に、肝心のヒロインが冷静なツッコミキャラではなく主人公と同じ天然熱血ボケキャラだったせいでなんかあっさり王道を突き破っちゃった気がします。凸凹コンビならぬ凸凸コンビ。良くも悪くもとにかくテンションが高い。勢い任せと言っていいくらい。楽しいことは楽しいけれど、このノリに長時間付き合っているとなかなか疲れます。

 OPやEDがあったり次回予告があったり各話タイトルがあったり、構成はテレビアニメを意識したつくり。終始テンションが下がらないため、ひとつひとつのエピソードが一気にガッと読めてしまいます。うーん、前作『パティシエなにゃんこ』はシーンによってドタバタしてるトコもあったけれど、どちらかと言えば「まったり」が基調であっただけに、今回のシャブをキメたみたいな徹夜明けじみたギリギリの雰囲気はなんなんだろう。まるで、『秋桜の空に』『Like Life』を混ぜて固めたような魔配合ぶり。良くも悪くもいろんな意味でワクワクします。

 まだ序盤なのでストーリーは詳しく分かってないんですが、それはさておき、主人公のかますギャグにかなりの率で下ネタが混入されているあたりは個人的にすごく好み。ティッシュとエロ本を会話ツールにする野郎の関係には笑ったし、「ヒーローになれば身近な女の子たちも俺の股間に興味を示すというもの」ってな身も蓋もない直球の妄想ぶりにはむしろ感激しました。ステキすぎ。なんて絶妙に頭が悪いんだろう。戦っている最中、仲間の全裸過程を含む変身シーンに下半身を剛直化させ、ヒロインに「おち○ぽおっきくしてる場合じゃないよ!」とツッコまれるあたりなど、とんだ益荒男ぶりだ。

 ヒロインは、メインのクルルがキンキン声で耳痛い……とゲンナリしたものの二話目で慣れました。できればこいつだけ音量下げたいけど。THE 委員長は隙だらけなところが可愛らしい。ただ隙だらけゆえにどことなくサブキャラの風格を漂わせてしまうのは皮肉か。終盤で「ここは私に任せて、みんなは先へ行って!」とか言いそうなタイプ。幼馴染みの林檎は、えっと、ツンデレ要員? というか、当て馬臭さがぷんぷん。彼女はウィッチになったりせず、ステゴロで「魔女狩りのボクサー」とかになった方がオイシイ気もしましたが地味なコスチュームがなんとなく似合っているしまあいいや。ってなこと書きつつ、今のところ当方は林檎が一番お気にだったり。妬き方が半端じゃないあたり特に。そういえば、名前からして雀宮一恋の姉? 移植版のパテにゃんはやってないので詳しいコト知りませぬ。

 さて、気力を充填させて今後もガリガリやってこうと思います。

・貴子潤一郎の『眠り姫』読了。

 表題作含む7編を収録。前半の4編はそれぞれ独立したストーリーで、後半の3編は「探偵・真木」を主人公とした連作短編。表題作「眠り姫」は『12月のベロニカ』の異聞となっているが、話の繋がりはない。ひとりの少年がひとりの少女にまつわる思い出を淡々と語っていく。以降の「汝、信心深き者なれば」「さよなら、アーカイブ」「水があばれる」はファンタジーだったり青春モノだったり近未来モノだったりとジャンルがバラバラ。しかも基本的に地味というか、あまり奇抜な設定や展開がなく、ほどほどにヒネリを利かせた内容となっており、ライトノベルよりかは一般文芸に近いノリです。言わば乙一みたいなスタンス。

 後半の3編「ヘルター・スケルター」「カム・トゥギャザー」「孤独のRunaway」は流行らない事務所を一人で経営している私立探偵・真木を主人公にした、一人称ハードボイルドの連作。真木自身の事情については仄めかし程度にしか触れられず、下の名前すら明かさない。ハードボイルドだからといって銃や麻薬や死体がバカスカ出ることもなく、映画フリークのヤクザに絡まれたり、ヤクザたちと雀卓を囲んだり、家出した小学生を捜したりする。地味というか渋いというか。ハードボイルドだからライトノベルっぽくないんじゃなくて、刺激になるような味付けをほとんどしていないあたりがライトノベルらしくない。でもカッコつけてる割に間抜けな真木と、ふざけたヤクザの橋爪という組み合わせが面白く、地味ながら結構ハマりました。なんだかこのふたり、『疫病神』コンビを彷彿とさせる。

 一読し、「貴子が富士ミスらへんで真木シリーズを書いてくれたら……」と願う声に思わず賛同。いっそLOVE寄せなしで地味なままの「探偵真木」短編集を出してほしいものです。無理っぽいか。


2005-05-29.

・地上三階から緩降機を使って降下訓練。思わず下を見て、「今日は死ぬにはいい日だ」と呟きたくなった焼津です、こんばんは。「三階なんて低いよ、イケるじゃん」と軽く見ていたものの、飛び降りる際はやっぱり怖かった。降下速度が遅かったから、地面に向かっている間は割と平気だったにせよ。

・隣町のゲーム屋で『二重箱』『モエカす』の中古を発見。どちらもコストパフォーマンスがよろしくないファンディスクとの評判でスルーしていましたが、『陰と影』の発表が後押しとなる形でついつい衝動的に購入してしました。両方合わせて5000円弱。

 とりあえず『二重箱』のミニシナリオ「砦に帰す」をプレー。柳生の忍・彩は七人の仲間とともに峠に建てられた城の監視任務に就いたが、一週間という短い期間の中で次々と仲間たちが死んでいく。本来なら八人もの忍を必要とするはずがない、簡単な任務だというのに。この変事の裏にはいったい何があるというのか……。サスペンス色が濃厚な伝奇ストーリー。『二重影』のサイドストーリーは以前雑誌掲載された「どっとはらい」が既読ですが、本当に外伝に近かったあれに対してこっちの「砦に帰す」は本編との関連が深いです。今更「ああ、なるほど」と思う箇所もチラホラ。

 サスペンスが基調になっているせいかアクションシーンが少なく、まともなバトルは最後の一回だけだったあたりは不満。「その量は通常のゲームに匹敵!」という謳い文句は誇張だろうから話半分に聞いていたけど、さすがに声付きで2時間足らずとまでは思わなかった……伝奇として見ても、描写してほしかったところがいろいろ省かれていますし、もう少し書き込んでほしかったかな。仲間が奇怪な殺され方をした謎についてとか、砦にまつわるエトセトラとか。ただ、肝となるラストバトルがテキスト・絵・BGMの三神合体で派手に盛り上がってくれたので、個人的に元は取れました。

 「商売のやり方がクリーンじゃない」「結局、何がしたいのかよく分からない」とファンに嘆かれているケロQですが、それでもやっぱり注目を打ち切ることはできないなぁ、と再確認した次第。イルスイの外伝と、あと『モエカす』も時間を見つけて早めに崩そうと思います。

・さて、そろそろ通販で届いたプリっちを開封しようかな……同時注文した『School Days』ともども、6月戦線が来る前には終わらせたいけど、さてはて。


2005-05-27.

・石持浅海の新刊が出てるとは知らなんだ。というわけで店頭で発見した『扉は閉ざされたまま』を緊急購入。新刊情報を網羅するのは難しいなぁ、と実感した焼津です。こんばんは。

犬狼伝説版 プロテクトギア・鷲尾 翠 in Cool Girl

 うわあ、カッコイイなぁ。中の人は全然見えないのにフォルムで女性と分かるのが面白い。高いし在庫切れなんで買えませんが。これで人狼版のプロテクトギアだったら高い金吐いてでも購入に走っていた気がします。

propellerの『あやかしびと』、体験版をプレー。

 今年遊んだ体験版の中では一番の満足度、と先に言い切ってみます。

 隔離された街で異能を持った少年少女が敵と激しくバトル。マンガやアニメでよくある企画というか、はっきり言って既視感バリバリで特に新鮮味はありません。至ってベタ。和風伝奇っぽいタイトルは東京魔人学園とかあのあたりを連想させますが、敵となる「ドミニオン」がパンクあり坊さんありと和風なのか洋風なのかいまいち分からない組織なので、据わりは悪いかな……。

 ライターの東出祐一郎はある意味有名というか、吸血鬼クロスオーバーSS『吸血大殲』を書いた人。クロスオーバーものとしては結構話題になった大作だから、その流れでこのソフトが期待されている次第。既に前作でシナリオライターとしてはデビュー済ですけれど、彼がメインを務める企画はこれが初であり、期待の一方でちょこっと不安もあったりしました。

 始めてみると、まず驚いたのはヒロインのすず。パッと見た印象では「騒がし屋の義妹」といった感じで個人的に苦手なキャラと思えたのですが、いざ実物を目にするや印象が急転換。えらく可愛いやないの。容姿が幼いことを気にしつつもお姉さんぶろうとする人外ロリとは、あざとくも素晴らしい狙いだ。ふとした拍子に顎を逸らせて尊大な態度を見せるところで年経た人外ロリならではの魅力を発散。すかさず主人公がチョップで突っ込んでその魅力を台無しにするコミカルな遣り取りも美味しい。というわけで、メインヒロインが眼中に入ってなかった当方さえも「すず(・∀・)イイ!!」と素直に思えました。

 ストーリーの展開も実に丁寧で、細部をも疎かにしないという気迫が感じられます。島からの逃亡、おっちゃんとの遭遇など、手を抜こうと思えばシーンそのものも省いてしまえる部分にも余さず力を注ぎ、シナリオに厚みを持たせている。けど、丁寧に描き込みすぎて展開が遅くなってしまっている面もあり、ライターの熱情を全面的に肯定しかねることも確か。テキストは読みやすくて引っ掛かりを覚えるほどではないにしろ、「思わず惹き込まれる巧さ」とまで謳うには及んでいない。序盤のうちにだれてしまってテンションが下がるプレーヤーもいる気がします。

 神沢市に「入神」するという転機を境に、物語は盛り上がってくる。主舞台となるであろう神沢学園の面々が登場し、役者が揃っていくとなればワクワクするのも当然。血で血を洗う酸鼻極まりないバトル、とまでは行かないにしても、激しく鎬を削るアクションが合間合間に挟み込まれているのだから尚更。ただ、やはりここでも「丁寧に書きすぎ」の弊害が出ており、文章の密度が一定だからか平時のシーンと緊急時のシーンとであまりテンポが変わんないです。もう少し緩急の付く工夫があれば、と悔やまれる。ゲームでは割と重要な存在であるBGMも、今一歩力不足に思えましたし。

 と、不満要素も書いてみましたが、大筋ではかなり気に入っています。冒頭で「今年遊んだ体験版の中では一番の満足度」と書いた通り。目新しさこそないものの、この手の学園異能バトルが大好きな当方としては是が非でも見逃せない一品。虎太郎とか愁厳とか、野郎ばっかりが存在感に溢れていてヒロインズの影が軒並み薄かったのは、「この手」のお約束なのか。一奈のあのシーンなど、意外とエロにも頑張っている向きですからいろいろ期待致したく。鉄板で購入確定となりました。


2005-05-25.

propeller、『あやかしびと』のWEB体験版を公開

 特典やお返しディスクに関する情報も更新。いよいよ攻勢に出た感じですか。早速、体験版に着手するとします。

日本推理作家協会賞に貴志祐介氏「硝子のハンマー」など

 『硝子のハンマー』、綿密に推理を詰めていくその情熱に打ちのめされた一人としては受賞の報が嬉しい限り。

『ゆのはな』、ようやくコンプリート。

 しまった、よりによってクライマックスでマウス操作を誤り、クイックロードして全然別のシーンに飛んでしまった!

 と不注意で水を差してしまったものの、遂にやり終えました。結局、一ヶ月近くプレーしていたことになるなぁ。発売から数えると既に二ヶ月。時間が取れなかったり他のことに興味が移ったりしたせいもありますが、それを脇に措いても長かった。このゲーム、見た目はそんなにボリュームありそうではないんですが、キチンとボイスを聞いてプレーしているとかなり時間を食います。正確に計ったわけではありませんけど、少なく見積もっても当方がクリアするのに累計30時間は要しました。選択肢らしい選択肢もなく、ほぼ一本道のルートばかりだったのに。通常版が7875円(税込)のソフトにしてはやりますね。

 ヒロインはゆのは、わかば、椿、穂波の四人で、残念ながら由真はサブキャラ。攻略できません。たとえ背中の鬼が哭いても無理という事実に変わりはない。で、ゆのは以外は好きな順番で攻略でき、わかば、椿、穂波と三人のシナリオをクリアすると最終章となるゆのはシナリオがタイトル画面に現れ出る仕組み。オーソドックスと言えばオーソドックスな構成。まともにやれば一周するのに10時間を軽く超えるので、のんびりプレーが信条の人には相当な日数がかかります。実際当方にもかかりましたし。

 穂波シナリオ、クライマックスが痺れた。そして湿っぽく粘着質なエロスには別の部分が痺れた。椿シナリオは一本のシナリオとして見るとまとまりがないように感じられますが、割と好き。不安定なところが良いといいますか。わかばとゆのははよくまとまってる分、逆に語りたいことがない。と、個々のシナリオについてはこの程度の言及で控えておきますが、大雑把に言ってどれも成長物語。何かを克服して前に進む至って王道的なストーリーばかりです。主人公が底抜けにバカでポジティヴで楽観的だからこそ拓ける突破口が清々しくも爽やか。丁寧に描かれているので盛り上がりますね。ただ全体的にほのぼの、まったり、ドタバタと概ねコメディに属するテンションが行き渡っているので、激しい面白さや尖ったセンスを求める向きには退屈かもしれず。当方はダレることなくプレーできました。ひとえにテキスレのキレが良く、声優さんの演技も良かったからではないかと。「まったり=ダレる」となりがちである難所を巧妙に迂回しつつ踏破する、その軽やかさがステキです。

 それで、長い長いとは書いていますが、この長さが無駄なものだったかというとそうは思いません。実のところ、最終章のゆのはシナリオは他のヒロインに比べて短く、下手すると1/3くらいになっている。しかし手抜きと見做すのは早計。これまでのシナリオで言及されたことを割愛し、効率的に組み立てたおかげで軽量化されているんです。矛盾を来たさぬよう、それでいて説明文が重複することもないよう、それぞれのシナリオに物語のパーツが分担配置されているおかげで飽きさせない。

 率直に言えば一部の設定が曖昧というか恣意的な感じもしましたけど、どちらかと言えば雰囲気を楽しむゲームなので特に気にする必要もないとあっさり流しました。もっと細かいことでは、わかばシナリオでは「『華の湯』は牛乳類しか置かない」とあった割に、背景を見るとどうしてもポカ○スエットやオロナ○ンCにしか思えないジュースが存在しているなど、気になる部分はありましたがさすがに重箱の隅か。あと、酒屋に若渋蔵のポスターが張ってあるのには笑った。B29撃墜のCGでは白髪なのにポスターで黒髪になっているのは染めたからだろうか?

 突き抜ける要素こそなかったものの、あらゆる面でキレイにまとまっている良作でした。コストパフォーマンスがイイことを考えると、「時間ならいくらでもあるぜ」な人や、「のんべんだらりと長ーく遊びたい」な人にはオススメしやすい一本。

 ちなみに当方が好きなキャラはゆのは。「パンがなければゴミを食べればいいじゃない」系のキャラです。二言目には「神様ですから」と超傲慢。それが賽銭を搾取し放題、おそなえ供出させ放題ですから正に「とんでもねぇ、あたしゃ神様だよ」。加えてオ○Qに匹敵する健啖家であり、更にはジャパネスク・ホラーのお約束に則って髪を自由に動かせる。あれは荒魂が髪で和魂を緊縛する伏線かと思っていましたが、全然そんなことはなく見当外れ。声がキンキンしていてうるさいところもありますが、やはりこいつの魅力にヤラレたからこそ、一ヶ月の長期間にも及ぶプレーを持続させられた。がめつく、澄ました、天然詐欺師肌の人外ロリ。萌えも笑いもエロもなんでもイケます。彼女はもう完成されている。


2005-05-23.

・なんか暑い暑いと思ってましたが、それは気候の問題ではなく部屋の構造のせいだと衝撃の新事実が判明しました。実は当方の部屋、窓がないんです。扉を除いた三方はすべて壁。あたかも独房の如き佇まい。おかげで熱気が篭もったまま逃げていきません。やたら暑い。ちゃんと窓がある両親の部屋に入ったらあまりの涼しさに素でビビりましたよ。

 ……新事実というより単に忘れていただけ? な焼津です、こんばんは。でもアイスが美味しいからヨシとします。

・そういや前回は書き忘れていましたが、『塵骸魔京』の謎少女、声優がまきいづみです。マジで。プロデューサーか誰かがキャスティングの際に放った「むうっ、出演すっ!」という雄叫びが聞こえてきます。それは聞こえなくてもいいんですが、あの謎めいているのにほわほわした声は必ず聞くべきなので「むうっ、出資すっ!」と購入は確定となりました。

 というわけで、いや因果関係はゼロなんですが、今更『ジオグラマトン』が気になっています。評判がいまひとつ振るわないのは承知で。差し当たって体験版をやってみようかと。

ケロQ、新作『陰と影』の紹介ページ公開

 「陰無し→陰部がない」、つまり空は「ふたなり」ならぬ「ぜろなり」……!

 それはどこの中性体だ、と自己処理しつつ。まだキャラが四人公開されただけでストーリーとかイベント画像とかスペックとかは未公開。『二重影』の続編なのかリメイクなのか、位置付けは不明なままです。仮にリメイクだとしても、いろいろ変更点は多そうな雰囲気。ぶっちゃけ『二重影』では影の呪い云々、といった謎がほとんど放置気味でしたのでこっちの方で解決してくれればなぁ。


2005-05-21.

・いくつか本屋回ってみても『ファウスト 第5号』は発見できず。入荷が遅れているというよりそもそもバックナンバー自体が入荷されていなかったような。探すのが面倒なのでギブアップ。見つからないのは「買わなくていいよ?」っつー運命げなアレとかソレっぽいお告げなのだと前向きに解釈する焼津です、こんばんは。

 本音を言うと買えなくてちょっと悔しかったり。恐らく買えども後悔、買わねど後悔。これが かつじちゅうどくしゃの さがか。

『塵骸魔京』体験版公開

 落とすべきか、落とさざるべきか。製品版を無心に楽しみたい向きとしては迷うところ。結局誘惑には勝てずダウンロードしましたが、今度はこれをインストールすべきかどうかでためらい、インストールすると起動すべきか否かで躊躇。……なんか迷っているうちに発売されてしまう気がしてきました。

 ともあれ迷いを踏み越えてプレー。始まって早々に主人公の半裸CGが映されるのは「('A`)ウボァー」と出鼻を挫かれた心持ちだったものの、以降は彼の心底空気読めない描写に和みました。集合無意識から切り離されているんじゃないかしら、この人。「ぶらつけてない」管理人や「ぱんつはいてない」妹、「こんなに可愛い子が女のはずないだろ」少女と、にしー絵の妙味を繰り出すつつも最初30分は波風のないまったりした展開。イグニスが登場してきたあたりからは徐々に盛り上がってきますね。そして終了間際のバトル、シチュエーションの組み立て方が面白く、なかなか惹き込まれました。

 だいたい1時間くらいでプレーできるので手軽だったけれど、背景となる世界の設定とか、目指すべき目標とか、ストーリーの根幹を成す部分がわからないまま終わってしまったのは若干物足りない。「世界を救う」みたいな大上段に構えた話じゃないことは察せられますが。とはいえ続きが気になるし、主人公の特殊なキャラクターにも馴染めそうなので、購入意欲は高めにキープされた次第。同日発売予定の『あやかしびと』も「神沢学園新聞」が抱腹の出来栄えで多いに期待が増したとこだし、こりゃ両方に突っ込むしかないかな……。

LIBIDO『花々の想ひ…。』、体験版配布開始。で、プレー。

 やっべ、普通におもしれ。

 ブランド最終作ということで注目を浴びている本作。今でこそLIBIDOを知らない人も多いかもしれないけれど、数年前までは「誰もが一度はここのパッケージ絵に惹かれて買ってしまう」というパケ買いスタンダードなところでした。結果については言うまでもなく。いえ、地雷とまでは行かないんですが、絵で期待したほどには……ってのがパターンだったわけで。

 当方も最低3本はプレーしたはずですが、記憶がスカスカでほとんど覚えておりません。エロゲーはパッケや売上を参考にして買わない方がいいと短期間で学びました。そんなわけでこの花々〜もリビドーの最後っ屁みたいなもんだろうと、ネタ程度にしか受け取っていなかった経緯。田んぼを継ぐとか継がないとかいう設定もどうかと思いましたし。

 しかし、いざやってみると自分が侮りすぎていたことに気づきました。さすがに2年もあるとまともなシナリオがつくれるのか。主人公の心情描写がきっちりなされ、文章も読みやすく、書き込むべきところを書き込んでサッと流すべきところはサッと流す、予想よりも良質なテキストに驚きました。全体的に古臭い感じがあるところや、話運びの強引なところ、ルートによって主人公の考えがころころ変わるところなど、難点もそれなりに多いことは多い。あと気になったのはBGMの自己主張が強く、いささか耳にうるさかったことか。それでも幼馴染みの彼女が嫉妬するところは一修羅場ゲー好きとして楽しめたし、田んぼ云々も死に設定にはなっていません。

 あくまでシナリオを売りにしたゲームと比べれば見劣りはします。話も広げ方からいって、取り留めのないものになりそうな気配がぷんぷんと漂う。ただ、リビドーのゲームをやって曲がりなりにも「シナリオが面白い」と感じたのはこれが初めてになるので、その差にある種の感銘を覚えているわけです。言わば「ギャップ萌え」。普通に面白いだけなのに、まるでクララが立ったみたいに騒ぎたくなる心境。社長&JOY RIDEがこのゲームを2年間もこつこつほそぼそとつくってきた様を想像すると、勝手にドラマを幻視してしまう。

 純粋に時期がまずい(上に書いた塵骸やあやかしびととかぶる)ので購入は見送りますが、発売後の評判は熱を入れて注視しようかな、ぐらいには気持ちがグラついてきましたね。


2005-05-19.

・今日は健康診断がございました。採血なんてものは物心ついてこのかた耳たぶに針突かれた程度の経験しかなく、初めて静脈に注射器刺されるとあってドキドキ。「・──痛みは耐えられる」と内心で概念宣言してみたり、これが本当の「血抜ーク」だな、とサムいギャグで気を紛らわしたりしながらどうにか凌いだ次第です。

・富士ミスって基本的に殺人禁止だったとは。禁止令が出てたのって壱乗寺かるただけじゃなかったんだ。『さよならトロイメライ』の最新刊を読むと、LOVE寄せ(恋愛面を強化する、の意の富士ミス用語)が利いてなかなかイイ塩梅になっていたし、これはこれで可だと思います。発禁状態になってしまった1巻初稿は少し読みたいけれど。

「嘘900」にケロQ新作の情報が。

 『陰と影 〜那月島鬼談〜』、二つ影双厳の名前が出ているところからして『二重影』関連作……というより、リメイクかな? 『二重影』は好きですから、詳細を待って購入検討する所存。

・実は明日でサイト2周年。という事実をスコーンと忘れていて同時期開設の「ジンガイマキョウ」見て思い出した罠。犬江さん、おめでとうございます。

 これを機にサイトのデザインでも変えようかと思いましたが、やっぱり面倒なのでやめました。今後も糞シンプルに行かせてもらいます。


2005-05-17.

・ぼけーっ、と本棚の『デスノート』を眺めているうち、「DEATHNOTE」という英字の「A」と「T」だけ転倒したデザインになっていることに気づいたり。初めて知った。しかも最初の「E」だけ「ヨ」と逆向きになってますし……こういうの、見ているつもりで全然気づかないもんですにゃー。単に自分の注意力が弱いだけの話ともいう。そんな焼津です、こんばんは。

『ゆのはな』も月末までには終わるだろうと見込んでそろそろ通販に頼むソフトを選びに入りました。予定で宣言した『プリンセスうぃっちぃず』はマスターアップ済ですから鉄板として、あと一つ、『魂響』が気になっています。体験版、CMムービーとなかなか良さげな感触も得ましたが、不安材料もそこそこ。なので一旦見送ることに。

 で、代わりに『School Days』を注文。

 巷の評判に心疼き、誘惑抗しがたく。やはり修羅場スキーには避けて通れぬ道か……。

・それにしてもPS3、横置きしてるの見ると本当にDUO-Rを思い起こすなぁ。懐かしい。なんか居心地の悪さが混ざったあんまり嬉しくない懐かしさだけど。ときメモとスペースハリヤーとTHE功夫くらいしかやり込んでなかったような、切ない記憶。


2005-05-15.

・ジャイ子・ツェペリ!

 何の脈絡もないダジャレを飛ばして掴んでみる焼津です、こんばんは。

『群青の空を越えて』速報ページ

 速報ながらやっとページができた模様。「関東 対 関西」という『東海道戦争』みたいな内戦を背景にした青春戦闘機ADVだとか。

第5回本格ミステリ大賞決定

 小説部門、評論部門ともに順当な決着。順当すぎて物足りない気もしますけど、ともあれ小説部門では90年代初めを代表した錚々たる新本格の作家が候補に揃って楽しかったです、はい。

・川上稔の『終わりのクロニクル4(上・下)』読了。

「Tes.、IAIがスポンサーとなっているドラマ "三年B組金星人" の本日のハイライトです。宇宙学級崩壊を宇宙教師の主人公が宇宙説教で宇宙解決するそうで。必殺光線を直撃させずに甘殺しさせるのが教師の温情だとか」
「へえ、つまり、流行のトレンディドラマってやつ?」

 一向に留まることを知らぬ川上テキストのセンス・オブ・ワンダーな奔流には痺れました。スタンガンを押し付けられているくらいのビリビリ度。おもろイカれ具合の凄まじさにはある種の執念を感じる。噛み合っているようで噛み合っておらず、すれ違っているようでガッチリ嵌まっている会話の数々はあまりのディファレンスさに止め処なく脳神経を麻痺させること請け合い。これぞ致死級の視覚毒か。

 オートマタ&巨大ロボの饗宴といった塩梅の前巻に対し、今回のメインは戦闘機バトル。機竜と呼ばれる自立兵器が激しい空中戦を繰り広げ、名もなき兵士たちの活躍さえもが熱く胸を打つスペクタクル……になるのは後半つまり下巻に差し掛かってからで、物語の助走に当たる上巻は笑気と狂気の限界に挑戦したハイ・クオリティな遣り取りに多くの部分が割かれています。夢枕獏を彷彿とさせる、簡潔で断言調の短文はクセが強く、また書き殴っているかのような荒さもあるが、このゴリゴリと力押しな感覚が次第にハマってくる。一度適応してしまえばこのセンスは麻薬。上巻だけでも500ページに渡る阿片窟、もはや脱出することも叶わず堪能しました。

 焦点の当たったメインキャラのみならず脇キャラまでもが濃厚な魅力を放つあたりはシリーズとしての強みでしょうね。2巻でメインだった鹿島も今回2巻以上に美味しい場面があったり。新キャラの“悪臭”オドーはくどい喋りが某キャラを連想するものの、爺さんキャラの中でキラリと独自の光を発する存在感に溢れている。それにしても終わクロ、イイ味出してるジジイが多すぎるくらいに多いなぁ。例の四吉も独走状態で目立っていたというか、今回彼の発言が一番腹にキました。繰り返し読み直すだに笑える。

 良くも悪くもこんだけ絶妙な手際で好き勝手にやってる作家もそうはいないだろうな、と改めて実感させられる一作でした。続く5巻は(上)が6月、(下)が7月とのことで、いやはや今から楽しみで仕方ない。


2005-05-13.

『魂響』のCMムービー(特に冒頭)に心躍らせ、『塵骸魔京』の主題歌に空耳して抱腹する焼津です、こんばんは。ふと気が付けばこの二つばかりを延々リピートしていたり。怖ろしい。

PULLTOPの『ゆのはな』、プレー中。

 ヘンリー三世はジョルジュ・ペロー(@『ペロー・ザ・キャット全仕事』)みたいなサイボーグ憑依猫じゃないかという気がしてきた昨今。それはともかくまだ終わらぬ仕儀。とりあえず、今後の感想はコンプしてからまとめて書くとします。月末には間に合うかな。

・御影瑛路の『僕らはどこにも開かない』読了。

 ピーガガ先輩に惚れた。

 先月の『絶望系 閉じられた世界』の「実験作」に引き続き、今度は「問題作」と銘打たれた一冊。新人のデビュー作で、第11回電撃小説大賞の最終候補作。イラストが付かないということでちょっと話題になっていたり。タイトルも構成パーツも谷川流の『閉じられた世界』と似ていますが、結果として出来上がっているモノは全然違います。谷川のアレよりは、うえお久光の『ストレイキャット』のノリに近い。寸足らずポニーテールの少女・美紀が語る魔法云々のあたりとか。

 「この作品は電撃文庫から出すことができるんですか?」と書き出すあとがきの通り、割と刺激のある内容になっているため明るく楽しく読むことは無理っぽいですが、かと言って絶望と衝動が入り混じったグチャグチャドロドロのケイオティックな作品かと思えばさにあらず、意外に鬱な部分は少なく整った仕上がりになっています。馳星周をだいぶマイルドにした感じといいますか、僅かに暗黒色がある程度の青春小説。壊れてないんですよね、良くも悪くも。多数かどうかはともかくとして、「読後感が爽やか」と述べる人が出てきても納得がいく。新人らしい荒さは目につくものの、読み手を最後まで引っ張ろうとする意気が濃くて好ましい。

 ジャンルとしてはミステリか。人死にが出て、破滅に向かうようなサスペンスがあって、大団円がある。出てくるキャラが揃いも揃って終始肚の探り合いをしているため映像的な描写よりも心理描写や分析描写に比重が傾いており、最近作で喩えると『デスノート』に似た興味が配されています。しかし既存のミステリ(特に本格)における作法を軽視し、「どうでもいい」と言わんばかりに推理をうっちゃり力技に走る部分は既存の作家を持ち出せばやや浦賀和宏っぽい? バランスが優れている反面、少し新鮮味に欠くきらいはある。

 着手する前は期待と不安が半々だったけど、いざ読み終えてみるとアタリでした。変な自己主張も少なく、持てる道具をいろいろブチ込んだ模範的なエンターテインメント作品だと思います。ただ、模範的な分だけに、もっと尖った作風を求めていた人には物足りないかも。とりあえず、今年では初めての「これからに注目したい新人」が出てきて喜ばしい次第です。


2005-05-11.

・今日はぶらりと書店に寄って電撃の新刊を購入。『七姫物語 第三章』と『ウィザーズ・ブレイン5(上)』の実在を目視するに至っては万感の嬉笑を禁じえない。第四章と5(下)は、どうか遠からん日の刊行を希う。

 新人ふたりに関してはいまいち決めかねていましたが、冒頭を読んでみて「これは恐らく当方好みだ」と直感した『僕らにどこにも開かない』だけ試しに購入。吉と出るか凶と出るか。

三島由紀夫賞・山本周五郎賞:候補作を発表「モノグラフ」経由)

 読んでるのは「悪意の手記」と『チルドレン』だけなので予想も何もないですが、両方好きな作品だから来てくれると嬉しいなぁ、と願望を綴ってみる。

PULLTOPの『ゆのはな』、わかば狙いでプレー中。

 「鉄の淫魔を叩いてくだく。アタシがやらねば誰がやる」とか、「百億の昼と千億の夜」とか、相変わらず小ネタが多いなぁ。

 そして時間が掛かるのも相変わらずって寸法。共通イベントもそれなりにありますが、やはり個別イベントが膨大なので……穂波ルートではお情け程度に出ていた文中選択肢もわかばルートでは全然見かけないし、ひょっとして分岐関連に割く労力を全部本編に注ぎ込んだってことなんだろうか。マップ移動形式になっているとはいえ、分岐点らしい分岐点もなく、ほとんど一本道に近い構成。ある意味とてもシンプルに直球勝負をかましてきています、このゲーム。

 で、ヒロインのわかば。ゆのはに次いで早く登場する分、結構重要な位置付けかと思っていましたが、いざ本編が始まってみると実は脇役っぽい役どころ。主人公が寝泊りする先となる銭湯の娘さんということで、異性の裸に慣れていたりマイペースだったり、メインストリームからややズレた造型をしている。なんというか、具体的な「属性」がないんです。ロリで生意気で守銭奴で神様のゆのは、人見知りするが根は悪戯性の穂波、暴走超特急で妄想街道まっしぐらの由真、気さくな年上の椿といった他の面々に比べて目立った個性が見当たらない。強いて言えば「ほわほわした天然」か。そのため初見のインパクトが小さく、「萌え」に頼った展開は難しいと先行きが危惧された次第。

 しかし、「萌え」とは言わば飛び道具。あれば役に立ちますが、なくても勝負は成立します。属性らしい属性がせいぜい「天然」くらいのわかばを、ごく正統的な道筋で恋愛シナリオに乗せていく手際は正に至近戦を仕掛けるインファイターの如く。時に退屈と取られがちな「まったり感」も巧く活かして捌いている。わかばが好きで様々な計略を巡らし主人公を引き剥がそうとする由真が、浅慮のためにあえなく計略を失敗させるばかりかふたりの仲の進展を加速させてしまい、「恋のライバル」どころか「恋のキューピッド」と化す流れもシナリオに緩急を形成し、かつ微笑ましい。さすがに彼女のひとり芝居が何度も繰り返されるあたりはちょっとマンネリズムを感じましたが、ささやかな変化もあって楽しいことは確か。強烈な存在感ゆえ出オチの風格を漂わす彼女もできれば攻略したいなぁ……と、おまけの回想モードに「由真」の欄が存在しないという事実に目を瞑って夢見る当方は宇宙に眠る。


2005-05-09.

・「ぬぅ、しょうがない喃、仁はぁ……」と虎眼口調の里伽子はイヤだ。こんばんは、思いつきだけで書き出して悔やむ焼津です。

PULLTOPの『ゆのはな』、穂波エンド到達。

 エロシーンの最中に集中力が切れて「コリア様がみてる」とか「ドドリア様がみてる」とか「ベリア様がみてる」とか「ユリア様がみてる」とかマリみて改変ネタをぐぐったりもしましたが、やっと一周しました。

 長かった。洒落っ気なしに長かった……日記では一週間前に感想を書いたきりでしたが、裏でチマチマと進めていたのに、それでもようやくひとキャラ終わらせたところ。しっかり声聞いてプレーしていたら、軽く10時間は仏っ契りました。正味な話、『SEVEN BRIDGE』をコンプリートするよりも『ゆのはな』を一周する方が時間かかった次第。なにこのボリューム。通常版は安かったから、てっきりもっとコンパクトな仕上がりだと思い込んでいたのに。侮れん喃、PULLTOPは。

 大半は日常シーンに占められており、相対的にシリアス展開の部分は少なくなってますが、それは一種の錯覚みたいなものでシナリオの流れは割合キチンとしております。ネタを振り、伏線を引き、話を進ませてそれらを回収する。至って当たり前の仕事をちゃんとこなした模範的な内容です。予想外に多かった日常シーンについても一つ一つがスキップせず読むに足る出来だったので満足。クライマックスに差し掛かってからもなかなか盛り上がるし。BGMの効果も重なって、ちょっとじーんと来たり。バカで考えなしだけど熱く突き進む主人公の行動に感化されて穂波が強く変化していくあたりはプチ成長物語として麗しい。日常においてなにげなく発していたセリフが繰り返されるたび、違った響きを帯びて聞こえてくるあたりも良き哉。

 時間がなかなかうまく取れなかったせいもあって丁寧なシナリオが長く感じられ、クリアするのに梃子摺るという皮肉はあったけど、面白いから無問題。まだ気力は尽きぬ故、残りのシナリオにも取り掛かり申す。次は……わかばでも狙うか。

・デニス・レヘインの『闇よ、我が手を取りたまえ』読了。

 原題は"Darkness, Take My Hand"なのでほぼ直訳。教会の鐘楼に事務所を構える私立探偵コンビ、パトリック&アンジー・シリーズの第2弾。分量だけでも前作を上回っているが、中身もしっかり増強されています。

 過度の痛みを与え、嬲り、死に至らしめてなおも尊厳を穢すべく損壊と装飾を施す連続殺人鬼──まだ若い知人を殺されてショックを受けるパトリックは、やがてこの事件が20年前の過去と関連していることに気づき、封じたはずの記憶から縛めを解く。頭のイカれたマフィア、もっとイカれたサイコキラー、彼らに取り巻かれるうち、パトリックは依頼された探偵としてではなく、自分自身が事件の当事者であることを見抜いた……。

 交錯する現在と過去の事件。徐々に謎のときほぐされていく過程と、正体不明の殺人鬼に追い詰められるサスペンスとが相乗して物語を加速させていく。洒落た文体はそのままに、より一層の盛り上がりを見せてくれます。前作で「いいな」と惹かれて読み出した当方も序盤からあっさり魅了されました。今回は第三者的な立場から当事者に移ったせいで主人公の関与度が段違いになり、物語にも没入しやすくなっている。上質なスリラー。ただ、ノワール色が濃くなったせいか俗悪な味わいも増していて、ハードボイルドとノワールの峡間でストイックに徹した前作のラストシーンにおける鮮烈さと比べると少し物足らないところもあった。作品の出来不出来というより、好みの問題かもしれません。あと、際立った個性の持ち主(年中トレンチコートをまとい、地雷原の中の兵器庫に住む性格異常者)であるブッバ・ゴロウスキーの出番が割と多かったことは個人的に嬉しかったです。

 久々に気に入った海外小説のシリーズなので、残りの既刊もどんどん読んでいこうかと思います。読み切ったら派生的に他の海外作家へ移ってみようかな。


2005-05-07.

・思いっ切りデストピアな悪夢を見て早朝に目を覚ました焼津です、こんばんは。メイドロボットの代わりに処刑ロボットが一家に一台ある時代は訪れなくていい。

『DUEL SAVIOR JUSTICE』、7月22日発売予定

 「そのうち完全版が出る」という噂は無印が発売する前からあったけど、本当に出るんだ……ハーレムはともかく「前作で描ききれなかった真のエンディング」が少し気になるところ。追加データのみのディスクも同時発売だけど、いっそのこと廉価版を待とうかな。にしてもトップ絵が微怖い。

・主人公(♂)自身がブルマーを穿いてJOJOポーズを取る驚異的なデモに釣られて『あやつりブルマー』の体験版をプレー。

 おお、なにげにクオリティの高いバカゲーだ。木彫りの観音像を細工して「ブルマー観音」をつくり、神棚に祀って二拍一礼するほどブルマー好きな体育教師が主人公。彼に負けず劣らずブルマーが好きな新校長が学園に赴任するなり「女子は体育の時間にブルマーを着用」という校則を設立。更には保健教諭までがブルマー好きで、彼女は主人公に呪われた「あやつりブルマー」を贈り……と実にアホ臭い導入。簡潔なテキストと分かりやすい演出でキレ良く笑わせてくれる。「マスターブルマー」と「スレーブブルマー」、「ブルエナジー」など、用語も微妙なテキトーさが心地良かった。

 「あやつりブルマーを使うと、あやつり時空──時間が止まった異空間に移動して相手の子に好き勝手なことができる。なお、あやつり時空での出来事は主人公しか記憶が残らない」という中学生のエロ妄想を忠実に再現したかのようなシチュエーションも普通に美味しいです。ぶっちゃけブルマーにはあまり興味がない短パンorスパッツ派な当方ですが、それでもやってみると案外楽しかった。バカゲーは作り手だけが盛り上がってもプレーヤーが付いていけないし、かと言って照れが入ってしまうとやる方も冷めてしまうし、バランスの取り方が難しいと思います。本作に関してはそのへんの感覚をきっちり押さえているあたりが好印象でしたね。

・ゆるりと『名探偵 木更津悠也』を読了。

 「白幽霊」「禁区」「交換殺人」「時間外返却」の四編を収録。かっちりした本格でありつつも常道から外れたノリ、読み込むほどに深まる仕掛け。この味わいが麻耶雄嵩。やりたい放題にやってた『メルカトルと美袋のための殺人』と比較すれば一見地味に映るものの、これはこれで伏線の利かせ方が巧く、ニヤニヤできる小憎らしい出来。『翼ある闇』ではとても愉快なお人と化していた木更津さんも別人のように凛々しい。「交換殺人」ラストのキメ台詞とか、若干ズレてるところもまた微笑ましい。

 特に面白かったのは、やはり「禁区」。少し強引なところもあったけれど、ロジック展開が独特で魅せられる。次いで「交換殺人」。これは『21世紀本格』で既に読んでいましたが、再読するとますます感心させられる内容。「酔った勢いで交換殺人の約束をしてしまい、目が覚めた翌日に後悔して約束を取り消そうと思ったが、新聞を見ると自分が殺すことになっていた相手が既に別の誰かに殺されていて……」といった経緯を話し、「犯人を突き止めて私がやったのではないことを証明し、交換殺人が成立しないようにしてくれ」と木更津に依頼する男。もし木更津が殺人犯を探し出せなかったら、男の妻が交換殺人の標的として本当に殺されてしまうかもしれない。サスペンスならまだしも、本格ではいまいち使い辛いガジェットである「交換殺人」を逆手に取って二転三転するストーリーは見物です。


2005-05-05.

・黄金週間はいい。黄金炒飯を頼む。「連休ってそれ、美味しいの?」だった焼津です、こんばんは。休日出勤云々の恨み言は置くとして、火力のあるコンロでつくったチャーハンが食べたいです先生。

・体験版崩し。今日は意気揚々と『魂響』に取り掛かりました。なんか似た名前のソフトがこの間発売された記憶もありますが、気のせいということにします。

 霊力云々、といった伝奇テイストの異能アクション。演出効果が利いていることもあり、戦闘シーンは思ったよりも熱かった。正直言って設定面、化外の者どもを討伐する「霊狩人」だの持ち手の特性に合わせて変化する金属「アマルガム」だのといった部分にはあまり興味をそそられなかったけれど、クドくなるギリギリの線で踏み止まっているテキストはなかなか見映えがイイ。巧いとは言い切れないにせよ、読んでいてそこはかとなく心地良いリズムを覚えます。とはいえ、それはアクション部分に関してのみで、日常のコメディとかはちょっと難を感じたり。

 主人公の状況は右手に実妹、左手に義妹とまさしく「両手に花」。ヒロイン二名がタッグを組んで「鬼」相手にバトる展開は美味しいです。そして、ラストで一発腹にくる衝撃をお見舞いしたところで体験版は終了。ヤラレました。予想ではもっとヌルいノリになるものと思い込んでいましたが、斜め上を突っ切ってドス黒い。かつグロい。薦める際には注意が必要となりますね、これは……。

 んー、5月・6月は注目作が少ないし、発売後の評判も良ければ行ってみようかな。体験版以降の展開が、「話の流れがどう変化していくのか」という点において気になります。あのままじゃどう考えても同じノリに復帰することはできなさそうですし。

 ちなみに、当方が一番好きなシーンは「かかった」のところ。

・舞城王太郎の『九十九十九』を読了しましたが、ホント、暴走しまくり。筋立ての上では完全に原作を無視している。そのくせもっと根源的な部分、ミステリへの破戒精神に関しては密接に絡み合う要素がある。おかげで流水作品をトリビュートしているのかスポイルしているのかさっぱり分からなかった。そして何より、この作品の熱気はそんなことが分からなくてもまったく問題にならないほど凄い。

 「こじつけ」の域すら越えた偏執的情熱で『創世記』と『黙示録』の「見立て」を大量に盛り込み、無理矢理としか言いようのない手際で「神話」を創り上げていく力業。繰り返される生と死と再生と再死のイメージ、母の胎内より生まれ出て人を愛し人に愛され人を殺し人に殺されもう一度母から生まれ直しまた死んで死んで死に生き返る執拗で濃密なサイクルが主人公を「千の顔を持つ英雄」に仕立て上げる。サイクルは主人公の生死のみならず、物語全体にまで及ぶ始末。一つの話が別の話に取り込まれ入れ子構造になっていく点だけでも充分にメタ・フィクションの体裁を保っているが、更には掲載順をシャッフルし、「第三話」の次にいきなり「第五話」が来てその後「第四話」に戻るなんて混乱まで用意している。流れを断絶して一度物語を殺した挙げ句、ラザロのように蘇生させる。条理を振り切り突き進むストーリーはもはやそれ自体がリビング・デッドでありノー・ライフ・キングでありグラン・ギニョールであり、デウス・エクス・マキナというよりもデス・エクス・マキナ。

 単純なインパクトで言えば“カーニバル”連作より劣る(あくまでインパクトのみ)ものの、舞城に惚れ直すほど面白かったです。小ネタの数々にも単純に笑わされた。これのおかげでJDCシリーズ、ひいては「流水大説」に関する後悔と苦痛と汚辱にまみれた読書体験もようやく救われた思いが……。

・西尾維新の『ネコソギラジカル(中)』は6月刊行予定との噂。この分だと下巻は10月あたりか。にしても、新刊案内を見るに、6月は欲しい本が山ほどあります。下手すると50冊くらい。いくらなんでも、せめて半分には絞らないと。


2005-05-02.

・ここ最近、リファーで『School Days』の「おっぱい修正プログラム」に関する検索がやたら多いんですが……そんなにも世界は貧乳を求めているというのか。こんばんは、近所のゲーム屋を覗いたら『School Days』が売り切れててガッカリの焼津です。

PULLTOPの『ゆのはな』、プレー中。

 椿さんの立ち絵がどうしても某おフランス人プロデュースの驚愕ポーズ、通称「シェー」に見えて仕方ないんですが仕様なのか。

 労働場所を「白摘茶房」に絞り、穂波を攻略対象としてロックオン。人見知りのする物静かな少女、語尾は「です」「のです」。学園モノでいうところの後輩タイプ。霊感体質もあり、主人公がリビング・デッドであることを看破して興味本位からかストーキングを仕掛けてくる。しかしそうした「生者と死者」の差を活かしたドタバタな展開は差し当たってなく、基本的に喫茶店でバイトして帰って朝起きてまたバイトに行って……とごく日常にありふれたシーンの繰り返しで割とまったりしています。でもキレの良い丸谷テキストのおかげでダルくはないですね。

 テキスト以外の要素としても、神様のくせしてロリキャラで生意気なくせして丁寧語という微妙にズレた造型のメインヒロイン・ゆのはが、「商店街を舞台にしたまったりコメディ」である本作においてイイ感じなスパイスになっている。彼女が適度に場面場面を掻き回してくれるおかげで波ができ、眠気を催されない。まったりしていてもまったりしすぎないバランス感覚はオツ。主人公の分かりやすいオバカ加減もちょうどいい救いだ。

 あと、地味なところで良い部分を挙げるとすれば、「ゆのはな商店街」というやや狭い舞台をしっかり空間として意識したうえで物語を紡いでいる点。○○の対面は××、□□から△△へは遠い/近いなど、図を見れば一目瞭然でわざわざ説明するまでもないことを、シナリオ本編にも小分けしてさりげなく織り込んでおくことで感覚として理解させてくれる。おかげで話が進んでいくと脳内にマップが築かれて主人公たちの動きを空間的に把握できるようになってきました。ある店の二階に上ったりするイベントもあって、空間としてのゆのはな商店街に「高さ」という要素まで感じられたのは面白かったですね。

・5月の予定……にしても時が経つのは早いなぁ。

(本)

 『ウィザーズ・ブレイン5(上)』/三枝零一(メディアワークス)
 『七姫物語 第三章』/高野和(メディアワークス)
 『さよならトロイメライ4』/壱乗寺かるた(富士見書房)
 『煉獄のエスクード RAINY DAY & DAY』/貴子潤一郎(富士見書房)
 『銃姫4』/高殿円(メディアファクトリー)
 『よくわかる現代魔法−たったひとつじゃない冴えたやり方−』/桜坂洋(集英社)
 『タフの方舟2』/ジョージ・R・R・マーティン(早川書房)
 『海を見る人』/小林泰三(早川書房)
 『ハツカネズミの時間(1)』/冬目景(講談社)
 『苺ましまろ(4)』/ばらスィー(メディアワークス)

 10冊。当方としては多くもなく少なくもなく。ウィズブレは久々の新刊。ただ、下巻の予定はまだ決まっていないようなのが不安。七姫も久々。これは次の巻がいつになるんだか常時不安です。トロイメライはそこそこ人気を得ながらもブレイクする兆しのないシリーズ。内容も試行錯誤を重ねている感がある。煉エスは貴子らしくない雰囲気に戸惑うものの、彼の腕を信用しようかと。銃姫……そろそろ既巻読まなきゃ。よくわかる〜はいつの間にかデフォ買いとなりつつある桜坂洋の新刊。6月にもJAから1冊出るらしく。タフの方舟はこれで完結。先月買った1巻ごといただきます。海見人、当方が好きな「ヤスミ」のひとり小林泰三の短編集。ちなみにもうひとりは津原泰水です。ハツカネズミは……ええと、これで「継続中」のシリーズはいくつになりましたか?とツッコミたいものの、作者が好きなので買い。そして苺ましまろ、お前はもう延期しないでほしい……。

(ゲーム)

 『プリンセスうぃっちぃず』(ぱじゃまソフト)

 これだけ。発売予定一覧を眺めても、あまり食指の動くものがない。だからお前も延期しないでほしい……。


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