2005年4月分


・本
 『スコッチに涙を託して』/デニス・レヘイン(角川書店)
 『魔法少女猫×(1・2)』/おりもとみまな(角川書店)
 『シリアスレイジ』/白川敏行(メディアワークス)
 『とある魔術の禁書目録5』/鎌池和馬(メディアワークス)
 『絶望系 閉じられた世界』/谷川流(メディアワークス)
 『チェンジング・ナウ(1・2)』/UMA(講談社)
 『マリオガン(1)』/木葉功一(小学館)
 『川の深さは』/福井晴敏(講談社)

・ゲーム
 『パルフェ』(戯画)
 『STEEL』体験版(Graviton)


2005-04-30.

『School Days』、ひょっとすると一般ウケを狙って修羅場シーンがヌルくなってるんじゃないか……とか心配していましたが、評判を信用するならばむしろこちらの期待すら上回っていることを否定できず震える焼津です、こんばんは。どうやら当方はOverflowを見くびっていたらしい。

PULLTOPの『ゆのはな』、プレー開始。

 もう発売から一ヶ月以上経ってしまった。が、気にせず崩しに掛かりました。PULLTOPのゲームは特価品で買った『とらかぷっ!』を積んでいて、『夏少女』『お願いお星さま』は体験版しかやっていないから、まともに製品版をプレーするのはこれが初めて。ライターが「丸谷秀人」と「J・さいろー」の二大タッグ、原画は藤原々々と、いかにも「勝ちに来た」面子なんで体験版をやらずとも不安なく製品を購入することができた次第。軽快な丸谷テキストは『奥さまは巫女?R』で保証済みでもありますし。

 ジャンル名に関しては細かい決め事がなく「付けたもん勝ち」というアバウトで無法地帯な空気が流れるこの業界ですが、『ゆのはな』は「賽銭おねだりAVG」。生々しい一方でどこか新しい「萌え」の予感を奮い立たせます。バイク事故で放っておけば死ぬくらいの重傷を負った主人公が、土地神「ゆのは姫」の力で甦るところから物語は始まる。あっさり奇跡の恩恵を得た主人公は素直に感激するが、ゆのは姫は力を使った代償として賽銭を要求。提示された金額は20万円。「奉納せよ、さもなくばバラバラ」。選ぶ余地のない二択。別に天文学的でもなし、個人にも実現可能なスケールであるにせよ、貧乏学生には辛いというのが現実だった。成り行きから仕方なく、ゆのは姫を祀るゆのはな町で仕事の口を探すことになったが……。

 現在2時間ちょい。主要キャラの紹介がだいたい終わった頃合か。ゆのはの声はやたらキンキンしているせいで最初は耳が痛かったけど、もうだいぶ慣れてきた。わかばの微妙なボイスも「持ち味」と納得できるようになってきたし。基本的にはドタバタ調のコメディなんですが、主人公がイイ意味でバカ、ひねくれたところがなく単純明快にバカなので好感が持ててスッキリ笑えます。特にゆのはとの遣り取り、掛け合いは息が合っていて見事。守銭奴な神様と浅慮なお人好しって組み合わせは美味しいなァ。霊感少女が出てきたり、戦艦オタの電器屋が聞き取れないくらいの早口で熱く語ったりと、今後も楽しくなりそうな気配がいっぱいだ。

 主人公の所持金がRPGやSLGみたくキチンと記帳されている演出にも小ウケ。別に込み入ったシステムを導入して金稼ぎをさせるわけでもなかろうに、芸が細かい。今のところ決まった職に就く兆しはなく、あっちこっちの店で半端仕事を請け負う展開になりそうです。寂れた町の商店街で。なんかトレヴェニアンの『ワイオミングの惨劇』を思い出したり。あれは「半端仕事を掛け持っているだけの奴はどんなに頑張っても、軽んじられる」というドライな見方をしていましたが、こっちはもう少し明るい展望が欲しいかな。滞在期間が一ヶ月の短さとはいえ。

 それにしても「流れよ我が涙」とか「顎十朗」とか「天国まで3マイル」とか、気づいただけでも結構小説関連の小ネタが多く、カッチュー(活字中毒者)を敏感に反応させそう。というか既に反応し放題の敏感侍もここにひとり。

6月に『シグルイ』の新刊か……待ち遠しい喃。


2005-04-28.

・えも言われぬ香気を放つ『水仙花』にふらふらと誘われつつある焼津です、こんばんは。ジャンル名は「退廃耽美異常性愛満喫エロ汁まみれ館モノAVG 」、修飾多すぎ。広告画像も、これとかこれとか、層を限定しすぎ。キャラにしても「隻眼麗奴」だの「黒蝿」だの。ついつい突撃したくなるが、果たして思い留まれるかどうか。

Key新作『智代アフター』

 本当に今年中に出るものだろうか。続編的位置付けのソフト群、『Fate/hollow ataraxia』『機神飛翔デモンベイン』『マブラヴ オルタネイティヴ』に混じってチキンレースを繰り広げそうな予感。

・福井晴敏の『川の深さは』読みました。「好きな作家」と言いつつまだ読んでなかったんです、これ。実のところ『終戦のローレライ』も未だ……「広く浅く」といった感じで読み漁っているせいか、好きな作家の本も結構積んでいる仕儀。

 第43回江戸川乱歩賞受賞の座を懸けて野沢尚の『破線のマリス』と争い、敗れた本作はオウム真理教の事件をモチーフにした冒険小説。野沢尚も『破線のマリス』で受賞する前年にオウム真理教を彷彿とさせる内容の『魔笛』で乱歩賞の最終候補になっている経緯を考えると少し面白い。目の当たりにした警察の実態につくづく失望した警視庁捜査四課、通称「マル暴」の刑事・桃山は組織から身を引き、家族とも離れていった。ビルの警備員としてただ食い繋ぎただ生きるために費やす日々。メディアを騒がす地下鉄爆破事件──終末思想にかぶれた新興宗教のテロルに「果たしてこれほど大掛かりな事件を警察が未然に防げなかったのか」と疑問を抱くが、俺には関係ない、と無視を決め込んだ。そんな彼も、ヤクザに追い回されビルの一室に身を潜めていた満身創痍の少年と出会ったことをきっかけとして、暗く深い川の中へと身を沈めることになり……。

 例によって例のごとく安全の意義と真偽を問いかけ読み手の危機意識に訴える国防サスペンス・テイストの冒険スリラー。やる気を失って怠惰な生活に堕した主人公が、熱い魂を呼び起こされて果敢に「川」へ飛び込んでいく展開は爽快感があり、エンターテインメントとしては申し分ない。キャラの造型やストーリーの背骨となる陰謀劇がいささか荒唐無稽なため、ハリウッド映画よりもむしろコミックやアニメを連想させるが、そうした「コミック的、アニメ的」な要素を風味の損なわぬまま一般文芸の俎上へ持っていく手腕は大したもんです。福井晴敏は誰が読んでも青臭いと感じる作風だけど、その青臭さが持ち味としてちゃんと活きています。改行を乱発せずみっちりと書き込んだ文章はところどころに作者の情念を垣間見せ、人によっては辟易しかねないものの、読み応えがあることは確か。

 タイトルはこれまでの福井作品の中では一番好きです。あまり本筋とは関係のないエピソードをここぞという場面で何度も絡ませ、遂には作品全体の象徴へと仕立て上げる常套的な技でありながら、「これより他にない」と思わせるほど締まった決定打になっている。深くなれば深くなるほど身動きの利かなくなる川を突き進んでいくには相応の意志が必要となることを暗黙のうちに感じさせられます。男性キャラに比べて女性キャラの存在感が弱いことや、ド派手なアクションシーンが微妙に浮いていることなど、ちょっと不満もありましたが、処女長篇でこの域まで達していたという事実には瞠目するばかり。

 ひとまず福井汁はたっぷり補給できたので、ローレライはもうちょっと積んでおこうと思います。彼の作品は立て続けに読むといろんな意味でおなかいっぱいになりますから……。


2005-04-26.

・せっかくだから、当方はここの『STEEL』を注文するぜ!

 唇に微笑、心に越前。レビューサイトと2chの関連スレを見て回った末に決断しました。もはや迷いはなく、通販が届くのを待つばかりです。

『ゆのはな』を始める前に溜まっている体験版を消化しよう、とHDDの肥やしになりかけていたエロゲー体験版に着手。いくつかザーッと流してみました。

 そのうちの一つ、『あの空の向こう側』にはすげぇコテコテの図書委員長が出てきたのでビックリ。眼鏡+デコ+三つ編みの容姿、そしてキツイ性格でやたら主人公に食ってかかる。OHP等に紹介がないことを考えるとサブキャラのようだけど、これはこれでコアな需要があったんじゃないだろうか。ちなみに当方は同じデコキャラの市井まどかに胸キュンでした。このイベントCGの表情には「素直じゃなさ」が滲み出ていて思わずゴクリ。

・スタッフにみずきほたると基4%、声優に一色ヒカルや北都南と、プロも混じっている同人ゲー『灯穂奇譚』も割と良かったです。テキストは正直アレなところもあって褒めにくいんですが、当方自身は『STEEL』やりまくって文章を読む神経が麻痺していたのか「アレだなぁ」と思いながらも大して気にならんかったり。外界から孤絶した閉鎖的な村に伝わる因習、夜毎に忍び寄る怪異と、謎解き要素ありの伝奇サスペンスホラーといった雰囲気で、結構ハラハラするシーンもありました。でもキャラは微妙かも。全国の方言が混ざっているというカナタの設定、語尾にしか反映されていなくて中途半端。ド近眼ってのも途中で忘れてしまいましたし。ただ、野犬や熊とリアルにステゴロかましかねない頑強さには惚れますが。ここ最近伝奇モノには飢えているので、機会があれば本編もやってみたいかな。差し当たっては評判待ちの姿勢で。

『塵骸魔京』、やはりにしー絵に(*´Д`)ハァハァ。風のうしろ〜たんのそこはかとないショタっぽさ+むっちり感が内なるギアを破壊します。ゲームそのものは「悪くなさそう」というくらいであまり詳しいことは分かりませんでしたけど、この調子なら行きそうな気配。ただ、発売日が『あやかしびと』とバッティングしかねないことも含め、まだ「確定」とまでは。


2005-04-25.

・古処誠二の『フラグメント』『少年たちの密室』を改題した文庫版とのこと。新作じゃないのか。『少年たちの密室』持っているので購入は取りやめにします。トホー。

古橋秀之×内藤隆「超妹大戦シスマゲドン」(MOON PHASE)

 タイトルのノリがほとんど佐藤ケイだ……。

・「殺伐としたゲームがやりたい」と思って、先々月にスルーした『STEEL』の体験版を『パルフェ』の合間にやっていましたが、ようやく終了しました。

 「燃えゲーに見せかけた鬱ゲー」と名高いこの一本、「長い」とは聞いていたが、本当に体験版の範囲だけでも長い……声なしであるにも関わらず4時間近く掛かりました。それも、「たっぷりプレーできて充実」といった類の長さではなく、「やっと終わった……」と安堵する類のもの。単純ながらシャープな演出とBGMの効果によってサスペンスフルなシーンが冴え渡り、異様に雰囲気を盛り上げてくれる点はプラス。ただ、どうでも良さげな説明が水増し気味になっている点と、挟まれるギャグに温度差を感じる点、CGの表現がテキストの喚起するイメージに追いつかない点はマイナス。仮面ライダーと見紛うばかりに場違いの赤いマフラーを巻いたヒロインは、偉そうな性格と戦闘要素が絡み合って当方のアレな嗜好をいたく刺激する魅力的なキャラクターに仕上がっているが、その魅力さえも多すぎるテキスト量によって有耶無耶にされがち。

 一部では「劣化Fate」なる侮辱的な呼称も与えられてますが、プレーしてみて得た感覚で言えばむしろ『リアライズ』『ARMS』“SCAR/EDGE”を足して割った雰囲気。ただ主人公が「ヘタレ」と切り捨てても構わない惰弱ぶりで、そんな好感の持てない奴が始終ハズしたギャグを飛ばすのは正直不快。更には、ここぞという場面に限って活躍しない。嫌な意味で王道を裏切っています。もはやここまで来るとライターの狙いはエンターテインメントではなく、アンチエンターテインメントの遂行にあるんじゃないかと疑う。タチが悪いのは、まともな視点で見れば欠点・難点尽くめのくせして呼吸の取り方が巧く、プレイヤーがギブアップしそうになったところで「いや、もう少しだけ……」と頑張る気持ちを湧き上がらせる最低限の興味を押さえ込んでいること。おかげで面白いのかどうか、判断が曖昧なままずるずると最後までやってしまいました。

 惜しい。決して悪いところばかりではなく、光るところもあれやこれやと少なくないのに、絞り切れていないせいで悪貨が良貨を駆逐するように目立ちにくくなっています。ピンポイントで惹き付けておきながらその他のポイントで萎えさせる、なんとも微妙な落差が判断を迷わせる。そして迷うあまり情報収集を開始したところ、うっかりネタバレページを見て、オチを知ってしまいました。あー……なるほど、こりゃあ「鬱ゲー」と呼ばれるわけだ、うん。

 と納得してここで終わるはずだったんですが、むしろオチを知ったせいで逆に(*´Д`)ハァハァしてしまい、猛烈に本編をプレーしたくなっている自分がいたり。鬱属性はないけれど、知ってしまった以上はトコトン目撃しとかないと気持ち悪いというか……目撃したらしたで後味悪い思いをするのは分かっているものの。しかし、現実問題、「30時間掛かる」と言われているシナリオに付き合うとなると躊躇の念が湧く。うーむ、どうするべきか。思案どころ。差し当たって殺伐腹は膨れたので明日は『ゆのはな』を開始するとします。


2005-04-22.

 ( ゚д゚)<ジャンジャンジャジャン、ジャンクロード
 ( ゚д゚)<ヴァンヴァンヴァヴァン、ヴァンヴァヴァンダイン

・しばらく口ずさんでいるうちに自分が間違っていることに気づいた焼津です、こんばんは。そして気づいてなおも間違いを修正できないでいる恐るべき事実。一旦誤った覚え方すると抜けなくなるんですよねぇ。未だに『委員長お手をどうぞ』も『委員長お手を拝借』と言っちゃいますし。

同人ゲームサークル「I/CAST」始動

 ここ最近の思わせぶりな言動を元手に薄々察してはいましたが、やはり詳細情報を目の当たりにすると気圧される。シナリオは飛鳥彼方さん。ジャンルは学園アクション+ミステリ。きっとろくでもない途轍もないストーリーが展開されるに違いない、と今から期待してます。

『School Days』、FAQにてひっそりとマスターアップ報告

 てっきり延期すると思っていました。まさか本当に来るとは。最近は大々的に喧伝するのが当たり前みたいな流れがあるせいか、このひっそり加減がそこはかとなく不安。と思っていたら発売前から修正プログラムの公開告知が。「おっぱい修正プログラム」に激しく笑いました。「世界貧乳化パッチ」と書くとまるで全世界の巨乳を修正する規模の大きな魔法みたいに見えてきますな。まさに「虚乳への供物」。

CUFFSのOHP、「Coming Soon...」

 あの『Blow』や『Portrate』、『Coda』のchaffが遂に……と一瞬本気で思った間抜けな当方はさておき、情報自体は前から囁かれていたトノイケダイスケ&☆画野朗の『水月』コンビ新作『さくらむすび』がここから出ます。『Aria』はなかったことにされているのが悲しいですが、一『水月』好きとしてワクワクしながら座布団に正座して待ちます。

『パルフェ』、玲愛トゥルーエンド確認。コンプリート。

 カトレア、まじ、すごい。

 花鳥玲愛、いわゆるゴッデス。彼女には荒ぶる鬼女神「ブチキ玲愛」の称号を与えたい。与えた一秒後に罵られて破棄されたい。

 金髪碧眼ツインテール……「ツンデレ」の響きを知る者ならば胸を高鳴らせずにはいられない容姿を持つヒロインにして期待以上の魅力を放つ彼女の振る舞いは、もはや破壊活動の領域に達している。脳内において「萌え」を認識する部分を徹底蹂躙。この身を「萌えすぎると死ぬ世界」に置いていれば骨まで残さず滅びていたに違いないでしょう。ありがたや、ありがたや。最初に玲愛のノーマルエンドをクリアし、トゥルーに至るまで他のすべてのルートを巡り、それぞれ異なる魅力に触れて『パルフェ』の味を楽しみましたが、やはり収束すべきポイントは彼女に定められていた。当方のパルフェ・ウォークはこの地に始まり、そしてこの地こそが終わりなのだ。

 「素直じゃないゆえの素直さ」、「他人に厳しく自分に厳しくけれど恋愛方面には甘く」。鋼と真綿の如きツンデレ。要素を反芻し、改めて振り返ってみても素晴らしい。2回目の濡れ場であまりにもストレートな献身ぶりに「ここではいったい何が起こっているんだ」と愕然とする主人公に同調したのも束の間、行為後のヤクザキックで更に愕然。面白いからいいんですが、このゲームをCS化するとなると色々ステキなシーンをカットしなきゃいけないことを戯画はちゃんと理解しているのか。移植の事情も知らぬげに18禁ならではの表現をエロシーン以外にも平気で盛り込み、エロシーンそのものも有機的に物語と密着させてしまうライターの神経は多分ぶっとい。

 終わりあたりに『ショコラ』の舞台であるキュリア本店へ訪れるシーンがあり、主人公と玲愛が足を踏み入れた途端、スッと記憶が遡行して1年前の『ショコラ』をやっていた頃に戻ったような柔らかい既視感が湧き上がるとともに、ふたりの存在を『ショコラ』の延長線上にあるものとして捉えられたのは面白かった。それまでメインキャラクターであったはずのカップルが、まるで舞台に姿を現したばかりのニューカマーとさえ錯覚されてくるのだ。ミッシング・リンクであるところの「キュリオ本店時代の玲愛」が妄想喚起によって一瞬で補填され、「あの玲愛が男を連れてきた!」というキュリオの面々が驚く様に共感できるようになるのは、やはりひとえに『ショコラ』でキュリオのイメージを強く植えつけられていたせいだろう。意外な形で思い出が活きてくるものだなぁ。

 正直、「大きくハズすことはだろう」程度の予測で安牌と見做しており、前作『ショコラ』をやっている以上はいろいろマンネリ感を覚えるんじゃないかとか思って期待の度合いを下げていたんですが、そんなセコい計算を笑って台無しにできる収穫でしたわ。キャラ配置は『ショコラ』と似ているというかまんまだけれど、『ショコラ』『パルフェ』の両方が「繰り返しやっても面白い」と言えるソフトなだけに、マンネリ云々を指摘するのも虚しい。

 『ショコラ』には『ショコラ』の、『パルフェ』には『パルフェ』の良さがあって甲乙つけがたいが、「システムが良好」「捨てキャラがいない」というアドバンテージ二点から『パルフェ』の方がオススメしやすい雰囲気はある。一部の絵が微妙とかシナリオの組み立てが理詰めすぎるとかはあるにせよ、全体的に見れば頭のてっぺんから尻尾の先に至るまでたっぷり餡の詰まった鯛焼きみたいな充実感に優れている。まさしく面白い。「まだまだこの世界からは足抜けできない」と実感するに足る一本でした。いや、それは『パルフェ』の出来がどうこうより単に当方が首まで浸かったオタであるというだけの話かもしれませんが、業の深さを測る物差しとして『パルフェ』が最適だったのは確か。

 ちなみに当方の好きなキャラは……って、上で散々書いたからいいか。察するまでもなく花鳥玲愛です、はい。というより、全体的に個性と関係のバランスがひどく心地よいので、好きと言えば全員好きなんですけども。卵マニアの主人公も、だだ甘の恵麻も、茶目ってるかすりさんも、若干気だるい喋りの明日香も、無駄に元気がいい由飛も、声が微妙だけど板に付かない「つれなさ」が可愛い里伽子も、絶妙なタイミングで居合わせる瑞菜も、六感剥奪しそうなひかりも、一番まともそうな芳美も、「実は『切れ者』って感じ?」とわざわざ自分で口に出してしまう板橋店長も、はんなりとした紬さんも、一回しか出番のなかった源一郎も、両親不在がデフォのエロゲーでありながらしっかり登場した高村夫婦も、抜け駆けの早い美鈴も、ちょい役ながらここぞという場面で出てくる翠とバラさんも。さすがに故人で生前の姿がまったく出ない一人とかは例外ですが。ねこにゃん原画は「萌え」成分が薄まって個人的には少し不満でしたものの、印象的なシーンのイベントCGは素晴らしかったのでトントン。さりげない演出も小憎らしいくらい利いていたし、このゲーム、全体の失点を抑えつつ部分部分で地道に点を稼いでいる。

 それにしても里伽子を見ていると、ある言葉が浮かんできます。何度も何度も頻繁に。けど二重ネタバレ(『パルフェ』はもちろん、別の作品のネタバレにもなってしまう)なので書けません。辛い。そのうえマイナーだから書いたとしても細かく解説しないとまず伝わらない。ああ、誰かネタの通じる人と語り合いたい衝動。


2005-04-20.

『パルフェ』でネタになっていた咳止め「ブ○ン液」、なんとなく調べてみたところ「濃厚ブロチンコデイン液」なるものもあるそうで。ネタにしたい気持ちが物凄く湧いてくるけどここはグッと我慢する焼津です、こんばんは。

乙一の『GOTH』、文庫版は分冊の模様

 「夜の章」と「僕の章」の2冊に分けるのか……うーん、1冊でも充分まとまると思っていただけに、なんか残念。

『パルフェ』、由飛ルートクリア。

 天才め!

 というか天才の域を通り越して怪物じみた執念を見せる告白シーンはなんなんですか。シチョエーションがやや無理臭いものの、あまりに常軌を逸した行動が一切のツッコミを無力化。一応この子が表向きとはいえ正ヒロインなんですよね……? どこか路地を一本間違えたような気分に陥るほどでした。ボタンの掛け違えというより、着る服を間違えやがってんじゃないの、こいつら。いろんな意味で愉快でした。

 ノーマルエンドはいかにもノーマルらしい、進展も解決もないまま平和に幕といったパターンでしたが、トゥルーはしっかり波乱混じり。さるヒロインを交えたラブコメ的三角関係が非常においしゅうございました。ガチではないにしろ、プチ修羅場もイイことはイイ。お互いの手札を切ってゆるゆると勝負を賭けて行く緊張感がまたよろし。

 そしてヌルめの修羅場が過ぎ、シナリオが着地点を求めて飛び立つ後半。いやはや、あのシーンの由飛の顔は素で怖かった。見た瞬間「ヒィィ!」ですよ。ついでに言えばラストのエロシーンもこの手の恋愛モノに相応しからぬ連荘ぶりで「ヒェェ!」。丸戸はツンデレの扱いのみならず、天然系統の娘さんを捌くのも得手ですな。主人公とのバカップル化によってダメさ加減が極まっていく由飛のヘタレっぷりが妙に微笑ましい。

 さて、残すは一つ、花鳥玲愛のトゥルーエンドのみ。とっておきのシナリオをぶちかまされに行って参ります。


2005-04-18.

sfさんの熱賛にほだされ『チェンジング・ナウ(1・2)』を購入した焼津です、こんばんは。

 正義とは 時に孤独なものである
 正義とは 時に残酷なものである
 正義とは 時に悲痛なものである
 そして その全てを受け入れ 人知れず 悪と闘う男が 存在する──

 ジャンルとしてはヒーローパロディか。壊れすぎず、嫌味もなくサラリとしたギャグ。ショートサイズのコメディとしてはほぼ理想的なスタイルを保っています。犬の被りものとか滝涙のように見える顔の白線とか、狙ってダサいデザインのせいでヘタウマ系と錯覚しそうになりますが、実際のところ画力は高い。コマ割りが小さくネームも多いのでじっくり読んで楽しめる。定石に従えばドッグワンを差し置いて主人公となるはずの寡黙な改造人間・マシンナーがあえて脇役を務めている構図も美味しい。派手なブレイクをかます見込みは薄い気がするけど、固定ファンに見守られながら地道に頑張ってもらいたいマンガです。

・ついでに寄った古本屋で『マリオガン(1)』を買う。『キリコ』の異常な迫力が好きだったので気になっていたマンガ。一発でビルを吹っ飛ばす拳銃を始めとして、いきなり19世紀アメリカのインディアン迫害に話が飛んだりと、全編に木葉イズムが炸裂したステキなハッタリバイオレンスでした。こりゃ凄い、2巻も楽しみだな、とワクワクしたものの調べてみれば2巻以降は出ておらず連載も休止中とのこと……orz。

「魔法少女忌譚修」、第8話公開

 予告編が出たからには今月中だろう……と思っていたが、もう公開とは。早い。そして巧い。「ストーリーキラー」の名に相応しい急展開で鮮やかに物語を次の段階へ移行させた。もうブレーキはなく、あとはただ突き進んでいくだけか。

『らぶデス』の「エッチシステム」が間違った方向に凄い

 フルポリゴンを使って何をしているんだ、このスタッフは。ジャンルが学園コメディなだけに、ある種『セーラー服戦記』以上のシュールな感覚が発生しています。体位変更のシーンは何度見てもポカーン。当方のウブな心にまた一つ、「ムーンサルトフェラ」という新たな単語が登録されました。

『パルフェ』、かすりルートクリア。

 杉澤恵麻と涼波紬、ふたりの姉(一人は義姉だが)による「姑戦争」勃発。堪能しました。

 一応正ヒロイン扱いで看板娘の由飛、高機動ツンデレでライバルの玲愛、甘やかし天国で精神的主柱の恵麻、棘持ちロリで功労者の明日香と、他のヒロインに比べてゲーム的にも店的にも中途半端な立場にある、ムードメーカーでマルチプレイヤーのかすり。なかなかいいキャラクターをしている割に微妙感が拭えなかった彼女もいざ自身のルートに入れば本領発揮。ファミーユと絡んでキチッと盛り上がる。捨てキャラがいない構成とは、実に驚き。ただ、ラストの展開は少し駆け足だったかな、と。シナリオとしては残念。

 それと彼女に限ったことではないんですが、別ルートでは「他人の色恋沙汰」として的確にアシストかましていたキャラがいざ「自分の色恋沙汰」になるとてんで空回りするのは皮肉というか、むしろ当たり前すぎて逆に面白い。ノーマルエンドの、くっついたままずるずるとダメっぽくなっていく雰囲気も微笑ましくて良かった。トレ・ボン。トゥルーエンドに至っては山場がとってもオバカで「微笑ましい」の次元を超えて激笑ましいが、とっても前向きで爽快だ。トレ・トレ・ボン。

 修羅場スキーとしてはもっと痴情がもつれて欲しかったものの、これはこれでイイや。残すヒロインもあとふたりとなりましたし、もう少しでコンプできそうな気配。楽しみだけど、同時に惜しむ気持ちも湧いてきたり。


2005-04-16.

平坂読がブログを運営開始。2週間足らずの復活がやけに長く感じられた焼津です、こんばんは。

「魔法少女忌譚修」、第8話予告

 執筆順は第8話:飛鳥彼方さん→第9話:PsyKaさん→第10話:ウエ紙さん、といった流れになる模様。予告編が載るのは第5話以来ですが、やはり、そそる内容。物語全体における「起承転結」の「承」が終わる話なだけに、そろそろ仕掛けた火薬を起爆する段階に入ってきたみたい。楽しみだ。

・鎌池和馬の『とある魔術の禁書目録5』読了。連作形式ということで『パルプ・フィクション』的な展開を予想していましたが、思ったほど複雑な構成ではなく、本当に「短編集」ってノリ。特につらつらと書き連ねる感想は得なかったものの、グダグダ感があまりにもひどくてこれを機に購入の継続を打ち切ろうかと迷った前巻に比べればずっと安定した面白さでホッとしました。とある〜は個人的に奇数巻がアタリで、偶数巻が今一歩。少し持ち直したので今後も買い続けてみるつもり。しかしジンクスに従うと次巻は期待できないことになり、心中複雑。

・谷川流の『絶望系 閉じられた世界』も読み。印象を一言でまとめれば「饒舌なダウナー」。盛り上がることではなく盛り下がることを目的としている気がした。帯で言うほど刺激的じゃないけど、低熱処理の無造作な筆致が読み手によっては怖く感じられるかもしれない。悪趣味な妄想を弄んで時間を潰した経験のある人や、「意味の意味」「概念の概念」といった七面倒臭いメタ思考に凝ったことがある人なら楽しめるのでは。


2005-04-14.

『デスノート(6)』、ゴルゴでも読んでいるような気分になるネーム量だったものの、前巻のイマイチなムードを跳ね飛ばす出来で満足した焼津です、こんばんは。『武装錬金(7)』も、今回は少し薄かったが内容的には文句なし。

星雲賞の候補に『空の中』と『All You Need Is Kill』が

 他の面子を考えると受賞まで漕ぎ着けるのは難しそうだけど……。日本短篇部門候補に二作入っている飛浩隆はなんだか行きそうな感じ。それはそれとして『空の園丁』まd

第15回鮎川哲也賞、受賞作なし

 「第15回鮎川哲也賞決定!」と赤字でデカデカと書いておきながら「受賞作なし」とは、どんなウケを狙ってるんですか。ともあれ今回は佳作が一つ出るだけに留まった模様。去年は二作同時受賞だったから、ある意味で釣り合いは取れましたけど……。

第58回日本推理作家協会賞候補作(杉江松恋は反省しる!)

 『硝子のハンマー』は確実に来る、と思ってます。『追憶のかけら』はやや難しいかと。貫井作品として見れば出色の仕上がりではないですし。『Q&A』『イニシエーション・ラブ』はもしかしたら……。『剣と薔薇の夏』は未読なので分かりませんが。

・白川敏行の『シリアスレイジ』読了。

 DNAを弄り回してホストの形態変化を促す新種のウイルス・TDH(The Demon's Hand)が蔓延している世界を舞台に、TDHの脅威を鎮圧するワクチン製作のために必要な変異種を採集する「レイスハンター」となることを願う少年が、本物の銃を使ったサバイバル実習に参加し、やがて陰謀の存在を知ってテロリストたちに立ち向かうこととなるアクション・スリラー。基本的なノリはスティーヴン・ハンターとか、海外冒険小説に近いものがあります。作者紹介によれば実際に海外作家が好きとのこと。

 良く言えば「堅実」、悪く言えば「地味」。「ウイルスが蔓延」とはいっても差し当たってワクチンの一種目が実用化されているために壊滅的状況が回避され、人類全体の危機感は希薄になっている……という背景を用意したせいで設定そのものがあまり切実性を伴わず、都合良くシチュエーションを整えるためのものくらいにしか機能していません。文章も説明的でしかも無闇に長ったらしいところが多いし、比喩が仰々しくて辟易する箇所もあります。翻訳調の文体を目指したのかもしれませんが、新人特有の要らない力みを感じさせるので、短くできるところはもっと削った方が良かったのでは。

 そういった事情から序盤はひどく退屈させられましたけど、肝となるサバイバル実習が始まって以降はきっちり盛り上げてポイントを取り戻していってくれます。スペックの高い主人公が便利道具を駆使して凄腕であるはずのテロリストをばったばったと下してしまう、下手に描けば陳腐化しかねないストーリーを、読み手のツボを押さえて適度に空気を引き締めつつ展開してくれるので順当に楽しめました。派手さはないけど、ハリウッドっぽいサバイバル系統のアクション・スリラーが好きな人なら外さないでしょう。

 文章や設定の他にも挿絵がちょっと微妙だったとか、ライトノベル的に見てもヒロインの造型が少しわざとらしいとか、全体的にテイストが古臭い(背表紙が緑色の頃のソノラマ文庫から出ていても違和感なし)とか、それなりに難点がありますが、ストーリーそのものは堅実で一直線。一直線とはいえ安直ではなく、キチンと勘所を押さえた王道的作品に仕上がっています。設定面や文章面が成長することを見込むなら今後が期待できる新人。ひとまず次回作を待ちます。けど、もし次回作が『シリアスレイジ2』なら様子見しようかな……うーん、やはり今一歩設定に心惹かれるものがありませんから。


2005-04-12.

・不意に浮かんできた「触っちゃダメだぞ 危険なスーパーラブマシン」というフレーズが何の曲に由来するものなのか数分煩悶し、やっと『ゴウカイザー』であることを思い出した焼津です、こんばんは。特に好きなゲームではなかったけど、プレーしたのがネオジオCD版なんで各ステージのテーマソングが脳の奥深いところに潜っていて時折甦りまする。当方、世がプレステだサターンだと騒いでいた頃は思いっきりネオジオCDっ子でした。「怒りの日」を聴いてもバトロワよりヴォルフガング・クラウザーのステージを連想。

・おりもとみまなの『魔法少女猫×(1・2)』読了。

 amazonで「魔法少女」と検索したところ、真っ先にこの2冊が出てきたのが興味を持ったきっかけです。「猫」で検索しても上位に来るんだから大したもの。1巻は去年の12月ですが、当方が買った分は既に四版でした。

 知っている人にはくどくど説明しても仕方ないけれど、知らない人はとりあえず2巻の表紙を見てください。ええ、やりすぎてます。ギリギリというか、既にシン・レッド・ラインを踏み越えてる。「ストーリーはいよいよ絶頂へ!! 」という煽り文句も成人マンガのノリだし……。

 猫耳猫尾の獣娘が飼い主の少年に虐待されながらもピ○ミンのように甲斐甲斐しく付き従い、スクール水着の上にセーラー服を着用する明らかに間違ったコスチュームに変身して「マジカル片手突き」「マジカルピッチャー殺し」といった技を繰り出し、ダサカッコイイ(作者曰く)アクションを展開。表紙絵の期待を裏切らず、無理矢理臭いお色気もふんだんに盛り込まれています。「魔法少女」というジャンルをおちょくってる点では『大魔法峠』と同じですが、おちょくる方向はまったく違うベクトルですね。基本的にヌルい。でも好き勝手やって弾けている部分も多く、こんなにヌルいくせしてこんなに狂ってるのか、と異形視感を味わえる仕様。普通に読めばたぶんあんまり面白くないでしょうが、2巻立て続けに読んでると慣れてくるせいか変に楽しさや愛しさが込み上げてきて「まあ、いいや」と受け入れ態勢になってしまう。

 全体的に詰め込みすぎで混沌としているので、人によって好みが分かれそう。中んずく「虐待」の要素は表紙を見て「猫耳(*´Д`)ハァハァ」となった読者には辛いかも。はたいたり抓ったりという次元を越え、殴ってます。血とか出るくらい。萌えキャラの恥らいに満ちた顔を見ていると、憎いわけではないが何か納得のいかないものを感じて無性に殴りつけたくなる、といった嗜好の持ち主なら難なくジャストフィットしそうですが、果たしてそんな人がいてこんな表紙のマンガを買うかは疑問だ。と書きつつ、可愛い子が仏っ締められるシーンを見て背徳感よりもむしろ爽やかな春風の気分を堪能しているアンビバレント豊かな人がここにいるわけですが。

 割とそこここで乳首が描かれていたりふたなり娘が出てきたり放尿シーンが妙に多かったり「ペケがメス猫なら委員長はさしずめメスブタだな!」と叫んだり、ホントになんでこれが成年レーベルへ行かなかったのか不思議な内容です。エロ以外でも、「ヤマギワ全焼」だの「BOOK●FFが爆発した!」だの、ヤバげなネタが。なんかこれ読んだらおなかいっぱいで『みかにハラスメント』に着手する気が喪失しました。強いて人に薦める意欲は起きないし、途中で「買って損した」という思いがよぎった瞬間とてなきにしもあらずですが、最後まで読み終えたときの気分は悪くなかった。

 2巻の裏表紙には「最新刊!」とあったのでまだ続いてるのか、と思ったものの、表紙見返しには「完結編」とあるし、どうやら全2巻の模様。敷いた伏線をすべてほっぽっていますが、そこらへんは妄想で補って自主的に楽しむとします。微妙に妄想し甲斐のある伏線なんだよなぁ、気になって仕方がない、とまではいかないにしても。

『パルフェ』、恵麻トゥルーエンドと里伽子トゥルーエンドに到達。

 当方は恵麻→里伽子の順でやりましたが、逆だったら大変なことになっていたかもしれない。それはもう精神的な激痛とか覚えて。しかしこの順番もこの順番で、痛みが減る代わりに衝撃そのものは威力を増してしまうという面を持つ。どっちから攻めても所詮は罠の中といった仕様。

 シチュエーションの持って行き方が強引というか、理詰めで組んだせいで却ってわざとらしく見えるところはあります。「狙ってる」感が濃厚。そのため何度か冷めそうになる局面もあったが、そこでギリギリ冷めさせないあたりが『パルフェ』の本領。丸戸節が唸り、小技を積み重ねていくことで危ういバランスながらも大技を成立させ炸裂させる。「あざとい」と分かっていながら引き込まれてしまうのはひとえに当方が王道的展開を嫌っていないからでしょう。「安易な」という意味での王道は好みませんが、「努力の結果としてそこを通る」ものとしての王道は別。軌跡すらいとおしくなる。

 それにしてもこのゲーム、あるルートでのイベントが別のルートにおけるイベントと関連して繋がっているあたりは面白い。最初見たときはなんてことなかった些細な部分も、各キャラのトゥルーをクリアした後で改めて見直してみると思わぬ発見があったりする。再プレーが楽しいゲームってのはなかなか貴重。


2005-04-10.

・今日初めて『神狩り2』を肉眼で目視した焼津です、こんばんは。出るとは聞いていたけど、もう発売されてたんですね。

『セーラー服戦記』

 これはネタじゃないのか。『アクロバットおやじ』を通り越して『デスクリムゾン』の領域に差し掛かっている気がします。

・満を持して『パルフェ』再開。明日香トゥルーエンド。

 どうやら当方はこれまでノーマルエンドしかクリアしてなかったようで。そりゃ物足りなくもなるわな……。『パルフェ』ってマップ移動形式だから攻略は簡単そうに見えるんですが、特定のキャラばかり狙って選び続けた場合、ノーマルエンドには簡単に行けるもののトゥルーエンドは少し難しい。別のキャラとも関係を進めておかないとフラグが立たないこともあるんです。幸い、周回するたびにヒント機能が発動して「どれが何のフラグになっているのか/フラグの発生条件」が分かる仕組みになっており、手間が掛かることはあっても詰まる心配はゼロ。なにげに攻略が面倒臭かった『ショコラ』と比べると天と地ほどの開きがある。ホント、システムは良くなった。

 で、明日香。本編の文章から察するに、主人公の四つ下に当たる後輩ヒロイン。見た目は「けなげ」系統のようでいて、結構いい性格をしています。天然オバカ気味の由飛と被らないためにか言動は理性的で、かと言って里伽子と被るほど理性派でもなく感情的な面も目立つ。ある意味中途半端で、それゆえに美味しいキャラ。「てんちょ」「せんせ」という舌っ足らずな喋りも微妙で、ムズムズと形容し難い気持ちを提供します。未熟な小悪魔。なんと美味しい位置づけか。

 ストーリーは再三言った通り何の変哲もない代物で、これだけを取り出したなら特に語ることもないのですが、そのストーリーに肉付けをし、「シナリオ」として有効になるまで漕ぎ着けさせた努力はグッド。奇を衒わず、正統派的な展開を面倒がらず、きっちり仕事をしている感じで好印象。丹念に描き込まれ、それと気づかないほどさりげなく敷かれていた伏線を活かすことで、ほとんど脇役に近かった明日香が、一躍ヒロインに抜擢されたかのように思えてくる。これだからマルチシナリオ形式のエロゲー(ギャルゲー)は面白い。なんだかんだで未だに卒業できないのもむべなるかな。

 こうやってプロットの内容を詰めていくことのできるライターがシナリオを組んでいると、細かいところで共通点が鮮やかに活きてくるので余計にマルチシナリオの面白みが増すなぁ。幹がしっかり通っていてこそ枝葉の違いが楽しめる。なかなかの佳品を引き当てた、と存分に堪能しております。


2005-04-08.

・真剣勝負じみた打ち合わせ(誇張)の末、「魔法少女忌譚修」第七話を遂にアップ。直後にタグ漏れが発覚して訂正にてんやわんや。最後の最後まで難産か。とにかく、長かった……。やっとここに至りました。企画はまだまだこれからですが、ひとまず山場を越え、達成感を味わっています。

「ジンガイマキョウ」が100万ヒット達成

 凄。おめでとうございます。それにしても凄。

『こねかけのうどんぶつける祭りがノルウェーの北の村の漁村で』マスターアップ

 というより今日初めて存在を知ったのですが。見れば見るほど頭にこびり付いて離れなくなってきます。こんなにタイトルだけ気になる作品、最近だと他には「スリーピーホロウの座敷ワラシ」くらいだ。

「ほめ子さんの世界やおい童話シリーズ」

 妄想力の恐ろしさに震撼。幼き日の思い出が穢されました。それでも読むことが出来ないとは、業師め。

・現在はデニス・レヘインの『スコッチに涙を託して』といういささか気の抜ける題名をした小説を読んでいます。タイトルはアレですけども、中身はちゃんと面白い。ダメ男が斜に構えるタイプのハードボイルドで、

「どうか、スターリングと呼んでくれないか」優しいほほえみを浮かべ、彼女の手を軽く叩いた。彼のすべてが金切り声で《誠意》を叫んでいた。

「ちょうど十六になったところさ」デヴィンがいった。「先月な」
 わたしは彼のすがたを思いだしていた──背が高く筋肉質で、若き将軍の風格を帯び、母親の墓の小さな塚の上に、傘を手に立っていた男。彼はすでにこの世界で自分のいるべき場所を知っているように見えた──部下をうしろにしたがえ、その先頭に立つのだ。
 わたしが十六の頃は、学校のカフェテリアで昼飯を食う場所さえよくわかってなかった。

 と味わいのある文章でなかなか楽しい。レヘイン(早川の訳ではルヘイン)には読む前からなんとなく惹かれるものを感じていましたので、これを機に既刊を崩していこうかと。


2005-04-06.

『パルフェ』やりたさに禁断症状が出つつある焼津です、こんばんは。「さ、三十分だけならいいよな?」と誘惑に駆られるものの、三十分では到底済まないと理性が知っていますので泣く泣く起動せず。

・メッセなるものを初体験。そもそもググってみてようやく詳細を知ったくらいで右も左も分からぬトーシロぶりでしたが、「痛くしないから……」という甘言に惑わされ、sfさん暁さんと深夜までチャット状態に陥りました。忌譚修の打ち合わせよりもバカ話が多かったように思えるのは気のせいか。調子に乗って「ジッパーを無闇に上げ下げする者は、ジッパーに皮を挟まれる」というスウェーデンの諺(嘘)を披露しつつ、忌譚修第七話の構成が固まってきました。sfさんの設定文書も到着し、あとは本文の微調整と伏線に関して詰めることで第七話は完成となりそうです。恐らく今週末までにはなんとかなるんじゃないかしら。

・5月は冬目景が『ハツカネズミの時間』の1巻を出すみたいです。……なんか、ここのところ新シリーズの1巻ばかり出してないか、この人。買うんですけどね。


2005-04-04.

sfさんからのファイルが到着。「魔法少女忌譚修」第七話、放置が四ヶ月近くにも及びましたが、いよいよ更新の目処が立ってきました。何より当方自身が嬉しくて随喜の涙。ハマっている『パルフェ』を一旦休止にしてでも作業に取り掛かる所存です。

 そして「魔法少女忌譚修」竹田さんの外伝「閾値の魔女」が掲載。テンポの良い文体で徐々に読み手の思考に割り込んでくる作風がスリリングです。第七話班の我々も頑張らなければ。

平坂読、サイト閉鎖

 エイプリルフールにそれっぽいネタを出して閲覧者を笑わせたのも束の間、今度は本当に閉鎖するみたいです。開設を知って以来、ずっと毎日楽しんで見ていただけに残念。近況等は生存報告ブログで読めることになりそうなので、少し安心しましたが。

Navel、『俺たちに翼はない』の専用ページ開設

 遂に詳細きました。というかフラッシュの冒頭にポカーン。らしいっちゃらしいノリですけども。伝え聞いた話では各ヒロインごとにそれぞれ対応した主人公たちが存在する連作形式になるのだとか。キャラ紹介を見る限り、王雀孫のテキストセンスも相変わらずのようで期待が二割増し。現時点での不安は原画、よりも「発売日未定」なことですか。今年中に出ればいいかなぁ。

『プリンセスうぃっちぃず』、4月22日から5月27日に延期の模様

 嘘だと言ってよ、バーニィ。

 今月唯一の確定ソフトだっただけに痛恨の一事。ひょっとすると今月は久々に何も買わないで済ますかも。


2005-04-02.

・エイプリルフールに更新しなかったので当方が嘘をついていたかついていなかったかは永遠に分からず終い。こんばんは、パラドックス気味の焼津です。

佐藤友哉の『子供たち怒る怒る怒る』、5月発売

 色シリーズの総集編はどうなった、というツッコミはさておき初のハードカバー。「新人たち消える消える消える」なムードの中でしぶとく生き残ってきた甲斐もあるだろう。たぶん表題作+これまで『新潮』に掲載した作品といった構成になると思います。いや、もしかすると表題作オンリィかもしれませんが。ま、なんにしろ買いますよ。当方、ユヤタソは割と普通に好きですから、ええ。

『パルフェ』、順調にプレー中。

 システム面を振り返ると、前作よりも遥かにやり易くなっているなぁ。方式をマップ移動のみに絞り、イベント中の選択肢を削った単純な構成のおかげで話に集中できるようにもなっている。なかなか快適。

 既に何人かクリアしましたが、シナリオ……というかストーリー展開そのものはさしてヒネリが利いたものではなく、派手にテンションが盛り上がったりするところも少ない。居心地の良い空気をまったり楽しむタイプのゲームなんで、変に波乱万丈の展開をする必要はないと個人的には思いますが、もしそうした方面に期待した人がいれば肩透かしかな、と。

 そしてやはり、当方はカトレアの威力には抗えませんでしたな。「他人に厳しく自分にも厳しい」、更に重ねて「素直じゃない」という性格を併せ持つ金髪双尾のツンデレ少女。狙い澄ました造型と、それを活かそうと余念のないテキストによって怪物級の魅力を実現させていますね。実に恐ろしい。プレーしていて顔面を崩壊させずにはいられなかったです、はい。ただ、くっついてからのイベントとか、微笑ましい修羅場とか、そういった引っ張る場面がなかったのは残念。とても残念。虎は傷ついてからが本物であるように、ツンデレっ娘はくっついてからが本物だろう……! というか、あの端折りっぷりはなんぼなんでもあんまりなので、ひょっとするとあれとは別のルートがあるのかもしれず。もう少し調べてみます。

 えーと、ついでに言えば里伽子にも敗北しました。クリスマスのイベントにすっかり轟沈。「里伽子の味がする…」 ああ、クサい、なんてクサい、お前らはいったい十何年前のラブ・ロマンスなんだよ。見ているこちらの方がいろんな意味で恥ずかしくて転がりたくなる。丸戸のシナリオはことロマンスに関してはベタを通り越してレトロの領域に差し掛かっていますが、その時代錯誤ぶりが「古臭さ」として雰囲気をぶち壊しにすることはなく、まるで年を経た古鉄のように硬く一本の筋金として通っているのだからたまらない。あざといと分かっていながらも、昔風ロマンス大好きっコのひとりとして強靭な昭和的ノスタルジィに打ち据えられざるをえませぬ。

・今月のよてー。

(本)

 『ランブルフィッシュ9』/三雲岳斗(角川書店)
 『デスノート(6)』/小畑健、大場つぐみ(集英社)
 『武装錬金(7)』/和月伸宏(集英社)
 『顔 FACE』/横山秀夫(徳間書店)
 『ロスト・メビウス』/上遠野浩平(メディアワークス)
 『シリアスレイジ』/白川敏行(メディアワークス)
 『とある魔術の禁書目録5』/鎌池和馬(メディアワークス)
 『カスタム・チャイルド』/壁井ユカコ(メディアワークス)
 『絶望系 閉じられた世界』/谷川流(メディアワークス)
 『神様家族6』/桑島由一(メディアファクトリー)
 『銃姫4』/桑島由一(メディアファクトリー)
 『フラグメント』/古処誠二(新潮社)
 『タフの方舟1』/ジョージ・R・R・マーティン(早川書房)

 やっぱライトノベルが増えてきたなぁ。ランブルフィッシュは当たり外れの多い三雲作品の中でもっとも自信を持って「アタリ」と言えるシリーズ。ベタだけど面白い。デスノ、5巻は低調だったがこれから面白くなるとのことで持ち直しを期待。武装錬金は最近のジャンプコミックでは一番の期待株ですね。いえ、そもそも最近ジャンプのマンガはほとんど読んでませんが。『顔 FACE』は映画化もした『半落ち』で有名な作者の……ってそう言えば『半落ち』、いつになったら文庫化するの?

 電撃の新刊は5冊。「ぐだぐだ」「惰性」と批判の声も多いブギーポップシリーズの最新作『ロスト・メビウス』、しかしビーディシやジンクスショップを普通に楽しんだ当方としては期待の一冊です。シリアスレイジは新人のデビュー作なので、さほど期待せず。新人とは本来、期待する対象じゃないんです。芽が出ればもっけの幸い、と思って見守るもの。とある〜は惰性入ってきました。5巻が本気でアレだったらそろそろ切ろうか。カスチャと絶望系は単発作品。サクッと読める感じがするので。

 神様家族、ギャグ&ラブコメなシリーズとして一冊ごとにメキメキ注目度が増幅しています。同じ作者による5月の新刊『大沢さんに好かれたい。』も期待。銃姫はまだ既巻が積み中。そろそろ読み出すか……遠征王を。フラグメント、まだ詳しい情報は出てませんが、短編集っぽい? 古処の短編は傑作が多いらしいので期待せずにはいられない。タフの方舟は大河ファンタジー“氷と炎の歌”で当方がベタ惚れしているマーティンの本。5月に2巻が出て完結する模様です。

(ゲーム)

 『プリンセスうぃっちぃず』(ぱじゃまソフト)
 『SchoolDays』(Overflow)
 『Tears to Tiara』(Leaf)
 『神様のいうとおりッ』(RUNE)

 この四本の中から選ぶ感じになりますね。プリっちはまず確定として、問題はSchoolDays。現状「絶対延期する」と囁かれていて心配になりますし、もし延期しなかったらしなかったで不完全な出来になるのでは、と心配することになりそうで板挟みの心情。そしてTtTは、うーん、いい加減ダレてきました。一旦様子見しようかな。最近浮上してきた神いう、体験版が面白かったけど、もうひと押し何かが欲しいところ。とまぁ、そうやって迷いつつ2、3本に絞るつもりです、はい。


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